49 いざゆかん王都へ
正直、憂鬱だった。
なんで、王都に行かないといけんのと。
しかし、今は違う。
お爺様が約束してくれたのだ。
王都に行ったら釣りに行こうと。
いや、もう早く王都に行こうよ、今すぐに。
母上を急かしていたら怒られた・・・。
「短い間だったが楽しかったぞ。」
王都へ出発の日、マーカスがそんな事を言った。
「今生の別れみたいなの、何なん?」
「今生の別れだ。」
「そうかポテチとコーラとも、今生の別れだね。」
「なっ、なんだとっ・・・。」
やはりマーカスは、マーカスだった。
俺がいないとポテチとコーラが供給できないことを理解してなかった。
「行くな、ポテチっ!」
こいつ、ついには俺をポテチ呼びしやがった。
ちなみにポテチは全部で30袋を購入して伯父上に渡してある。
マーカスの元へ行くかは・・・、行かないだろうな。
「くだらない挨拶はもういいですか?さっさと行きますわよ。」
そう言って伯母上が俺の手をとった。
あれ?伯母上も王都へ?
「ヒルダもさっさと別れの挨拶をしなさい。」
「何を言ってますの、お義母様、私も行きますわ。」
「ダメに決まってるでしょ。ゴーシュ。」
伯父上が呼ばれて、俺から伯母上を引き離す。
「あなた、仲のよい親子を引き離すなんて、あんまりですわ。」
「君とレイリーは親子ではないだろう。」
伯父上に的確に突っ込みを入れられていた。
そんな感動的な事が1ミリもなかった別れだった。
「はあ、疲れたわ。レイリー飴をちょうだい。」
「はい。」
俺は母上に飴を渡した。当然、お爺様とお婆様にも。
「お爺様、王都は遠いですか?」
「そうだな。時期にもよるが今なら2週間もかからないだろう。」
長い旅だ。
しかしお尻は、2重のクッションで守られている。
「あっ、そうだ。飴を補充しておかないと。」
休憩時間にそなえて、いそいそと飴を補充していると母上にジト目で見られた。
「どうかしましたか?母上。」
「別になんでもないわ。」
お菓子類は事後報告でいいって最高やな。
いっそ釣り道具も事後報告にして欲しいところだ。
休憩時間はお馬さんと戯れる。いや集られる。
味をしめてしまったお馬さんたち。
以前よりは行儀はいいが、それでも周囲を取り囲まれる。
「坊ちゃんも大変ですね。」
「プレパも王都へ行くんだ。」
「そりゃあまあ。」
「王都ってどんな所だろうね。」
「人が多くて、何より水が不味いですね。」
「えっ?プレパ行った事あるの?」
「ええ、昔、王都で料理人になろうかと。」
「なんでジャンビットに居るの?」
「水が不味いからです。」
「そんなに?」
「そんなにです。普段からスキルで出してる水しか飲まない坊ちゃんには無理ですね。」
「えっ、そこまで?なんでそんなに不味いの?」
「薬品を多く使ってるからです。」
「あらら。」
「田舎の人間はまず、水で弾かれますね。」
「そっかあ、僕には関係ないね。」
「そうですね。坊ちゃんは貴族街から出ることもないでしょうし、変わり映えはないと思いますよ。」
「釣りに行く予定だよ。」
「えっ・・・。」
「えっ?釣り出来る場所ないの?」
「ど、どうでしょう?川はありますが、魚いるのかなあ・・・。」
「川って汚いの?」
「濁ってて中は見えませんね。」
「大丈夫だよ。濁ってても魚はいるよ。」
「食べれない魚かもしれませんよ?」
「その時はリリースだね。」
「食べれなくてもいいんですか?」
「食べれたほうがいいけど、今はとにかく釣りがしたいから、食べれなくてもいいよ。」
「そ、そうですか。魚が居るといいですね。」




