博子の講義とコンサルティングフィーに関する評価について確認する。予想以上に刺さっているなという印象
もう一件のメールも、そろそろ見るかと博子は思った。
さっき開いた方は、女性陣三人への評価。そっちはそっちでかなり大事やったし、
実際に三十、三十、四十という形で、前回よりも全体がちゃんと底上げされているのが見えて、
まずはほっとした。でも、ヒロコ自身としては、もう一件の方――コンサルティングに
関するメールも、実はかなり気になっていた。
今回、自分の中では、構造解説の方は結構刺さった感があった。
だから、後半二時間の「なんでそんなに刺さったのか」の解説に関しては、
最低でも二十かける二、つまり四十ぐらいは来るかな、という読みはあった。
一方で、制度設計コンサルの方は、正直なところ読みが難しかった。
自分としてはかなり面倒くさいことをやっている感覚がある。
しかも、単なる思いつきではなく、「利益マイナス費用で二千万円ぐらい浮くかもしれませんよ」と
いう話まで持っていっている。
だから、理屈で言えば二十万もらえたら嬉しい。
ただ、現実的には、夜の場やし、キャバクラやし、値引きが入って十五かける三、四十五ぐらいで
落ち着いて、合計したら八十五万ぐらいもらえたら十分嬉しいかな、という見立てもしていた。
そんなことを考えながら、スマホを開く。
そのたびに、頭のどこかで、転生前の記憶の中にいる四十二のくたびれたおじさん――博之が、
「いやいやいやいや、もうどういう世界観でやってんねん」と突っ込んでくる感じもある。
二十歳のキャバ嬢が、夜中に風呂上がりの髪のままで、コンサルの単価を読んでるのは、
自分でもちょっと笑ってしまう。
でも、現実にその流れができてしまった以上、もう見ないふりはできへん。
メールを開いて、博子は一瞬、目を丸くした。
男性陣は、思った以上に刺さっていた。
構造解説に関しては、三十万かける二をコンサルティングフィーとして払う、と書いてある。
額そのものももちろん嬉しい。
でも、それ以上に博子が嬉しかったのは、「ちゃんと刺さって、ちゃんと理解してくれた」と
いうことやった。あの二時間の種明かしが、ただ面白かったではなく、他の社長二人にまで
腹落ちしていた。そして、その結果として、女の子二人に対しても、京都大阪に対しても、
明らかに興味が向いた。それが、何よりでかかった。
続いて、制度設計コンサルの方。
こっちは思った通り、二十かける三で収まっていた。
そこはむしろ、博子の読み筋に近かった。
ただ、その先が良かった。
実際に動いて、利益が出たら、その分は上乗せする。
さらに、別のお品書き――別テーマの制度案や気づきがあるなら、また出してくれ、と書いてある。
つまり、一回きりの思いつきで終わらない。
定期的にやれば、ちゃんとお金になる可能性が見えた、ということやった。
それは、博子にとって想像以上に大きかった。
キャバ嬢として今後どうしていくのか。
年齢が上がって、若さの売り方が通じにくくなった時に、自分は何で立つのか。
その中で、こういう“コンサルっぽいもの”が乗ってくるというのは、ただの小遣い以上の意味があった。
夜の接客と、気づきと、数字と、社長たちとの距離感。
それを束ねてお金にできるとしたら、それは新しい道の開拓や。
まだ細いし、形も定まってない。でも、ゼロではない。
そのことが、博子にはかなり有意義に感じられた。
もろもろの詳細は、後日ちゃんと送ろうと思った。
今ここで長々返すより、まずは受け取りました、ありがとうございます、
というボールを返す方がいい。時間も夜中や。
向こうももう、家に着いて少し落ち着いたぐらいのはずや。
だから博子は、丁寧だけど重くなりすぎない文面で返した。
――夜分遅くに失礼します。
二件ともメール拝見しました。
詳細はまた月曜日以降にきちんとお返しさせてもらいますが、まずは評価いただきまして
ありがとうございます。
女性陣二人にも共有させてもらいました。
時間も遅かったので、細かい話はまた後日という形ですが、二人とも感謝しておりました。
また、私のコンサルに関しても非常に高く評価いただきありがとうございます。
改めて、詳細はまたきちんとお送りしますので、よろしくお願いします。
送り終えると、ようやく肩の力が抜けた。
風呂上がりの身体はもう一度眠気を思い出している。今日と昨日で、ずいぶん濃い二日間やった。
でも、ちゃんと回せたし、ちゃんと評価も返ってきた。
ヒロコはスマホを伏せて、深く息を吐いた。とりあえず、今日はもう寝よう。
細かいことは、また月曜日に考えればええ。そう思って、部屋の灯りを落とした。




