26 お馬さんが一杯
馬車というのはずっと走れるわけではない。
お馬さんに休憩が必要だからだ。
最初の休憩ポイントは大きめの村だった。
ここで昼食をとってから、次は大きな町へ向かうらしい。
俺は馬車から降りて、同行する人たちへ飴ちゃんを配った後に休憩するお馬さんを見に行った。
傍には何故か料理人のプレパが居た。
「なんでプレパが居るの?」
「ジャンビットの燻製品も運んでますからね。俺が向こうで調理の指南役です。」
「そうなんだ。」
馬の面倒を見ている兵士の人に許可を貰い馬を触らせてもらった。
前世でも旅行か何かで牧場に行った時に、馬を触ったというか多分乗馬体験もさせて貰った。
うっすらとした記憶だけども。
「ねえ、お馬さんって飴を食べるかな?」
俺はお馬さんの頬を撫でながら兵士の人に聞いた。
「飴というのは先ほど貰った甘いものですか?」
「うん、そう。」
「馬は甘い物が好きですから、恐らく食べると思います。それに賢い動物ですから自分の体に害があると思えば吐き出します。」
ということで試しに1個あげてみた。
俺の手のひらから、ほむっと優しく飴ちゃんをついばむと、ほむほむと飴を舐めるような仕草をした。
「どうやら気に入ったみたいです。」
良かった良かった。
それでお馬さんとの触れ合いが終われば本当に良かったのだが。
飴を貰って美味しそうに舐めている馬を見て、他の馬たちから俺は囲まれてしまった。
「坊ちゃん、大丈夫ですか?」
プレパに聞かれたが、だいじょばない。
「どうにかして。」
「無理です。」
早々に白旗を上げるプレパ。
「お前たち、さっさと戻らないか。」
何とかしてくれようとしている数人の兵士たち。
何ともならなかった。
仕方ないのでウエストポーチから飴ちゃんを取り出し1頭につき1個ずつあげていく。
「1個だからね。」
言ってることがわかるか判らないけど、そう言いながら1個ずつあげる。
全部の馬に飴ちゃんが行き渡ると俺は解放された。
そしてウエストポーチは空になった。
とぼとぼと母上の元に戻ると。
「何をやっているの。」
と呆れられた。
「母上。」
返事がない。
「飴を購入してもいいですか?」
返事がない・・・。
ショボーン。
「可哀想じゃないの。返事くらいしてあげなさい。」
お婆様が味方になってくれた。
心強い。
「この子の迂闊さに呆れているだけで、無視はしてませんよ。」
「飴くらいで目くじら立てる必要はないでしょうに。」
「はああああー。」
すっごい盛大な溜息をついた母上。
「いいレイリー。動物というのはね人間と違って遠慮がないのよ。」
「ん?」
何の話?
「きっと休憩の度に飴をせがまれると思うわ。」
えー、そんなことはないんじゃね?
お爺様の方を見てみた。
「馬は賢いからな。きっとレイリーが甘い物をくれると認識したはずだ。」
まじか・・・。
飴ちゃんを補充しておかないと。
「母上、飴を購入してもいいですか?」
「全くあなたという子は・・・。」
めっちゃ小言を頂いたが補充は許してもらった。
昼食を終え小休憩をした後、俺たちは次の町へと向かった。
眠い。
そりゃそうだ。
昼食の後は、お昼寝の時間だ。
俺がウトウトしていると。
「お昼寝の時間でしょう?寝転がりなさい。」
えーと、いくら小さい俺でも二人分の椅子で寝転がるのは心もとない。
母上が膝枕をしてくれれば別だが・・・。
「早くしなさい。」
どうやら膝枕をしてくれるらしい。
では、失礼して。
遠慮がちに母上の膝を枕にして寝転がる。
おおー、低反発クッションとビーズクッションがいい仕事をしている。
寝心地もいい。
なんて思ってた俺は、ゆっくりの眠りの世界へと・・・。




