42 お気に入り機能って便利だよね
夜、ベッドに寝っ転がってタブレットを見る。
100Pショップの商品は眺めるだけで楽しい。
おっ、なつかしい。
俺は前世で若い頃に、食べてたチョコのフレークを見つけた。
これ美味しいよなあ。
チョコが高くなって値段も上がってたっけ。
俺は愚かではない。
こんなもの食べたいといった日には、またお茶会の日程が延びるに違いない。
日々学んでるのだ。
ということで、忘れないようにお気に入りに入れといた。
お気に入り機能便利だよね。
母上が寝室に戻ってきたので、サッとタブレットを渡す。
俺が寝てからも、暫くは見てるようだ。
さあ、寝ようと。
目を瞑ろうとしたとき。
「レイリー、これはなにかしら?」
しかたないので、起き上がり母上に身を寄せた。
じゃないとタブレットが見えないので。
「・・・チョコのフレークです。」
そうか、母上もお気に入り機能を使っていたのか。
「チョコって名前からして危険ね。」
「はい、危険です。ジャンビットに戻ってからにしましょう。」
うん、それがいい。
「そうね。ちなみにどんなものなの?あましょっぱいとか?」
「いえ、味は完全に甘いチョコレートです。サクサクとしたお菓子にチョコレートがコーティングしてる感じですかね。」
「ふーん・・・。」
俺は説明が終わるとゆっくりと眠りについた。
翌朝。
「レイリーのせいであまり眠れなかったわ。」
物凄い言いがかりをつけられた。
「僕のせいではありません。」
「本当に余計な事ばかり。」
一体何の事だ?余計なことはしないと誓ったばかりなのに。
「母上、いいがかりです。」
とりあえずハッキリ言っとかないと全てが俺のせいになりかねん。
「チョコのフレークが気になって眠れなかったのよ。」
知らんがな・・・。
呆れて何も言えなかった。
で、どうなったかというと。
チョコのフレークの試食会が決定した。
俺か?俺が悪いのか?
一番楽しみにしてそうなのは母上ではなく、伯母上だった。
チョコのフレークはバラバラのやつではなく一塊になった方のやつで、食べやすい。
今日の飲み物は紅茶ではあるが、子供用にも砂糖は入っていない。
甘さはチョコのフレークで十分だからね。
マーカスからの視線が痛い。
こいつ、また余計な事をしやがってと視線から伝わってきた。
違うんだ俺じゃないんだ母上のせいなんだという思いを乗せて視線を返す。
「これはとんでもないものだわ。」
お婆様が言った。
「世に出せば、とんでもない事になりますわ。」
伯母上が言った。
「テレサ、お茶会には出すなよ。」
伯父上が母上に忠告した。
「当然心得ていますわ。」
自らの欲望に負けて試食会を開催した母上が言った。
母上に非難の目を向けようかと考えたが、チョコのフレークは俺も食べたかったので辞めといた。
「あれはとんでもないものだな。」
いつもの休憩スペースでマーカスが言った。
「女子供が大騒ぎするレベルだな。」
いや、お前も子供じゃん。
「マーカスも気に入ったの?」
「そりゃあな。でもまあ私にとってはポテチがナンバー1だけどな。」
こいつ完全にポテチにやられてる。
ポテチとコーラで釣れば簡単に爵位を引き受けてくれそうだ。
親戚のおじさん(中身)は、マーカスの将来が心配です。
「とても素晴らしかったですわ、レイリー。私にチョコのフレークを献上することを許しますわ。」
いつも通り登場した伯母上がそんな事を言う。
「申し訳ありませんが、チョコとアイスクリームは母上の許可がないと買えません。」
「なんですって、テレサ様は、意地悪ですわ。」
「誰が意地悪なのですか?」
母上も登場した。
「テレサ様ですわ。許可がないと購入できないなんてレイリーが不憫ですわ。」
「この子が誰構わず様々なものを購入し渡していたら、どうなるかわかりませんか?」
「それは間違いなく攫われますわ。」
物騒な話をしてるけど俺の事だよね?
うんうんって頷いてるんじゃないよ、マーカス。
「本当ならジャンビットに帰ってから食べても良かったんですよ?」
自らの欲望に負けた母上がそんな事を言う。
「うっ、それは・・・。」
「レイリーに直接頼むのではなく私を通してください。」
「わかりましたわ。」
「レイリーも次から次へと新しいものを出すのは控える事、わかったわね。」
「・・・はい、わかりました。」
母上から訝しむ視線を向けられた。
一瞬の間は許して欲しい。
だってどの口が?って普通思うよね?
だって人間なんだもん。




