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7月4週目月曜日。弁護士先生との同伴の店選びも大事だが東京メイン社長への返信内容をじっくり考える

月曜日。夜は弁護士先生との同伴が入っている。けれど、朝起きた時点では、

正直なところ、なんかこう、ぴしっと一手が思いつかへんなという感じやった。

昨日までが濃すぎた。

土曜は勝負の座組。日曜は定番コースをきれいに回して、最後に東京メイン社長から

二本のメールまで来た。

だから、身体は休んでても、頭の中はまだずっと動いている。

「んー……。」

博子は、ぼんやり天井を見ながら考える。

弁護士先生との同伴やったら、無難におばんざいの店を押さえるのはありや。

落ち着くし、喋りやすいし、月曜日の夜にはちょうどいい。

でも、イタリアンの店もいいかな、という気持ちもある。

景色が抜けて、少し気分が変わる。

その二つぐらいで、朝から少し迷う。

とはいえ、今日ほんまに先にやらなあかんのはそこやない。

東京メイン社長に、しっかりしたメールを返さなあかん。

昨日のうちに一回、短くお礼は返した。

でも、今日はちゃんと整理して、こっちの考えも含めた文を送らんとあかん。

そう思うと、気持ちは自然とそっちに向いていった。

さきちゃんとアルカちゃんとの座組の話は、どうせ夜店に行ったらまたする。

あの二人とは、もう今さらLINEで長々詰めんでもいい。

だから、そこは一回置いとく。

今はまず、東京メイン社長への返事や。

博子は、朝からスマホを開いて、文面を考え始めた。

まず、座組の構造解説の話。

あれは今回限りに近い。

もちろん、また「なんでこれが刺さったのか」とか、「こういう時はどう組むのか」みたいな

解説が必要なら、その都度別で色々用意することはできる。

でも、あそこまで丸ごと全部、手品の種明かしみたいに話すのは、毎回やるもんでもない。

そこは、やんわり伝えた方がいい。

“今回限りです”と突っぱねるんじゃなくて、

“また必要なら別途用意します”ぐらいの温度感でええやろう。

それぐらいが、たぶん向こうにとっても受け取りやすい。

次に、制度コンサルの話。

これは、正直なところ、久々にちょっと嬉しかった。

ただの酒の場の雑談で終わらず、「じゃあ次、何あるん?」と向こうから聞いてきている。

これは小さいようで、かなり大きい。

だから、ここは博子の中でも少し丁寧に返したかった。

ラインナップとして思い浮かぶのは、まず社食や食事補助や。

月額の非課税枠が三千五百円から七千五百円に変わる流れがある。

そういう制度を導入してる会社は、今後たぶん増えていく。

若手の可処分所得に効くし、給与で上げるより見せ方が柔らかい。

その辺の見積もりや、どういう会社がどうやって入れてるかの他社事例も、軽くまとめることはできる。

それから、出産一時金を百万円積んでる会社みたいな、女性採用や定着に関する先行事例。

そのへんも、雑誌やネットをちらっと見ながら、「こういう会社ありますよ」という形で出していける。

あと、面白法人カヤックみたいな、ちょっと変わった制度の話。

毎月サイコロで給料を何パーセントか上げるとか、そういう“おもろいけど、理念が見える制度”の紹介。

そういうのも、テーマを決めて時々出すみたいなのは、案外ありかもしれへん。

ただ、ここでヒロコは少し立ち止まる。

これを“コンサルティングフィーが欲しいからやります”みたいに書くのは、ちょっと違う。

もちろんお金になれば嬉しい。

でも、今回の流れを壊さないためには、

“社長との会話のきっかけ”

ぐらいに置いた方がきれいや。

博子はそう思った。

だから文面としては、

コンサルが欲しいというよりも、こういう話を時々投げながらやり取りできたらなと思ってます、

ぐらいにしておく。

メインは全然、お店に来てくれることでいいと思ってるんで。

この一文も入れた方がいい。

向こうが「じゃあ毎回金払わなあかんのか」と身構えたら、今の温度が鈍る。

そうじゃなくて、遊びの延長で、でも時々こういう気づきも入れる。

そのぐらいの関係の方が、今はたぶんちょうどいい。

さらに、昨日話に出たじゃないですかと。

女の子たちから、社長たちに「こんなお店どうですか」と提案する遊び。

あれも一つ、メールの最後に軽く入れておきたい。

店そのものを一軒投げるんじゃなくて、博子はそこでふと思いついた。

小山商店さん。多摩にある、かなりでっかい酒屋さん。

年商十億ぐらいあるって話も聞いたことがあるし、品揃えが抜群。

酒好きの人には、たぶんそれだけでも結構刺さる。

だから、「お店」ではなく、「行き先」として紹介するのはありやと思った。

小山商店さんを訪れる。

で、その辺で美味しいご飯屋さんがあれば、社長たちの方でも探してみてもらう。

こっちも一本メール送りますんで、という形にする。

それぐらいの軽い投げ方が、今回の流れには合ってる気がした。

そこまで文面を考えて、博子は一度スマホを伏せた。

まだ送るにはちょっと早い。

頭の中では形になってるけど、もう少し寝かせてから読んだ方がいい。

夜の疲れも、まだ完全には抜けていない。

月曜の朝やし、弁護士先生のこともある。

だから一旦、夕方ぐらいまではゴロゴロすることにした。

布団に横になりながらも、頭の中では文面が少しずつ整っていく。

弁護士先生は、おばんざいかな。

いや、イタリアンでもええかもしれん。

でも、まずは東京メイン社長へのメール。

その返しをきっちり作ることが、今の博子にとっては、何より大事な仕事やった。

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