43 王妃様来訪
待ちに待ったお茶会の日程がついに決定した。
と言っても俺が待ち望んでる訳じゃなく、さっさと終わって欲しいだけだ。
これが終わればお爺様とマーカスと一緒に釣りに行ける。
招待状を出して10日後に開催らしい。
その間に釣りに行ける?
いや、そんな暇はなかった。
その10日間は俺にとっては地獄の10日間と言えた。
なんと言ってもポイントがゴリゴリ減っていく。
俺が購入していく物を侍女たちが次々と運んでいく。
タップするだけの簡単なお仕事ではあるが、精神的に辛い。
右上の数字が自分の体力に見えてるので、減っていく精神的ダメージは半端ない。
「少し休憩にしましょう。」
母上がこまめに休憩は取ってくれるが、休憩では精神的ダメージは回復しないのだ。
「レイリーの元気がありませんわ?」
伯母上が心配そうに言ってくれる。
「この子はポイントが減るのが嫌なだけなので、気にしなくても大丈夫です。」
母上がそんな事をいう。
「変わってますわ。」
「釣りに行けるようになったら勝手に元気になると思います。」
・・・。
「レイリーはポイントがあると嬉しいの?」
お婆様が聞いてきた。
「ポイントがいっぱいあると安心します。」
「そう、じゃあお茶会が終わったら魔物素材を準備させておきましょうね。」
神がいた。
お婆様から神々しいものが見える。
「そういえば私も魔物素材をレイリーに渡していませんでしたわ。私も準備させておきますわ。」
おおー、そういえばそうだった。
すっかり忘れていた。
その後、俺は元気溌剌とお茶会の準備に勤しんだ。
お茶会も3日後に差し迫った日、この日は伯爵家の中が大慌てとなった。
先ぶれが到着し、2時間後に王妃様が到着するとの事らしい。
俺はお茶会の準備が中断し、いつもの休憩スペースでマーカスと駄弁ることにした。
「王妃様って、こうやって突然来るものなん?」
俺が聞くとマーカスは俺を無言で見るだけだった。
「何なん?」
「王妃様が当家を突然訪れる事は無い。貴様が原因じゃないのか?」
「王妃様が何で僕の事知ってんだよ?」
「それもそうか、じゃあ母上に会いに来たとか、そういうことかもな。」
「なんで?」
「母上と王妃様は従姉妹だからな。」
「な、なんだとぅーっ。マーカスに王族の血が?」
「流れてないわっ。王妃様と従姉妹と言っただろう。」
「そうか・・・、でも王妃様の子供とは親戚ってことだよな?」
「まあ、そうなるな。」
「じゃあ王子が王になった場合、結局、王族と親戚ってことじゃん。」
「ん?そうなるのか?しかし、少なからず貴族とはそんなもんではないのか?」
「そうなん?」
「私が王家と親戚となるなら、私の従弟のレイリーも王家と遠い親戚ってならないか?」
「いや、遠すぎ。他人とそんなに変わらんじゃん。」
「そ、そうか。」
「まあいいや、結局、王妃様は伯母上に会いに来たって事ね。」
「さっき言ったと思うが、王妃様が突然来られた事なんて、今まで一度もない。」
「マーカスが生まれる前とか?」
「一度でもあったなら、私とレイリー以外がこんなに大慌てな事にならんと思うのだが。」
マーカスが言う通り、コーラ飲みながら駄弁って呑気なのは俺達二人のみだ。
いつもなら必ずベルかリサが待機所にいるのだが、今は誰もいない。
「皆、大変だなあ。」
「他人事だな貴様は。」
「だってうちじゃないし。あっ、ポテチ食べる?」
「愚問だな。」
二人で呑気に過ごしているとやがて王妃様が到着した。
「お姉様、突然の来訪、大変迷惑ですわっ!」
初っ端に必殺技をぶちかます伯母上。
「ヒルダ、変わりないようで安心したわ。」
「何しに来ましたの?」
「近くで所用があったので、そのついでよ。」
「嘘ですわね。」
「そんな事よりマーカスを紹介してちょうだい。」
「以前にあってますわ。」
おいマーカス、王妃様と顔見知りじゃないか。
視線をマーカスに飛ばすとキョドってた。
「マーカスが赤ちゃんの頃でしょう?マーカスだって覚えてないでしょうに。」
うんうんと頷いてるマーカス。
「マーカス、王妃様にご挨拶しなさい。」
「は、はい。マーカス・グレイモアです。本日はよくいらっしゃいました。」
何となくぎこちない挨拶だ。
「よろしくねマーカス。ヒルダと私は従姉妹になるのよ。そうするとこちらがレイリーかしら?」
おいやっぱり貴様のせいじゃないかという視線をマーカスが向けてきた。
何故に俺の名前を知っているんだ?
どういうこと?
「レイリーは渡しませんわ。」
そう言って俺と王妃様の間に立ったのは伯母上だった。
「あなたの早とちりよ。ほらテレサ様が凄い顔で私を見ているではありませんか。」
「まあ、こんな所では何ですから。」
そう言ってお婆様が王妃様を促す。
「マーカス。」
珍しく母上がマーカスの名前を呼んだ。
マーカスはビクっとなって直立不動だ。
「私たちは話し合いがあります。レイリーを宜しくね。」
そんな事今まで一度も頼んだことがないのに。
「わ、わかりました。」
という事で俺とマーカスは、いつもの休憩スペースに戻った。
今はリサが近くにいるので、紅茶を準備して貰った。
「やっぱり、貴様じゃないか。」
「そうなんかな?」
「普通、子爵家嫡男の名前なんていちいち王妃様が覚えているわけないだろ。」
「遠い親戚だからじゃね?」
「では聞くが王妃様の子である殿下たちの名前を貴様は知ってるのか?」
「知らない。てか王妃様の子が何人いるかも知らない。」
「勉強不足だな。」
「そんなんいつ習うん?」
「んー・・・、わからん。」
「マーカスは、いつ習ったん?」
「私は母上が教えてくれたから、家庭教師に習ったわけじゃあない。」
「じゃあ、僕が知らないのも仕方ないね。」
そもそもまだ家庭教師は居ないし。
「まあそうだな。だが、王妃様はレイリーを知っていた。」
「なんでだろうね?」
全く意味わからん。
どういう事だろう。




