流湾、映画館へ行く (第4部)
映画を見た後に
ゲームセンターで遊んだ
流湾、陽呼子、
鮫郎、佳夏の
仲良し4人組は
ショッピングモールを出た。
実は佳夏の提案で
プリクラも撮影した。
なんだか目がでかすぎる妖怪みたいな
写真ができあがっていた。
鮫郎は「お魚みたいだね!」と言って、
『おさかな天国』という文字を入れていた。
よく意味が分からない。
次に4人は海辺の広場で
偶然、今日行われているイベントへ
行くことにした。
出店の屋台がたくさん出ているようである。
お腹もすいてきたし、なんだか楽しそうである。
イベント会場―
「何か食べようかな?」
突然、陽呼子は言った。
その言葉に流湾が
周りのキラキラした屋台を
眺めながら返した。
「りんご飴は?」
陽呼子はその言葉に
「いいね!」と微笑んだ。
流湾はすぐに買いに行こうと
思った。
しかし、振り返ると
もう陽呼子はりんご飴屋台の
列に並んでいた
流湾も急いでその隣に並んだ。
そして
りんご飴を人数分買った。
鮫郎にも渡そうとしたが、
鮫郎はさっきクレーンゲームで獲った
ポテトチップスを食べていた。
鮫郎がポテトチップスを食べるのは
いつものことである。
鮫郎は
「ありがとう!
ポテトチップスと組み合わせて
食べるよ~」
と言っている。
あまり、合いそうではないが
とりあえず渡した。
流湾はりんご飴を頬張った。
パリッと甘さが広がる。
陽呼子もりんご飴を食べていた。
流湾の方を見て、また微笑んだ。
その瞬間はドキッとなる。
なんだか顔が熱くなる。
りんご飴が溶けて
ズボンに落ちそうになっていた。
夕暮れの海辺の広場には
涼しい風が吹いていた。
海には夕日がキラキラと揺らめいている。
気づけば、鮫郎と佳夏は
どこかに行ってしまっていて、
陽呼子と二人きりになっていた。
陽呼子にそっと話しかけた。
「陽呼子、海が綺麗だね。」
「そうね!」
流湾は夕日に揺れる海と
陽呼子の顔をみながら
伝えたい想いをできるだけ
あの穏やかな海のように
柔らかくしつつも伝わるような
言葉を探して言った。
「陽呼子、最近は楽しく過ごせている?」
「なんで急にそんなことを聞くの~?
今日はみんなと一緒に遊んで楽しかったよ。」
「それならいいんだけど。
映画を見ていてふいに思ったんだ。
陽呼子は悩んでいないのかなって。
ほら、陽呼子、この間、悲しそうな顔で・・。」
「心配してくれているの~?
大丈夫だよ。ありがとう。
私は流湾くんのことが心配だよ。
頑張りすぎていたから。」
「そうかな? 僕は大丈夫だよ。
ありがとう・・・。
なんだか、僕たちはどこか似ているところがある
気がするんだよね。
一緒にいると落ち着くというか・・。」
「なにそれ、でも分かるかも・・・。」
気持ちのよい海風に吹かれて、
ほろ酔いになったような状態で話をしていた。
きっと、この酔いは
心の中にある想いが溢れつつも分解できずに
頭をぼんやりとさせている。
今なら陽呼子に
考えると怖くて伝えられなかった
この想いを伝えられそうである。
そう思って
一度、深呼吸をした。
そして、言った。
「陽呼子・・・、僕は・・・。」
「る~わ~ん!! 流湾! 流湾!
綿あめを買ってきたぞ!
砂糖の塊! ザラメの雲!
ほい! 陽呼子ちゃんの分もあるよ!」
その穏やかな波音を
かき消すような言葉で
急に酔いが覚めて、
現実に引き戻された。
「また・・。邪魔された・・。」
大事なところで現れたのは鮫郎だった。
もうあの夕暮れの染み入るような
ロマンティックな雰囲気は
完全にサメが現れたことでかき乱され、
ざわざわと騒がしくなってしまった。
流湾は大事なところで
そのサメに襲われてしまった。
一方で、一緒に戻って来た佳夏は
子どものようにはしゃいでいた。
「なんだか、夏祭りみたいな気分だよね!
浴衣を着たかった~。
花火とか上がらないのかな?
花火、見たいなぁ~!」
鮫郎もそれに同意する。
「花火、見たいぜ!!
夜空を彩るポテトチップスみたいな
花火が見たい!」
「どんな花火だよ!」
流湾は鮫郎にツッコんだ。
鮫郎は不思議そうな顔をして言った。
「ポテトチップスは口の中で
『パリッ バリボリバリボリ』と
おいしさが広がるだろう? そんな花火。」
「いや、だから、そんな花火ねぇーよ。」
流湾は邪魔をされた分だけ
鮫郎に強く言った。
佳夏は笑いながら
鮫郎の言葉に付け加えた。
「塩味が効いた花火ね!」
「そう! 佳夏ちゃんには分かるよね?」
「うん! なんとなく!」
本当、鮫郎に加えて佳夏はバカである。
二人だけでポテトチップス花火を
打ち上げていればいいと思う。
そんなポテトチップス花火よりも
陽呼子にこの想いを
打ち上げたかったのだ。
その想いも誰かのせいで
ふやけたポテトチップスのように
不発した感触で終わってしまった。
とても残念である。
しかし、そんなふやけた会話が
いつも僕らをとても
楽しい雰囲気にしてくれるのだ。
そう思うとふやけた
バカな会話にも感謝である。
完全には許してないが
愉快な仲間。
最高な友。ありがとう。
「それより流湾、
はやく綿あめを食べなよ~。」
「あっ。そうだった!」
流湾は綿あめを食べた。
口の中に甘さが溶けていくように広がった。
陽呼子も綿あめを食べている。
おいしそうである。
目が合うと陽呼子は静かに微笑んだ。
流湾も陽呼子に微笑み返す。
二人の笑顔が混ざりあう。
この2人の間に生まれるときめきの音楽は
何というのだろうか?
流湾は綿あめのように
掴めないけれど確かに感じる
ぬくもりのようなものを考えていた。
鮫郎は言った。
「そうだ! 流湾!
今度はジンベエザメとペンギンが愉快に踊る映画、
『BAY AREA FANTASY the MOVIE』 を見に行こうぜ!!」
それはジンベエザメとペンギンの間に
生まれる愉快な音楽の映画。
「うん、見に行こう!」
流湾はその映画をみる約束を
鮫郎とした。
「よっしゃー! 決まり!
これからの人生も楽しみだ!!」
鮫郎はこんな小さな約束でも
大袈裟に喜んでいた。
流湾もそれにつられて
楽しい気持ちになった。
そうして、
また陽呼子に想いを伝えることは
できなかったけれど、
陽呼子と二人でいく予定だった映画も
仲良し4人組で
楽しく過ごせましたとさ。
(おしまい)
読んでくださり、ありがとうございます!!




