衣装合わせ。
「この学校、本当にイベント好きだよねー。」
放課後、幼馴染の龍にお呼び出しを受けた私とディは強制的に演劇部の部屋に連れてこられた。
詳しい説明を特に受ける間もなく、渡された洋服に着替えさせている状況である。
カーテンで簡易に仕切られた小さな個室の中で着替えると、演劇部の皆さんが簡単にヘアメイクをしてくれる。
「学祭で選ばれたミスとミスターは卒業するまでイベント毎にお揃いのお揃いの衣装をきて出席するわけ。で、今年俺らは3人だから生徒達のアンケートがギリギリまでまとまらなかった訳。」
「結局なんの衣装なんですか?」
「俺も知らん。」
「ちょっと、そこは把握しときなよ皇帝!」
「俺だって把握していないことはある。こういうのは大体梓の仕事だ。」
「龍が全部綺麗に覚えていたらびっくりですよ、逆に。」
ディに冷静なツッコミをされていた。
ディと龍の衣装が分からない状態だが、なんとなく私は気づいてしまった。
水色のワンピースに、パニエ、黒のリボン白いフリルのエプロンに、白黒のボーダー靴下に黒のショートブーツ。
これ、アリスだな。
ってことは2人は誰の格好をするんだろうか?
自分自身の準備が終わると個室から出て2人を待つことにした。
「アリスか。じゃあ、俺はチャシャ猫なんだろうな。」
個室から出てきた龍はピンクとラベエンダー色の猫耳とベージュのシャツにピンクのリボンに茶色のズボンにロングブーツ。
耳と同系色の尻尾が付いている。
「似合うね。じゃあディは白うさぎかな?」
「アリスによく絡むのはそのキャラクターがイメージあるな。」
「正解ですね。」
一番最後に出てきたディは、オフホワイトの上下で黒のショートブーツに腰に懐中時計を下げえて、頭にはウサギの耳が付いている。
首元には赤いリボンが結ばれていて、恥にトランプのハートの模様が刺繍してあった。
テーマは不思議の国のアリスだと分かったが、この2人が歩くだけで交通渋滞が発生しそうなんだが、大丈夫だろうか?
「しかし、フィーはリアルアリスだな。」
「何を着ても、安定の可愛さですね。」
龍にハグをされ、ディに指先にキスをされた。
この2人は、身内に限定でナチュラル王子をするからな。
だから、ファンが増えると思うのよ。
まぁ、周りの部員さん達もチャンスとばかりに写真を撮っているし行動が早いわ。
「それで実際ハロウィンパーティって何するの?」
「お菓子の交換と他学年との交流だな。高等部は大学部と一緒。まぁ希望者だけの参加だからな。俺らは強制参加だから・・・・めんどくさそうな顔をするなよ。」
「ぜひ、希望者だけで楽しんでいただきたいですね。」
「まぁまぁ、楽しめればいいじゃない。」
ディの腰を撫でてやりながら苦笑する。
ハロウィンのイベントでろくな思い出がないので、仕方がないと思うのだけれど。それを言ったら私も同じ気がするのよね。
兄達の愛情表現は、場合によっては嫌がらせにしかならないし、私も何度怒ったことがある。
ある意味いい迷惑だった。
「リアとルークいないから今年は絶対楽しめる、はず?!」
「だといいですねー。」
「リアム達が絡むと大変だよな、毎回。」
「イタズラ好きだからね、悪気がないから余計にタチが悪い。」
思い出したらため息が出てくるが、スマホを取り出す。
「記念写真撮ろうよ。絶対当日そんな暇があるとは思えない。」
「よく分かってんな。」
ということで3人での写真を部員の方に写真を撮ってもらった。
撮影した写真は、ギルとイヴの2人に送った。
2人とも手軽に空いた時間にでも見るだろうと思って。
リア達には絶対送らない。
一応龍とディにも釘を刺すと制服に着替えることにした。




