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木曜日。金曜日の麻雀同伴に備えて女性陣で一回麻雀を二時間ほど打ちに行く。富国生命ビル近くの雀荘へ

木曜日。金曜日に税理士先生たちと麻雀同伴をする関係で、博子とアルカちゃんは

出勤日でございますけれども、その前段として、今日はさきちゃんとカレンちゃんも含めて、

一回麻雀を打とうやという流れになったのだった。

待ち合わせは大阪駅、富国生命ビル近く。

同伴前の時間帯で、みんななんとか都合を合わせて集まる。

本当やったら、お昼にカフェでお茶でもしながら、ゆるっと喋るという選択肢も全然あった。

でも今回はそうではなく、もう最初から「麻雀を打つ」という目的がはっきりしている。

「なんかもう。」

博子が、集まった四人を見ながら少し笑う。

「昼から麻雀させてしまって、申し訳ないわ。」

すると、さきちゃんとカレンちゃんがすぐに首を振る。

「いやいや。」

「でも、この座組が二つ回るってことを考えたら。」

「私らもやっぱり、そこそこ打てるようになっとかんとあかんですもんね。」

その返しに、博子も頷く。

「そうやねん。」

「そこなんよ。」

で、四人はそのまま富国生命ビル近くの、四フロアぐらい麻雀卓が入っている

店へ向かうのだった。受付を済ませて、通されたのは、ちょっと独特な匂いのする個室寄りの卓。

雑居ビルの中の麻雀店特有の、少し乾いた空気と、コーヒーと機械の匂いが混ざった感じがある。

「なるほどね。」

さきちゃんが、卓を見ながら言う。

「明日こういう感じでやるんや。」

「そう。」

博子が頷く。

「ここで、税理士先生と保険会社の人と、私、アルカちゃんで多分やるって感じ。」

「うわー。」

「なんか、一気に現実味出てきた。」

とりあえずコーヒーを頼みながら、

「カレーかな、あとなんか頼む?」みたいな話も出る。

「結構ジャンキーですね。」

カレンちゃんが少し笑うと、博子もすぐ返す。

「でも、言うたらあれやろ。」

「同伴のお店でちゃんとご飯食べることに比べたら、めちゃくちゃ安いから。」

「先生たちも、それはそれで喜ばはると思うねんな。」

「リーズナブルっていうところもあるし、自分の好きな趣味の麻雀ができる、

女の子と一緒にできるっていうので一定満足度はあると思うねんな。」

「なるほどなあ。」

「私らも、そつなくこなすっていうのはちょっと難しいかもしれんけど。」

「やってみよう。」

そう言って、卓のボタンをぽちっと押すと、

ガラガラガラ、というあの独特な音がして、牌が目の前にどんと出てくる。

「えっ。」

さきちゃんとカレンちゃんが、ほぼ同時にびっくりする。

「もう今こんなんになってるんですね。」

「そうやで。」

博子がちょっと得意げに言う。

「だから、あとはちょんちょんと積む。」

「初めの面子が積むのと、裏ドラのやつを見るだけやね。」

「へえー。」

「だから、サイコロのボタンを二回押さなあかんから。」

「風を決めるボタンと、どこをちょんちょんするかの時のサイコロよね。」

「それを二回やった時に、スムーズにできるようにするってことがまず大事。」

すると、さきちゃんが少し不安そうに言う。

「いやでも、その辺怪しいっすね。」

「私、ゲームでやってるんで。」

「そうなんよな。」

博子も頷く。

「ゲームでやってると、その辺なかなか難しいよな。」

アルカちゃんがそこで軽く笑う。

「でもまあ、それはもう大人なおじさまたちに任せればいいんじゃないの?」

「それもそう。」

博子も笑う。

「点数計算、最悪できんでもええにしても。」

「何翻かっていうことぐらいは、やっぱ把握しとかんなあ。」

そんなことを言いながら、四人で打ち始めるのでございました。

女の子同士やから、空気はまったりしている。

おっさん同士の卓みたいなピリつきはない。

でも、その分、説明しながら、確認しながら進められる。

「ポンとチーの違い、わかるよね?」

博子がそう聞くと、カレンちゃんが少し曖昧な顔をする。

「えーっと。」

「わからんかったら、最悪ポンだけやっといたらいいよ。」

博子がすぐに言う。

「チーは前の人のやつを取るんやけども。」

「それで形作るから。」

「でも最初はポンだけ意識しといた方が楽。」

「なるほど。」

そういう説明をしながら打っていく中で、

二巡目ぐらいに、いきなりアルカちゃんがポンと鳴く。

「早。」

さきちゃんが思わず言う。

「アルカちゃん、鳴くの早くない?」

アルカちゃんは平然としている。

「いやいや。」

「本当に、形はさっさと作った方がええし。」

「今ちょっとそんなに悪くない牌やから。」

その言い方が、いかにも慣れてる人のそれである。

博子も少し笑う。

「まあ、それはそう。」

「アルカちゃん、ほんま鳴きに迷いないよな。」

「そこが強いんやろな。」

卓は、ジャカジャカジャカジャカと、女の子同士の卓らしい、

でも案外止まらないテンポで進んでいく。

「あと、スピード感かな。」

博子が、牌を切りながら言う。

「おじさんたち、多分ちょっと早いんよ。」

「私らでもたつくのが問題やから。」

「切る牌は、ある程度決めといた方がいいよね。」

「うん、それはある。」

「止まったら一気に空気止まるもんな。」

「そう。」

「最悪、完璧じゃなくてもいいから、テンポよく。」

そんな感じで、

ルール説明と実戦が半々ぐらいの形で、一時間ほどだらだら打つ。

その途中で、博子がぽろっと言う。

「一回、女流雀士のいるところに行くとか。」

「え? 麻雀教室みたいなやつ?」

「そうそう。」

「なんか、麻雀の講座に行って。」

「待ち牌とかの話もそうやけど。」

「形をね、役の形を一通りもう一回勉強し直すとかも、ありかもしれんね。」

さきちゃんが、少し本気で頷く。

「それ、ありかも。」

「ゲームで何となくやってるだけやと、やっぱ曖昧やし。」

「そうなんよ。」

カレンちゃんも、小さく頷く。

「でも、今日こうやってやってみたら。」

「スムーズに回ってるから、まあええんじゃないの。」

「勝ち負けはともかく。」

博子がそう言うと、全員ちょっと安心したように笑う。

相変わらずアルカちゃんが強い。

鳴く時は鳴くし、形も早い。

でも、博子も負けず劣らず、じっくりじっくり積み上げる感じで打っている。

タンヤオの形をもとに、

だいたいタンヤオで鳴いて、自牌を整理して、

場合によっては清一っぽい寄せ方も見せながら、

「こうやって手作りしていくんやで」みたいな雰囲気を、押しつけすぎずに見せていく。

派手な勝負ではない。

でも、明日のための一時間としては、かなり意味がある。

さきちゃんとカレンちゃんも、

「全然わからへん」から、

「なんとなくやることは見えてきた」ぐらいまでは来ている。

それだけでも大きい。

そんな木曜日の、

麻雀同伴前の、ちょっとした女子麻雀練習会だった。

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