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キャバクラ二セット目。博子の持っている玉を知りたがる社長達。全体用と個別用、綺麗目と刺激的。混ぜながらお話しする

「えー、博子ちゃんの持ってる玉って、他どんなんあるの?」

二セット目に入って、酒も少し回って、空気がだいぶ柔らかくなったところで、

そんな話になるのだった。

博子は、そこで少し笑う。この手の質問は嫌いやない。

むしろ、よう聞いてくれました、という感じである。

「まあ。」「全体用と個別用で分けながら、お話しますね。」

「ちゃんと分類されてる。」

「そこは分類しますよ。」

そう言いながら、博子はまず“全体で行ける玉”の方から出していく。

「全体で行ける玉で言うと。」

「伏見の酒蔵見学とか。」

「お、それええやん。」

すぐに社長たちが食いつく。

「なんかあれやな。」「そういう、ちょっと文学チックな感じもありながら。」

「伏見観光もできる、っていうところやな。」

「そうなんです。」

博子も頷く。

「ちゃんと酒の話もできるし。」

「町歩きの感じもあるし。」

「所々ちょっと飲んで帰る流れも作れるんで。」

「なるほどな。」

「それは綺麗や。」

そういうふうに、まずは“ちゃんとした大人の遠足”系の玉を出す。

このへんは、今のこの薬品会社の社長たちにもわりと合う。

飲み慣れてて、でもただ高いだけのものにはもう飽きてる。

そういう人らには、意味のある移動と、ちょっとした文化性があるものが効く。

「あと。」

博子は、そのまま続ける。

「これはもう、普通に同伴になるんですけれども。」

「京都で十四代、而今、あと新政。」

「そういうのが、三種飲み比べで九百八十円で飲める飲み屋さんがあって。」

その瞬間、社長たちの反応がちょっと変わる。

「めちゃめちゃいいやん。」

「そこ、強いな。」

「でしょ。」「そこに行って。」

「京都からサンダーバードで大阪帰ってきて。」「店行く、っていうのは一つありますけど。」

社長が、そこでかなり納得したように笑う。

「あー、なるほどね。」

「店がめっちゃいい、っていうのををチョイスしてくれてやるパターンね。」

「そういうことです。」

「なるほどなるほど。」

このへんは、場所そのものの強さで引っ張る玉である。

博子本人のトークだけで持たせるんやなくて、

“その店に行けること”自体に価値がある流れ。

それはそれで、一個の強い軸になる。

「で、まあ。」

博子は、そこで少しトーンを変える。

「季節柄で言うと。」「私は結構、京都の方が奥深くて。」

「社長の皆さんたちがガチャガチャ働いてる中では。」

「ゆったりした時間が過ごせるから。」

「京都北山のモーニングを一緒に食べて。」

「植物園を散歩するみたいな半日コースとか。」

「いいねー」

「あと鉄板のコースがあるんです。」

「まず京都の酒屋さんでお酒を買います。」

「うん。」

「ランチで、パスタハーフを二つ、肉と魚をハーフで二つ、プチコース料理。」

「で、その後に、鴨川の河原で、私の手料理を食べながら酒を飲む。」

そこまで言うと、社長たちが思わず声を上げる。

「すぐ、めちゃめちゃいいやん。」

「そこまでやるんや。」

博子も笑う。

「そのぐらいまでいくと、ちゃんといい一日になるんですよ。」

「そらなるやろな。」

「もう旅行みたいやん。」

「そういうことです。」

これは、個別寄りやけど、ちゃんと“記憶に残る日”を作る玉である。

しかも、ただ高いもんを並べるんやなくて、

景色と食事と酒と歩き方まで含めて組む。

だから、博子の色が一番出やすい。

「で、それから。」

博子は、そこで少しだけ悪い顔になる。

「別に博物館とか、二条のお城とかもあったり。」

「神社仏閣に行くってのもあるっちゃあるんですけども。」

「たぶん、ちょっと刺激的に行きたいんであれば。」

「オカマバーとか。」「熟女キャバクラとか。」「マジックバーとか。」

「おお。」

「コンカフェとか。」

「はいはい。」

「そういうのを一緒に行きましょう、とか。」

「あるいは、半分貸し切りみたいな感じでやりましょう、みたいな動きはありますけども。」

社長たちは、そのへんになるとだいぶ楽しそうである。

「ほんまめちゃめちゃ面白そうやし。」

「そういうのをこの組で回してもらえるの、マジありがたいわ。」

「でしょ。」

「本当、ゴルフと、忘年会の酒飲み以外。」

「なかなか企画って出てこーへんけども。」

「そういう、ちょっと不謹慎、コンプラ無視でいろいろ動けるっていうのは。」

「やっぱりこの座組のいいところやね。」

その言い方に、博子も女の子たちも笑う。

「いや、でもそれほんまにありますよ。」

「サラリーマンでやってたらさ。」

「なんかやっぱ、反対する人っているし。」

「おるおる。」

「そういう意味では、ここは自由でええわ。」

そういうふうに、しばし盛り上がる。

で、その流れで社長の一人が、女の子たちの方へも少し話を振る。

「いやでも、他の三人だって、そりゃ色々球持ってると思いますよ。」

すると博子が先に言う。

「どちらかというと、デート寄りだと思いますけど。」

アルカちゃんとさきちゃんが、そこでちょっと笑う。

「いや、デート寄りは確かにいくつかあるけど。」

「そんな面白いプランは思いつかんわ。」

「出た。」

「でもさ。」

博子はすぐにそこを拾う。

「それを入れながら、個別のデートで使ってったら。」

「“すごい楽しかったよ”みたいな話で盛り上がれるやん。」

「それはそうやな。」

「別に全部、奇抜じゃなくてええねん。」

「王道の中に、一個だけ“その子らしい玉”が入ってたら。」

「うん。」

「それで十分、差がつくから。」

さきちゃんが、そこで少し本気で頷く。

「なるほどなあ。」

「そういう見方したことなかったわ。」

「なんか、全部博子ちゃんみたいに組まなあかん思うと、しんどいけど。」

「一個ずつ差し込むなら、たしかにできるかも。」

「それそれ。」

アルカちゃんも、そのへんで少し前向きになる。

「でもそれ、いろいろ試しながらやな。」

「そういうことです。」

博子が笑いながら言う。

「全部を一人で思いつく必要ないし。」

「みんなでちょっとずつ球増やしてったらええから。」

そうやって、全体用の玉、個別用の玉、

刺激のあるやつ、綺麗なやつ、

そういうのをぐるぐる話しながら、二セット目も実に楽しく進んでいくのだった。

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