オークと死と本性?
ヒロイン(?)登場です、真っ黒ですね(笑)
「グォォ…ドコダ……」
などとブツブツ呟きながらそこら辺にを徘徊する緑肌のオーク、かれこれ十分ぐらいは過ぎましたけど、いい加減どっか行ってくれないですかね。
「………!」
それにしてもオークガこちらに近づくたびにぎゅっと震えながら抱きついてくるこの可愛い生き物は本当にゴブリンなのでしょうか、未だにステータスがバグったんじゃないかと思います。
“しかしこれでは千日手ですね…”
このオーク、この辺りを一周するたびに鼻をヒクつかせています、どうやら臭覚で相手の居場所がわかる様ですね。流石にこの泥も除臭効果なんてものはないので何処かに隠れてるのは悟られてるのでしょう。
“ステータスは結構高いですね…”
そう、このオーク実は結構強かったりする。
ステータス
種族:オーク
個体名:
性別:雄
年齢:37
Lv:36
MP:230/150
VIT:867
STR:687/687
DEX:59/56
AGI:319/210
INT:30/28
固有スキル:
怪力B-
超臭覚C+
スキル:
格闘B+
所持物:
大樹の涙:年を経た霊木の樹液
称号:
こんな感じです、殴られたら多分即死ですね。
“う〜ん、私の泥でなんとか出来ませんでしょうか…”
私自身のステータスは貧弱そのものだけれどもこの泥は違います、まずそもそもステータスが見えません。
“まぁステータスに頼るわけでもないですけど。”
この泥、スキルによれば腐蝕系か神経系だかの猛毒が付与される様です。使ったことないので効果は分かりませんが多分この状況を打破するぐらいならできるはずです。
“と言うわけで棘でも作って…”
槍状の触手完成です。
“しかし外観では分かりませんね…”
感覚ではちゃんと毒は発動されてる筈ですが色も臭いも無く相変わらず黒いばっかりです。
“まぁ好都合ですね、今勘付かれたらちょっと厄介ですし。”
そしてオークが近づいてくるのを待ちます。
“あぁ…それにしてもこの子ほんと可愛いです…心なしかいい匂いもします。”
怖がらなくてもいいですよゴブリンちゃん、オークはもうすぐこの世とさよならする予定ですから。
一歩また一歩と私達の隠れる茂みに近寄るオーク、私は先の尖った槍触手を地面にぶっ刺します、そして
「ウグォォ…ドコダ…ゼッタイココニイ…グォォ!!?」
後ろの地面から斜め上に放たれた触手は見事にオークの腹にぶっ刺さりました、迸る人間とは違う黒味がかかった血が辺り一面を濡らします。
ブスリ
触手を抜くと仰向けに倒れるオーク、小山のような巨躯はピクピクと痙攣した後完全に沈黙しました。如何やら成功したようですね。
“角が有ればもっと楽だったんですけどね…”
馬鹿正直に正面から放つ場合避けられる可能性があったので、地面に刺して後ろからクリティカルです。ちなみに一応この泥、私と感覚を共有して操作精度上げられるんですが…
“ミミズの気分がよく分かりました…これからは感覚共有は出来るだけやめましょう…”
気持ち悪いったらありゃしないです。
そして私が身体に纏わりつけていた泥を落とし、腕の中の少女に声をかけようとした矢先
「ウグォォ…」
横目にチラリと見えたオークのステータスは、一つ変化していました。
“所持物…大樹の涙が消えてる…?”
そしてそいつは地面にあった握り拳二つぐらいはある岩を投げてきました。
私ではなく、もう一人の少女へ。
“そんな…!”
まだあいつを殺した槍状の泥は引っ込めていません、今が徹底的に殺す最後のチャンスです。
“だけど…”
それではあの岩を防ぐ術が無くなります、この泥に対する複雑な並列操作は出来ないのです。
自分の非力さがこれほど恨めしいと思った事はありません。
決断を迫られるのは、一瞬でした。
“嘆いてどうにかなるわけでもありませんですね、イチかバチかです!”
私は迷わずオークの足元にある泥を使い、今度は脳天をぶち抜きます。
そして迫りくる高速の岩、すでに私に残された時間では泥を出して防御することはできません。
そして、内心ため息をつく
“大丈夫ですよね、多分…”
私は一縷の望みを託し、少女を突き飛ばしました。
そして、私の頭は元々彼女がいた場所へ移動し、脳天が張り裂ける痛みとともに視界が真っ暗になっていきます。
“死ぬって、痛いんですね…”
問答無用でオークを殺してしまった事に少々後悔しながら、私は意識を失いました。
・・・・・・
「バカな人…」
少しの演技ですぐに引っ掛かって劣情を伴うくだらない正義感に走る。
他の奴らと何ら変わりない、簡単すぎてあくびが出る。
“身ぐるみはいでさっさと行きますか…うん?”
視界の先にはさっきの変な泥使いの風船みたいに破裂した脳天がある…はずだった。
「噓でしょ…治ってる?」
高速で飛来する岩に粉砕されたはずのそいつの頭は、痕跡すら見せずに復元されていた。
「何か魔道具でも持ってたのかしら…死なせたのは失策ね…」
元々あのオークに追われてたのも魔道具のためなのに。
「骨折り損ね…」
そして踵を返す、こいつがどうなろうとも私の知ったことじゃないし…
「……」
脳裏に浮かぶのは私を突き飛ばしたときの彼女の瞳。
片方に変な刺青を入れたヘンテコなオッドアイだったが、その目には微かな怯えと、確かな覚悟が宿っていた。
“眩しい、か…こんなバカバカしい物が私にもまだ残ってたなんてね…”
「それなりに強くてちょろいし、つれてけば使えるし…って誰に言い訳してるのよ私は。」
それにしても、以外に重いわねこいつ…




