40 ポムスフレ
「ヒルデガルト様、子供たちの憩いを邪魔するのは無粋では?」
母上の登場だ。
「私がいる方が、マーカスもレイリーも喜びますの。」
俺とマーカスはスルーした。
リサが気を利かしてグラスを用意したので、今度は俺がコーラを注いでいく。
「テレサ様も、もっと違うものが食べたいと思いませんか?」
「子どもたちは子どもたちが好むものを食べればいいのでは?」
「マーカスとレイリーももっと色々なものが食べたいと思ってますわ。きっとテレサ様に遠慮してるんですわ。」
「レイリーは食べ物に関しては遠慮するような子ではありません。」
おっしゃる通りで。
「遠慮してるのよね、レイリー。」
「いえ別に・・・。マーカスが他のを食べたいって言ったら出しますし。」
「マーカス!」
「母上、このポテチの素晴らしさが判らないのですか?これこそ至高のお菓子です。」
「ダメですわ。この子、完全にポテチにヤラれてますわ。」
凄いな、マーカスのポテチ愛。
それならアレを出してあげようかな?
「母上、ポテチにチョコが掛かったものを購入してもいいですか?」
チョコレートが高騰する前は、100円ショップに期間限定で売ってあった贅沢なやつ。
俺のスキルに期間限定はないのだ。
素晴らしいぞ100Pショップ。
「構わないけど、合うものなの?」
「はい。」
俺は2袋購入した。
何せ1袋に入ってる量は少ないのだ。
「随分と小さいわね。」
「はい。」
2袋を開けて、マーカスと伯母上の間に一つ置く。
「何だ、この黒いのは?」
沈黙してたマーカスが口を開いた。
「チョコだよ。甘いお菓子だね。」
「ポテチに甘さは必要ないだろ。」
「まあそういう人もいるけど、まずは食べてみてよ。」
「何とも奇怪な・・・。」
恐る恐る口にいれるマーカス。
そして。
「あま・・・い?しょっぱい?」
このあましょっぱいは、前世でも好き嫌いが分かれていたけど、どうかな。
「うーん、うまい。ただやっぱり基本はいつものポテチで、たまにならこれもいい。」
完全にポテチ好きになっちゃったなマーカス。
「これは高級品ですわっ!」
伯母上大興奮。
スルーしとこ。
「母上はどうですか?」
「とても面白い味だわ。男性より女性向きね。」
まあ確かにそうかな?俺は前世でも好きだったけども。
お婆様と母上の相談の結果、アイスクリームとチョコ系はお茶会には出さないことが決定された。
「もっとあの甘いのを食べたいですわっ。」
との伯母上の意見は黙殺された。
珍しくプレパに呼ばれたので厨房に出向いた。
「坊ちゃん、あのポテチは作ることは出来ませんかね?ジャガイモは用意できるんですが。」
「似た感じのポムスプレなら作れると思うよ。」
「是非おしえてください。」
「でもスライサーがないからなあ、母上に許可とらないと。」
「スライサーですか?」
「そう、ジャガイモを薄く切らないといけないから。」
「それなら俺がやりますんで。」
いやいや薄く切るの難しいし時間が掛かるだろと思ったが、プレパは簡単にやってのけた。
えっ、料理人ってこんなに凄いの?
まじで?
「揚げ物するときの溶液ってある?」
「はい。」
「じゃあそれを片側に塗って、2つを重ねて、それを揚げれば膨らむはず。」
「ちょっとやってみますね。」
何度かやってると綺麗に膨らんだのが出来上がった。
ちなみに失敗したのは料理人たちが興味深く食べてた。
俺も食べたかったけど、失敗品なので食べさせて貰えなかった。
「塩を振ったら完成だよ。」
ポムスプレが見事完成した。
尚、俺の100Pショップは一切使ってない。
さっそく実食。
外はカリカリ、中はサクサク。
これは・・・
上手いこと言葉は出てこなかったが、旨い。
なんと言っても温かいのがいい。
「坊ちゃん、めちゃくちゃ旨いですね。」
「うん。」
「食事の付け合わせにも使えそうです。」
俺とプレパは、おやつタイムよろしくだったが、他の料理人はポムスプレを作りまくってた。
「これはとても美味しいです。」
さっきまで傍に居たのはベルだったのに、いつのまにか代わっていたリサが言った。
使用人たちが入れ替わり立ち替わり。
以前、どこかで見た風景だ。
しかし、俺に恐れることは何もない。
だってスキルは一切使ってないからね。




