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深夜。博子、東京メイン社長からのメールを確認する。チームの座組が評価頂けたからよかったと安堵し女子二人に共有

博子は家に帰ってから、ようやく一息ついた。

玄関を閉めた瞬間に、ああ終わったなという感じがして、靴を脱ぎながらちょっとだけふらつく。

土曜日の濃さと、日曜日のソフトプランの気の抜けなさと、両方が一気に身体に来ていた。

とりあえず風呂をためて、湯船に浸かる。あったかい湯が身体に回っていくにつれて、

昨日今日とでじっくり疲れたな、というのをようやく自覚した。

店にいる間は気が張ってるから、そんなにしんどいとは思わへん。

でも、風呂の中で一人になると、肩も腰も、喉も、全部が「ようやった」と言ってくる感じやった。

「……まあでも。」

博子は、湯の中で小さく息を吐いた。

「うまいこと回せたとは思う。」

土曜は勝負。日曜は定番のソフトプラン。

どっちも役割が違うけど、どっちもちゃんと意味があった。

講義までやったのは、さすがにちょっと自分でもやりすぎかなと思わんでもなかったけど、

結果として社長三人の腹落ちは取れた。

アルカちゃんもさきちゃんも、前よりちゃんと見せ場があった。

それなら、今回はこれでよかったんやろう。

そう自分を納得させて、博子はそのまま一眠りした。

夜中にふっと目が覚める。

部屋は静かで、スマホの通知だけが小さく光っていた。

見ると、東京メイン社長からメールが二本来ている。

一つは座組に関するもの。

もう一つはコンサルティングに関するもの。

どっちも大事やけど、博子にとって、まず気になるのはチーム全体でどういう評価を得たかの方やった。

前回は、アルカちゃんもさきちゃんも十五。

だから、最低でもそこは積んでほしいな、とは思っていた。

そこを割られると、せっかく今回みんなで丁寧にやった意味が、少し薄くなる気がしていたからや。

メールを開く。

メイン社長らしく、結構細かく要素採点してある。

そもそも来てくれたこと。

移動。酒蔵。鳥せい。黄桜。帰りのラウンジ。

全部を分けて見て、その上で結論として三十。

博子は、文面を追いながら、自然と少しだけ口元がゆるんだ。

「……とりあえず、よかったな。」

ちゃんと見てくれていた。

しかも、ただ勢いで積んだんじゃなくて、「今回は前より進んでいる」というのを、

向こうなりに整理して金額にしてくれている。それが嬉しかった。

遊びの種も仕込んだし、伏見の流れもちゃんと回したし、あとはまた次に

大阪の方へ向いてくれたらいい。

そのためには、こっちも色々仕掛けながらやらんとあかん。

別のコンサルの種も、関東の店ネタも、まだまだ打てる玉はある。

でも、少なくとも今回、向こうが「銀座六本木で遊ばへん」とまで言ってくれてる分、

こっちへ向いてもらえる可能性は高い。

そこに対して努力せなあかんけど、結果としてはよかったな、というところやった。

で、今回博子自身は四十。

これも、文面を見ているうちに、なんとなく構造が見えた。

前回ほど露骨な差ではない。

でも、座組の組み立てをした分と、東京メイン社長が余計に刺さった分で、プラス一〇されている。

つまり、前回みたいに博子だけ突出という感じではなく、チームとして底上げしたうえで、

自分だけ少し上に置いてくれている。

そのバランスが、今回としてはむしろきれいやなと思った。

「……これ、このまま送っちゃえ。」

変に遠慮して、いやいや二人と揃えてだの、また調整してだのをやり始めると、

せっかく向こうが気持ちよく決めた流れが鈍る。

それに、今回はちゃんとアルカちゃんもさきちゃんも三十で見てもらえてる。

そこが大きい。

だから、博子はそのまま二人に転送、内容を共有することにした。

文面は重くしない。

「今回こういう評価をいただきました」

「前回より進んでる感じやから、私はこれで受けとこうかなと思ってる」

そのぐらいの温度で送る。

余計な解説は入れない。

二人も二人で、読めばわかるはずや。

送って少しすると、すぐに返事が来た。

アルカちゃんからは、短く「了解」。

さきちゃんからは、「また月曜話そう」。

そのあとに、二人とも「でも本当にありがとう」と添えてくれていた。

博子は、その文面を見ながら、少しだけ肩の力が抜けた。

講義をやって、自分の手品をばらして、座組を回して、店にも落として、外でも回して。

その全部を一人でやったわけではない。

最後にちゃんと「ありがとう」が返ってくるなら、今回はほんまにチームで回せたんやろうなと思えた。

夜中の部屋はまだ静かで、風呂上がりの身体には少し冷えた空気が気持ちよかった。

東京メイン社長からの二本のメール。

女の子二人からの返事。

それを見届けて、博子はスマホを伏せる。疲れはある。

でも、結果としてはよかった。そう思える夜やった

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