34 修練はまあ面白くはない
翌朝、朝食が終わるとキャスティング練習だ。
ジャンビット家からタックルセットが5セット程持ち込まれているので、それを使用する。
お爺様、伯父上、それにマーカスも参加する。
「レイリー、朝の修練にはなぜ参加しない?」
マーカスが訳の分からない事を言いだした。
「これが朝の修練だよ。」
「なわけあるか、朝の修練とは朝食前に行われる。これは食後の運動だろ。」
「5歳児に無理をいう。」
「私は5歳の時から欠かしてない。」
「えらいえらい、朝の修練って何してんの?」
「剣術の稽古に決まっておろう。」
「パスっ。」
「はっ?」
「マーカス、朝は寝ておくものだよ。」
うん、うん。
俺は真理をマーカスに語った。
「貴様というやつは・・・。」
「それよりも、マーカス。ちゃんと投げられるの?」
「こんなもの簡単ではないか。」
簡単と言うだけはある。
一通り教えると形にはなった。
お爺様が教えている伯父上の方が手こずっている。
「これの何が面白いんだ?」
「マーカス、剣の修練って面白いの?」
「修練が面白いわけないだろう。」
「これも釣りの修練だからね。面白くは無いよ。」
「ふんっ、しかし私はこのように投げられるから修練は不要なのではないか?」
「そういうのはさ、まずはこうやって木の根元に。」
俺はそう言いながら、木の根元にふわっと錘を落とした。
「あとはさ、木の裏側とかさ。」
俺は華麗にカープキャストを披露した。
「面妖な事を・・・。曲がっておったぞ。」
「曲がるように投げたからね。釣りに実際に行けばマーカスも気に入ってくれるよ。」
「その釣りとやらはいつ行けるのだ?」
「お爺様に聞いて。」
「お爺様。」
「今はお茶会の準備で忙しいから、暫く待ってくれ。」
「父上、お茶会の費用の方は大丈夫でしょうか?」
マーカスが心配そうに聞いている。
「まあ、うちは大丈夫だよ。それよりもレイリーのスキルを使うそうだから・・・。」
伯父上が心配そうに俺を見る。
「貴様、大丈夫なのか?うちの母上は侯爵家の出だからな。遠慮がないぞ。」
それ聞きたくなかったんやけど・・・。
その後、お婆様の部屋に大きな姿見を設置する。
この場には母上に、伯母上もいる。
当然、設置する女性使用人も。
「なんですの、こんな大きくて歪みがない鏡は見たことがありませんわ。」
伯母上が一番、興奮していた。
「次はヒルデガルト様の部屋ですから、お待ちください。」
母上がそういうと。
「待ちますわ。」
伯母上は素直に返事した。
伯母上の部屋にも無事設置が完了すると昼食だった。
昼食時は、シャンプーとリンスに加え、姿見という物まで出してしまった俺を何が何でも息子にしたいと侯爵家出身の伯母上が力説していたが・・・。
さあてお待ちかねのポイント交換の時間だ。
母上含め伯爵家の面々が勢ぞろい。
まあいいか。
「父上、こちらが不要と判断した魔物素材です。」
「随分多いな。」
「魔物も年々増えておりますし、多少の黒字になっても人手が足りませんから。」
「わかった。レイリーやポイント交換という物を見せておくれ。」
「全部いっちゃっていいですか?」
「うむ、構わん。」
それ程、多いとは思わない。
何ならジャンビットの大討伐に比べたら1/5くらいだ。
「それでは、ポイント交換っ!」
俺がそういうと一瞬で魔物素材が消えた。
「「おおおーっ」」
歓声が響き渡る。
「なんだ貴様のスキルは、意味がわからん。」
これはマーカスだ。
俺は今困惑していた。
カンマの数がいつもより多くね?
「レイリー。」
サッと母上にタブレットを渡す。
「300万ポイントね。まずまずだわ。」
まずまずだと?
何を言ってますのん?
「ジャンビットのお茶会は何ポイント使用したの?」
お婆様が母上に聞いた。
「30万ポイントくらいよ。」
「そう少し心許ないわね。」
心許ないだと?
「ゴーシュ、何とかならないかしら?」
「そうですね、領都の冒険者ギルドに聞いてみます。」
「頼みます。」
いやいやいやいや。
300万ポイントだぞっ。
感覚おかしいの?
えっ、貴族こわっ・・・。
前世換算で300万円なんて手にしたら疎遠な親戚から連絡があったり、普段付き合いのない友人が近づいて来たりとそこそこな騒ぎだぞ。
親戚が増えるには桁が足りないけども。




