表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

817/839

木曜日の麻雀練習会。座組の全体がうっすら共有される。雀荘のカレー意外とうまいなwww

麻雀の二時間目に入ってくると、だいたい全体の見取り図みたいなものが見えてくる。

「まあ、ざっくり二時間で。」

博子が牌を触りながら言う。

「東南の、言うたら八局は回れると思うんよ。」

「東四局、南四局か。」

アルカちゃんがすぐに返す。

「そうそう。」

「もちろん、誰かがバカ勝ちしてて長引くとかはあるかもしれへんけども。」

「でも大体ざっくり二時間で見てええかなと思ってる。」

さきちゃんとカレンちゃんも、だんだんその感覚がわかってきている。

最初は“麻雀って終わり見えへんな”みたいな顔をしてたけど、

実際に卓を囲んでみると、ああこれぐらいの時間感なんやなというのが見えてくる。

「で、ルール的には。」

博子は、そのまま少し先の話に入る。

「点数のつけ方、どうするかなっていうのを。」

「明日以降、先生たちに提案しようと思ってるんやけど。」

「ほう。」

「一着二着とか、馬を乗せるとか、そういうガチ寄りの話よりも。」

「多分、男女ペアの合計点数で勝った負けたつける方が綺麗かなと思ってる。」

「なるほど。」

アルカちゃんがそこで頷く。

「ペア戦っぽくするわけやな。」

「そう。」

「で、それを総当たり戦にする。」

「そしたら。」

博子は、卓の上を指で軽くなぞるようにしながら言う。

「だいたい三回か、三か月でこれ持つやん。」

「で、四回目の時に。」

「じゃあ、なんかイベントで一回パーティーやるでもいいし。」

「うん。」

「一位決めましょうか、みたいな感じで。」

「決勝戦と、ドベ決めるみたいな感じでやったら。」

「なるほどな。」

「四か月で一周回れる。」

「それはええな。」

さきちゃんが、かなり感心したように言う。

「思ったより、ちゃんと企画になってるな。」

「いや、企画にせな先生たちも乗りにくいやろ。」

博子は笑う。

「そん時に、賞品でなんか用意するとか。」

「うん。」

「景品でプレゼントつけるとかは、まあ先生たちと喋ればいいけども。」

「でも、なんとなく見えてきたな。」

カレンちゃんが、そこを素直に受け取る。

「ですよね。」

「なんか、ただ麻雀します、やなくて。」

「ちゃんと流れがある方が、“次も来る理由”になりますもんね。」

「そういうこと。」

博子が頷く。

このへんの話をしながら、

もう麻雀そのものだけじゃなくて、“この会をどう持たせるか”の設計図が、

四人の中でぼんやり共有されていくのでございました。

「で、私はもう。」

博子がそこで少し現実的なトーンになる。

「女流の先生がおるところとか。」

「麻雀教室にちょっと行くっていうのは、これ必要経費やと思ってる。」

「割り切っていくのもありかもね。」

その言い方に、アルカちゃんもすぐ乗る。

「割り切るっていうのは、結局これ多分やったら。」

「前の座組で思ったと思うけども、たぶん一回あたり五万から十は積んでくれるやろ。」

「最低五は固いと思う。」

博子もそれには頷く。

「そこは固いと思う。」

するとさきちゃんも、わりと現実的に言う。

「なんか、そういう麻雀をやってくれることに対して。」

「先生方も必要経費として見てくれると思うから。」

「そうなんよ。」

博子はそこで、話をさらにまとめる。

「それを考えたら。」

「うん。」

「教室に通うって、何千円の話やから。」

「そこを月一回、このためだけにやるっていうのも変な話かもしれんけど。」

「でも、ちょっと入れとかんと、滞ってしまうとさ。」

「空気悪なるし。」

「それはある。」

アルカちゃんが、牌を整えながら言う。

「その辺の、“気前よく遊んでくれてる感じ”を、ちゃんと出しとかんとな。」

「そうそう。」

「こっちがもたついてると。」

「せっかく向こうが遊んでくれてるのに、気まずくなるからな。」

「そこやねん。」

博子も深く頷く。

「だから、その辺はおいおいやっていくし。」

「東大生が書いた麻雀講座みたいなん読むぐらいでもええし。」

「出た、急に真面目。」

さきちゃんが笑う。

「いや、でもほんまに。」

「本一冊読むだけでも、だいぶ違うやろ。」

「それはそうやな。」

「なんかその辺は、ちょっとキャッチアップしていこうや。」

「了解です。」

「私もちゃんと見直します。」

カレンちゃんも、ここはかなり前向きである。

最初は“ついていけるかな”やったけど、

今は“ついていかなあかんな”に変わってきている。

それだけでも、この麻雀練習会はだいぶ意味がある。

そんなことを言いながら、

四人は途中で頼んだカレーをだらだら食べる。

雀荘のカレーなんて、どうせ適当やろと最初は思ってたけど、

食べてみると、意外といける。

「意外とこのカレー、いけますね。」

カレンちゃんが素直に言うと、博子もすぐ返す。

「雀荘のジャンクフードも、まあまあうまいから。」

さきちゃんが笑う。

「こういうので食べるカレーって、ちょっと美味しく感じるよね。」

「わかる。」

「変におしゃれじゃない方がええ時ある。」

そんな感じで、麻雀のルールだの、企画の持たせ方だの、

必要経費だの、女流プロだの、

妙に現実的な話と、どうでもええカレーの話が、

ゆるゆる混ざりながら時間が過ぎていく。

で、博子は今日は休みやから、ここで家に帰る。

アルカちゃんたちはそのあと出勤の準備もあるし、

他のメンツも三々五々で分かれていく流れになる。

「ほな、今日はこんなもんで。」

「おつかれさまです。」

「明日、よろしくね。」

「よろしくー。」

そうやって、木曜の麻雀練習会は、

わりとちゃんと手応えを残したまま終わるのだった。

勝ち負けそのものより、

“これやったら明日も回せるな”

“この企画、数か月持たせられるかもな”

という見通しが立ったことの方が大きい。

そんな木曜日の午後やった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ