弁護士先生お見送り後明日火曜日の打ち合わせと悪い種まきをいつもの女性陣と共有www
弁護士先生をお見送りしたあと、博子はそのままフリーの卓に戻って、帰る準備をする。
さっきまで天ぷら食べて、店の中で二セット喋って、あれこれまた変な種まで撒いてきた。
それなりによう回した一日やったなと思いながら、荷物をまとめていると、
アルカちゃん、さきちゃん、カレンちゃんが、もう察したような顔で寄ってくる。
「え、もう帰るの、博子ちゃん。」
アルカちゃんがそう言うと、博子はすぐに頷く。
「帰る帰る。」
「早ない?」
「いや、一応、金、土、日、月で、火、水ってあるからさ。」
「うわ。」
さきちゃんが少し笑う。
「あらためて言われると、だいぶ詰まってるな。」
「そうやねん。」
博子は、そこで少し肩を回す。
「とりあえず、今日のところは帰って。」「ちょっと体調整えるわ。」
「それはそうやな。」
「で。」
博子は、さっき弁護士先生に投げた球を思い出したように言う。
「弁護士先生に、またゲイバーとか、オカマバーとか。」
「出た。」
「熟女キャバクラとか。」
「おいおい。」
「マジックバーとか、その辺の種も流しといたわ。」
すると三人が、ちょっと呆れたような、でも面白がってるような顔をする。
「また博子ちゃん、悪い種まいてるな。」
アルカちゃんが笑う。
「いや、でも。」
博子も笑いながら返す。
「これ混ぜながら、他の座組も回していったら、多分一年持つで。」
「一年単位で考えてるのが、もうおかしいねん。」
さきちゃんが突っ込む。
「いや、でも本気やって。」
博子はそのまま続ける。
「博物館とか美術館は、なかなか座組で難しいやろ。」
「まあ、そうやな。」
「全員が同じ熱量にはならんし。」
「そうそう。」
「けど、熟女キャバクラやったら。」
「うん。」
「お姉さんたちも手伝ってくれるやん。」「盛り上げんのに。」「しかも安いし。」
その言い方に、アルカちゃんが少し本気で頷く。
「あー、それはあるかも。」
「でしょ。」
「個別もそうやし、座組もそうやし。」
博子は、指で軽く数えるみたいに言う。
「ちょっと色々、味変考えながらやらんとな。」
「うん。」
「通常の王道コースをまだ紹介してない座組は、それをやりゃいいけどさ。」
「なるほどな。」
「そっちを一回通したあと、変化球を入れてくってことか。」
「そういうことです。」
カレンちゃんは、そこで感心したように口を挟む。
「博子さん、よくそんなポンポンポンポン遊び思いつきますね。」
博子は、その言い方にちょっと苦笑いする。
「いやいやいや。」
「種がなくなってきたから、色々考えなあかんのよ。」
「え、もうなくなるんですか。」
「なくなるよ。」
博子は即答する。
「カレンちゃん、まだ浅いから大丈夫かもしれんけども。」
「うん。」
「マジで、種が急激に減っていくからさ。」
すると、アルカちゃんとさきちゃんが、そこは同時に強く頷く。
「それはわかる。」
「めっちゃわかる。」
「やろ。」
「いかにマンネリ化させへんかっていうのは、結構大事やもんな。」
「そう。」
博子も頷く。
「もちろん、トークでマンネリ化させへんっていうのも大事やけど。」
「うん。」
「体験型は、やっぱり数があれば、それ回ればいいっていうのがあるからさ。」
「わかりやすいもんな。」
さきちゃんがそう言う。
「相手も、“次はこれね”って乗りやすいし。」
「そうなんよ。」
「その意味で。」
アルカちゃんも続ける。
「体験型って、向こうもわかりやすいんよね。」
「そうそう。」
「トークだけで新鮮さ出し続けるの、そらできたら強いけど。」
「毎回それはきついしな。」
「だから、店、場所、遊び、メンツ。」
博子が少し整理するように言う。
「そこをちょっとずつずらしていくしかない。」
「なるほどなあ。」
カレンちゃんは、まだそのへんを“話としてはわかるけど、実感としてはまだこれから”
という顔で聞いている。
でも、その顔を見て、博子も別に悪くないなと思う。
最初から全部わかってる必要はない。
むしろ、今のうちにそういう発想だけでも入っといた方が、あとで効いてくる。
「まあ。」
博子は、最後に少し笑って言う。
「私も、球ない球ない言いながら、結局絞り出してるだけやから。」
「いや、それがすごいんやって。」
「ほんまそれ。」
「でも、もう今日は帰るわ。」
「了解。」
「明日は?」
アルカちゃんが確認する。
「昼過ぎ、夕方ぐらいから山崎のウイスキー工場やから。」
「おお。」
「みんな14時くらいに大阪集合ね。」
「了解。」
「遅れんようにします。」
「で、そのあと西中島の小料理屋やったっけ?」
「そうそう。」
「きれいやな。」
「一発目としては、まあそんな感じで。」
「よし。」
そうやって、最後に明日の段取りまで軽く確認して、
四人はきれいに散るのでございました。
今日は早めに帰る。明日はまた山崎。薬品会社の社長たち。
水曜もある。
忙しいのは忙しい。
でも、こうやって女の子たちと少しだけ先の話をして、
“明日みんな集合ね”で締められるのは、
これはこれで悪くない。
博子は、そんなふうに思いながら、
ちょっとだけ早い時間に店を出るのだった。




