16 姿見も危険な香り
病み上がりの5歳児を呼びつけるとは流石母上としかいいようがないが。
「母上、何でしょうか?」
不満なんて一切ありませんよ感を出しながら聞いた。
「お茶会の招待状を出したいのだけど、良い物はないかしら?」
なくなってなかったんか、お茶会・・・。
「えーと、こちらの便せんセットはどうでしょう?便せんからは花の香りがしますよ。」
タブレットに表示させて母上に渡した。
「可愛らしいわね。100Pなら試しに購入しなさい。」
「はい。」
言われたとおりに購入し、便せんセットを母上に渡した。
「本当、いい香りがするわね。これは何かしら?」
「それはシールというものです。封蝋の代わりですね。」
「花の絵なのね。」
俺は何か言われる前にタブレットに便せんセットを並べて表示させ、母上に渡した。
「いろいろな花といろいろな絵柄があるのね。」
そう言いながら、母上はA4ノートに書きこんでいく。
恐ろしい・・・あのA4ノートに書かれているものが何ポイントになるんだろうか。
「これに書くとなるボールペンでは味気ないわね。」
「筆ペンがありますよ。」
母上からタブレットを返してもらいカラー筆ペンを表示させた。
「色々な色があるのね。2本で100Pなのもいいわ。試しに1つ購入しなさい。」
「はい。」
一番左上にあったものを購入し母上に渡した。
以前購入していたA4コピー用紙に母上が試し書きをしていく。
「レイリー、あなたも書いてみなさい。」
おいおいおい5歳児なんて無茶ぶりを。
俺は言われた通りに文字を書いていく。
習字なんて学校で位しかやったことないし、そもそも文字が違う為、役には立たない。
なるべくカッコいい感じで書いていった。
「上手ね。レイリー、封筒へのあて名は、あなたが書きなさい。」
「・・・はい」
宛名の下書きを渡され、今日から練習する事になった。カッコいい感じを出して書くんじゃなかった。
部屋のソファーに座って宛名書きの練習をしていたが、疲れたので休むことにした。
そうするといつものようにリサかベルがすっと隣に座ってくれるので、それを背もたれにしてソファーの上で足を伸ばす。
ふぃー
そうやってのんびりしていると。
「レイリー。」
いつものように母上の声がした。
但しいつもと違い直ぐ傍で頭上の方から。
とりあえずタブレットをサッと出して渡す。
そして俺は、ソファーの後方に首を向けた。
そこには、にこにこと微笑んでいるリサとベルが居た。
なんてこったい。
まさか母上を背もたれ代わりにしているとは。
しかし急にやめるのもなんなので、暫くそのまま。
「レイリー、これはどの位の大きさかしら。」
そう言われたので、もたれかかるのをやめてタブレットを覗き込んだ。
あちゃー・・・。
ついに見つけてしまったか。
100円ショップにはお宝品というものが存在する。倒産品や在庫処分品なのだが、ネットニュースになった時には売り切れで手遅れとなる。
姉たちはそういうお宝品のネットコミュニティに入っており、ネットニュースよりは早く情報を仕入れることができる。
んで、いち早く姿見の情報をゲットした姉たちに命令され父親と二人、車で100円ショップ巡りし2個の160センチもある姿見をゲットしたのが前世の苦い思い出だ。
「160センチあります。」
ちなみに160センチと言ってる訳ではなく当然、異世界の言葉と単位で話をしている。
「そんなに大きいの?」
「はい。」
「1800ポイントもするのね。」
「はい、鏡なのでお高いです。」
「釣り道具よりは安いわ。」
「・・・。」
「購入しなさい。」
「母上、設置には人手がいりますし、設置する場所で購入した方がいいです。」
「そうね。マリードを呼んできて。」
「はい。」
リサがマリードを呼びに行った。
マリードはジャンビットの女兵士だ。
「奥様、お呼びでしょうか?」
「今から姿見を設置するわ。」
「畏まりました。」
「母上、何処に設置するんですか?」
「そうね、あそこにしましょう。」
ちょっ待てよ、俺の部屋に設置すんの?




