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海風の街 ライフストーリー  作者: SPECIAL BAY


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6/9

佳夏、先生に会う

私は電車に乗った。

ちょっと、

街に買い物に行こうと思って。


私の名前は佳夏(かなつ)。

大学生の女の子。


私は愛する友達とガールズバンドを

組んで活動している。


「YOUR-WINGS ! (ユア・ウイングス!)」って名前。

私の担当はベース。


高校生の時からベースに触れていて、

今では仲間と楽しく想いを込めて

演奏ができるようになった。


今日の電車はそんなに人が多くない。

席がたくさん空いていて

どこでも座れそう。


正面の席がちょうど空いている。

そこに座ることにした。


その席の方を見た。

すると、誰かと目が合った気がした。


とても優しい瞳と。

なんだか懐かしい感じがする。


もう一度、そちらの方を見た。


その瞬間、時間が巻き戻り、

なんだかタイムスリップしたような

気持ちになった。


私はそれが誰であるか分かった。

目が合った相手も気付いていた。


私は思わず声をかけた。


「あっ! サクラ先生!

お久しぶりです!」


「えっと・・。

もしかして、佳夏さん!」


「そうです!」


「佳夏さんだ~。

久しぶり~。

元気にしていた?」


そこにいたのは、

中学生の時の担任の先生である

サクラ先生だった。


サクラ先生は女性の先生で

当時教えていたのは数学。


授業が面白くて楽しかった。


ただ教科書の内容を教えるだけではなく、

それ以上のことを教えてくださった。


話が脱線しすぎて

全く関係ない話をしている時もあったけど。


私は数学がとても苦手で嫌い。


だけど、私はサクラ先生の数学の授業だけは

まじめに勉強しようと決めていた。


(まぁ~、宿題を忘れたり、

テストの点数が悪かったり、

授業中にうとうとしたりしていたけど・・。)


サクラ先生とは友達のようによく話し、

何か不安なことがあれば

悩みを聞いてもらっていた。


いつも頼るのはサクラ先生だった。

とてもお世話になった感謝している

優しい先生である。


尊敬するサクラ先生。

今も変わらない

優しい雰囲気のままである。


サクラ先生は懐かしそうに聞いた。


「佳夏さんは今、

いくつになるんだっけ?」


「私はちょうど二十歳です! 」


「二十歳か~。若いね~!

ってことはもう成人したんだね!


佳夏さんももう成人か~。

私も歳とったわ~。

成人ってことは成人式には行った?」


「行きました!

いや~。楽しかったです!


お気に入りの振袖が着られて、

大人になったんだな~って

実感しました!


中学校の同窓会もあって。

久しぶりにクラスの友達に会いました。


みんな、全然、

変わっていないなぁ~って。

そう思っていたら。


あの・・。

テニス部にいた・・。

あのとてもテニスがうまい子・・。

亜梨花(ありか)ちゃん!


そう、亜梨花ちゃんの雰囲気が

めちゃくちゃ変わっていて、

女優さんみたいになっていました!


あと、男子は雰囲気が

変わっている人が

何人かいました~。


あの史人(ふみと)くんなんか、

見た感じ誰か分からなかった!


急に『佳夏ちゃん!』って呼ばれて、

『誰?』って言いそうになりました!」


「そうなんだ! それは楽しそうね~。

私も会いたかったなぁ~。

ごめんね。

私は行けなかったから。

でも、佳夏さんの話を聞けて嬉しく思うわ。

みんな、元気でいることが一番だよ!」


「サクラ先生もお元気そうでよかったです!」


私は久しぶりに見た

サクラ先生の笑顔に温かさを感じた。


電車の中はいつも以上に

優しい陽だまりに包まれていて、


先生と恋愛の話をした放課後を

思い出した。


あれは日直の当番の時だっけ?

ああ、中学生って今以上に若かったなぁ~。


「佳夏さん、今は・・学生だっけ?」


「はい! 現役の女子大生です!

初めての一人暮らしになりました!


最初は寂しかったんですけど、

今は友達もできて楽しいです!


そうだ! 先生!

今、私、音楽のバンドをしているんです!


ベースっていう楽器をやっています!

中学生の時の宣言通りになりました!


作文みたいなやつに書いていたんです!


『リコーダー以外の楽器もできるようになり、

いずれはライブをする』って!


それ、叶いました!!」


「ふふ、それはすごいね!

佳夏さん! バンドをやっているんだ!

ベース! かっこいいね!」


「そうなんです!

私、結構、かっこいいんですよ!


ふふ! ・・いや、冗談です・・!

あ~危ない!

また調子に乗っちゃうところだった!


ダメダメ~。

いや~。たくさん練習をしないと~。

またミスしちゃう・・。」


「練習、大事だね~。

佳夏さん、頑張れ!

応援しているね!」


「先生~~、ありがとう~~。」


私は数年ぶりにサクラ先生と話す。

あの頃のままだ。

その楽しい会話の中で私は改めて思った。


「サクラ先生は本当に優しい先生だ。

もっと話がしたいなぁ。

あの話もしようかな?


だけど・・。

今日みたいに偶然、

会う機会はもうないかもしれない・・。


だから・・。

あの日のことだけは・・。

言わなきゃ・・。


そうだ。

私はサクラ先生に

言わなきゃいけないことがある。

それをここで伝えよう。」


そう思って軽く深呼吸をし、

少し真剣な顔をして

私はサクラ先生に言った。


「先生、

謝りたいことがあるんです・・。」


「えっ! 佳夏さん、急にどうしたの?」


「先生! あの時はごめんなさい!

覚えてないかもしれないけれど・・。


柚恵子(ゆえこ)さんと

掃除当番のことで喧嘩をしてしまった時。


先生はきちんと

お互いの意見を聞こうとしていたのに・・。


私は先生に

ひどいことを言ってしまって・・。


謝ることもできなかった・・。

ずっと心残りだったんです。


あれは本当に私が悪くて・・ 。

先生、あの時はすみませんでした!」


私はずっと言えなかった想いを伝えた。

先生は驚いた顔をしていた。


「いやいや、今更、

そんなことを謝らなくてもいいよ~。

覚えてないし・・。


でも、感心しちゃった!

ちゃんと過去のことも

謝ることができるなんて!


佳夏さんは本当にあの頃から

変わらない優しさを持っているんだね!


嬉しくなっちゃった。

佳夏さん!

あなたはその優しさと少女のような

笑顔を忘れないで生きてね!


きっと、その心や笑顔で

救われる人がいると思うから!」


「本当~! 先生、ありがとう~~。」


「ふふ、本当に、佳夏さんは~。

かわいいんだから~。


あっ、私は次の駅で降りるね!

佳夏さん、今日は偶然だけど

会えてよかった。元気でね!」


「こちらこそです!

サクラ先生とまたお話しできて泣きそうです~。


先生もお元気にいてください!

サクラ先生は憧れの先生です!!

たくさんのことを

教えてくださってありがとうございました!!」


「佳夏さん、ありがとう!

そういわれると私も嬉しくて泣きそう。


あっもう駅に着いちゃったね。

それじゃ、

佳夏さん、またね~~。」


「サクラ先生、また~~。」


私は久しぶりにサクラ先生に会って、

あの時に言えなかった

感謝の気持ちを伝えることができた。


あの頃にはまだ気づかなかった

サクラ先生の優しさに気付いたからだ。


私はまだ二十歳で

これから大人になっていくけれど。


これからもっと

気付いていくことがあると思う。

その時に伝えたい想いが出てくるんだろうな。


もう一度会える機会があるなら

それを伝えたい。


サクラ先生は私に手を振っていた。

私もサクラ先生に手を振った。


どんどんと遠ざかっていく先生。

どんどんと遠ざかっていく

先生と過ごした日々。

また会えるかな?


ふと思い返すと

そこにいる

私の人生を支えてくれた人。


これからもきっと増えていく。


私を乗せた電車は

次の駅へと向かった。


(おしまい)




読んでくださり、ありがとうございます!!

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