50 アドル:弟からの手紙
◆アドル・グレイモア
王都で伸び伸びと暮らしていた私の元に弟から手紙が来た。
珍しいこともあるもんだと手紙を読む。
【兄上へ
兄上、叔母上が王都へ向かいます。】
一端、手紙を読むのを辞めた。
「誰か。」
「アドル様、なんでしょうか?」
「叔母上が王都に来るのは本当か?」
「はい。アドル様、まだお嬢様が苦手なのですか?」
「悪いか?」
「もう15歳ですから、お嬢様の子ども嫌いには当て嵌まらないのでは?」
「そういう問題じゃないよ。」
子供の時に植え付けられたトラウマは、そう簡単には消えない。
「お嬢様もレイリー坊ちゃまという跡取りにも恵まれておりますし、昔とは違うと思いますよ。」
「そうだといいけどね。まあいい、下がっていいよ。」
一人になった私は再び、手紙に目を通した。
【兄上、レイリーにはお気を付けください。】
再び顔を上げ、目頭を押さえた。
確か、従弟のレイリーはスキル授与の儀が終わったばかり。
5歳だぞ・・・。
【レイリーは、私に爵位を譲ろうと画策した悪魔のような男です。】
どこが?
思わず手紙に突っ込んでしまった。
元々、マーカスが跡を継ぐという話もあったから、悪い話でもないだろうに。
伯爵家には爵位が他にないんだし。
【それと申し訳ないのですが、レイリーにポテチを送るように言ってもらえませんか?】
ポテチって何?
【コーラは輸送の問題もあり諦めますが、ポテチなら大丈夫なはずです。なのでポテチを大量に送るように兄上から言ってください。私のことは呼び捨てにする生意気な奴ですが、兄上の事は兄上と呼んでいました。だから兄上に言って貰えば何とかなるはずです。】
そこからは延々とポテチについて書かれていた。
コーラって何だ・・・。
てか何をやらかしたんだマーカス、呼び捨てにされるなんて。
ふう・・・。
どうやら、レイリーは一筋縄ではいかないような5歳児らしい。
いや、どんな5歳児だよ。
会うのが楽しみなようで心配でもある。
ただ、叔母上が来るのかあ。
子供の頃の苦手意識が消えることはないんだよなあ。
凄く憂鬱な気分になった。
まあ学校へ行ってる時間の方が多いから、会う時間も限られるのが唯一の救いか。




