第九の戒律 ムー大陸編7終章
新作 第3弾目の投稿です。
題名 転生したらしいけどスキルデッドストックって何???
今回の主人公は海軍さんの街呉からの転生した女子高生のお話です
はちゃめちゃのスキルで異世界を乗り越えます。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
パラレルワールド編 ダビンチは世界遺産のナスカから謎の大陸ムーラストです
応援ありがとうございました
当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。
大変励みになっております。
これからもよろしくお願いします。
では、参ります!!
### 第二十一話 第九の戒律と偽りの記憶の法廷
濁流が白磁の都「ラ・ムア」の基部を容赦なく削り取り、崩壊の速度を速める中、ピラミッド「天の眼」の第一回廊は、生き残ったムー人たちの狂気的な叫びで満たされていた。
彼らは互いの襟元を掴み、泥にまみれた指で誰かを指差していた。全能の科学を失い、思考を直接共有するテレパシー能力が完全に途絶えた今、人間が手に入れたのは「嘘」という名の最も醜悪な盾だった。
十戒の第九条――「偽りの記憶を語ることなかれ」
壁面に刻まれたその文字が赤く激しく明滅する中、民は自らの罪を他者に擦り付け、生き残るための「偽りの法廷」を開いていた。
彼らは、これまでの凄惨な殺人はすべて、レオナルド・ダ・ヴィンチの隣に立つっていた若者、そうルカは生きていた。そして彼の仕業であると叫んだ!!
ルカがかつての遺伝子工廠の管理権限を持っていたことを悪用し、彼が神々の遺伝子を汚し、同胞を屠ったのだという偽りの記憶が、集団心理の中で瞬く間に「真実」へと書き換えられていった。
「違う! 私はサウロ様もミアも殺していない! 私はただ、この世界の崩壊を止めようと……!」
ルカは涙を流し、身の潔白を訴えたが、飢えと恐怖で獣と化した群衆には届かない。
彼らはルカをピラミッドの縁から突き落とそうと、物理的な石の棍棒を掲げて肉薄した。科学の頂点を極めた生活风景の残骸である、かつては美しかった浮遊テラスの破片が、今や無実の者を処刑するための無骨な断頭台へと成り下がっていた。
レオナルドは、ルカの前に立ちはだかり、その鋭い眼光で群衆を威圧した。彼の脳細胞は、この集団狂気の後ろで、細い糸を引いている真犯人の影を完全に捉えていた。
「愚かな猿どもよ、立ち止まるがいい。お前たちが語る記憶は、お前たちの脳が紡いだものではない。その男がお前たちの脳細胞に直接、偽りの電気信号を流し込んだのだ。」
レオナルドの指が、群衆の最後方に立つ一人の男を指差した。
その男は、かつてレオナルドがルネサンスのフィレンツェで失踪したはずの弟子であり、この二百万年前の世界に共に転移していた男だった。男は歪んだ笑みを浮かべ、手に持ったムーの超科学の遺物、脳波改ざん装置「ゾル・マ」を弄んでいた。
「流石は我が師、レオナルド。だが、もう遅い。神々はすでにこの世界を捨てた。私はこの第九の戒律を以て、この大陸の記憶のすべてを我が支配下に置くのだ。」
上空では、プラズマ生命体「オル・ラ・イン」の監視船が、人間の記憶が嘘によって崩壊していく様を、ただ淡々とログに記録していた。
神々にとって、嘘とは知性の退化を示す最も顕著なデータであり、この実験が完全な終局を迎えたことを意味していた。
### 第二十二話 第十の戒律と天賦の才の強奪
地鳴りは絶え間ない轟音となり、ムー大陸の東端からは、すでに数キロメートルに及ぶ地盤が太平洋の深淵へと滑り落ちていた。大気は熱水蒸気と火山灰で灰色に染まり、かつて大気を美しく彩っていた「ガル・ウイング」の光の尾は、二度と空に描かれることはなかった。
十戒の第十条――「他者の持つ天賦の才を貪ることなかれ」
ラ・ムアのピラミッドの最深部、地球の核心と直結するオリハルコン・コアの制御室で、最後の、そして最も傲慢な罪が実行されようとしていた。
レオナルドの元弟子である犯人は、最高神官や科学者たちから強奪した知識の結晶を自らの松果体に無理やり結合し、全身を青白い過剰エネルギーのスパークで包んでいた。
彼の目的は、レオナルド・ダ・ヴィンチという「人類史上最高の天才」の脳細胞そのものを量子結合し、その天賦の才を全て奪い去ることだった。
「先生、あなたのその脳髄があれば、私は神々をも超える超科学の主になれる。このムー大陸が沈もうとも、私は新たな星の支配者として君臨できるのだ!」
犯人は光子メスを掲げ、レオナルドの頭部へと狙いを定めた。彼の背後では、完全に制御を失ったオリハルコン・コアが、地球の磁場を反転させるほどの歪んだエネルギーを放出し、周囲の空間を物理的に歪めていた。
レオナルドは一歩も引かなかった。
彼の胸の中にあるのは、恐怖ではなく、神々が与えた「全能」という概念への完全な失望と、人間としてのプライドだった。
「哀れな男よ。他者の知性をどれだけ貪ろうとも、それはお前の肉体を焼き切る毒にしかならん。神々が我らに与えたすべての知識と繁栄は、自らの手で歩まぬ者を怠惰の檻に閉じ込める罠だったのだ。お前はその檻の、最も醜い囚人に過ぎない。」
ルカはレオナルドを救うため、崩壊する制御室の瓦礫をかき分け、犯人の足元へと飛び込んだ。かつては思考一つで物質を動かせたムーの若者が、今はただの泥まみれの肉体を使って、必死に師を守ろうとしていた。その泥臭い姿こそが、神々の科学が失われた世界で、人間が取り戻した唯一の「真実の生」だった。
上空の宇宙人たちは、この最後の強奪の儀式を、ただ静かに見つめていた。
ドル・メドの金属質の巨船は、すでに大気圏外へと上昇を開始しており、その船底から放たれる引力が、地球の地殻の崩壊をさらに加速させていた。
彼らにとって、この十戒の終わりは、実験の完全なシャットダウンの手続きに過ぎなかった。
### 第二十三話 十戒の終焉と最後の審判
十の戒律のすべての文字が、ピラミッドの壁面で血のような赤色から、完全な漆黒へと変色した。それは、神々が人類に対して下した、最終的な「不適格」の刻印であった。
犯人の身体は、強欲に貪りすぎた他者の知識と、オリハルコン・コアから逆流した生体ナノマシンの過負荷に耐えきれず、皮膚の底から発光する結晶となってひび割れ始めていた。
彼の脳は、強奪した大量のソウル・データによって自己崩壊を起こし、意味をなさない数式と呪詛を口から垂れ流していた。
「ああ、脳が……私の脳が、星々の運行に耐えられない! 先生、助けてくれ! 神々の科学が、私を内側から引き裂いていく!」
犯人は狂乱の絶叫をあげながら、自らオリハルコン・コアのエネルギー奔流の中へと転落していった。彼の肉体は一瞬にして素粒子レベルにまで分解され、彼が奪ったすべての知識とともに、激しい青白い爆発となって霧散した。十戒を巡る凄惨な殺人劇は、犯人の自滅という最悪の形で幕を閉じた。
しかし、世界の終わりは止まらなかった。オリハルコン・コアの爆発は、ムー大陸の地底を走るレイラインを完全に破断させた。
ピラミッドの頂上で、レオナルドとルカは、地平線の彼方から迫りくる「真の絶望」を目撃していた。それは、かつて宇宙人がすべての知識を与え、繁栄させた科学の頂点の生活风景を、根底から押しつぶすための、地球という惑星そのものの拒絶反応だった。
「終わるな、ルカ。神々の庭園は、今日ここで海の底へと還る」
レオナルドの言葉とともに、天空を埋め尽くしていた数百の宇宙船が一斉に強烈なタキオンの光を放ち、超空間へと跳躍していった。
彼らは地球に未練を残さず、ただ次の実験場を求めて星々の彼方へと去っていったのだ。
神々の支配が終わった大空には、ただ、見たこともないほど巨大な、黒い嵐の雲だけが残されていた。
### 第二十四話 大地震動と超大洋の激昂
地球の歴史上、最大の地殻変動がムー大陸を襲った。マグニチュードは測定不能、大陸全体の岩盤が同時に砕け散るような、凄まじい垂直震動がラ・ムアの街を直撃した。
かつては重力制御によって微動だにしなかった白磁のタワーや、生体樹木の超高層建築群は、ただの脆い粘土の細工のように、一瞬で粉々に砕け散り、泥の海へと沈んでいった。地面は数百メートル幅の亀裂となって開き、そこから地球の血さながらに真っ赤なマグマが数千メートルの高さまで噴き上がった。
「レオナルド先生! こちらへ!」
ルカは、激しく揺れるピラミッドの階段で、レオナルドの手を必死に掴んでいた。彼の足元では、かつてムーの民が優雅に歩いていた広場が、津波のように波打つ岩石の濁流へと変わっていた。
すべてを与えられた全能の生活風景は、今や一欠片も残っていない。
人々は、動かなくなったマハ・ナのガラス球に閉じ込められたままマグマに呑まれ、あるいは光織の衣服が火山灰の熱で発火し、生きた松明となって走り回っていた。科学の頂点を極めた代償は、あまりにも残酷な物理法則の逆襲となって、彼らの肉体を破壊していった。
レオナルドは、崩れ落ちる世界を見つめながら、自らの手帳を胸に深く抱きしめていた。そこには、神々の超科学の数式と、それに翻弄されて破滅していった人間の解剖図が、びっしりと描き込まれていた。
「自然の前に、神の科学などただの砂の城に過ぎぬ。人間は、自らの足で泥を踏みしめ、自らの頭で考えねば、決して本物の知性にはなれんのだ」
大地震は、ムー大陸の脊梁を完全にへし折り、陸塊の高度を海面下へと一気に引きずり下ろした。そして、大陸の周囲を取り囲んでいた太平洋が、巨大な壁となって彼らの頭上へと迫り上がってきた。
### 第二十五話 大津波の襲来と白金の沈没
高さ数百メートルに及ぶ、黒い海水の壁がムー大陸の全方位から押し寄せてきた。それは、かつて海流を統御していた知性クジラ「レヴィ・アス」たちの制御を完全に離れ、地球の自転エネルギーそのものを宿した、純粋な破壊の質量だった。
ラ・ムアの街に、大洋の激怒が激突した。凄まじい衝撃波とともに、数百万の生命と、二百万年の栄華を誇った超科学文明のすべてが、一瞬にして塩水の中へと飲み込まれていった。ピラミッド「天の眼」も、その巨大な質量によって根元からへし折られ、渦巻く濁流の中へと沈下していく。
レオナルドとルカは、ピラミッドの最上層で、押し寄せる水の壁に取り囲まれていた。冷たい海水が彼らの足元をすくい、身体を濁流の中へと引きずり込む。
「ルカ、恐れるな! 私たちの肉体は滅びようとも、この経験は、人間の血の中に必ず刻まれる!」
レオナルドは叫んだが、その声は数億トンの水が放つ轟音にかき消された。ルカの身体が、激しい渦の中に巻き込まれ、レオナルドの手から離れていく。
ルカは最後に、師に向かって微笑むような表情を見せ、真暗な大洋の底へと沈んでいった。神々の遺伝子を継いだ新種族ムー人は、その高度な科学の記憶とともに、地球の歴史から完全に抹消されたのだった。
レオナルド自身も、冷たい海の底へと沈んでいった。
肺が圧迫され、意識が遠のいていく中、彼の視界の端に、オリハルコン・コアの最後の爆発が作り出した、奇妙な空間の「歪み」が見えた。それは、彼が数ヶ月前にこの世界へとやってきたときに通った、あの時空の裂け目だった。
地球の磁場の反転と、超科学のエネルギーの暴走が、もう一度だけ、時空の扉をこじ開けたのだ。
レオナルドの身体は、強烈な重力の渦に吸い込まれ、光のない深淵へと消え去っていった。
### 第二十六話 ルネサンスの夜明と血の記憶
レオナルド・ダ・ヴィンチが目を覚ましたとき、彼の耳に届いたのは、地獄のような大津波の轟音ではなく、トスカーナの穏やかな夜風が鳴らす、オリーブの葉の擦れる音だった。
そこは十五世紀、イタリアのフィレンツェにある彼の工房だった。窓の外には、見慣れたサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のドームが、月光を浴びて静かに佇んでいた。二百万年前のムー大陸での出来事は、すべては長い、あまりにも凄惨な夢だったのだろうか。
しかし、レオナルドが自らの手元を見ると、そこには泥と塩水でボロボロになった、あの革表紙の手帳がしっかりと握られていた。手帳を開くと、そこにはナスカの地上絵の構造、ムーのクリスタルタワーの数式、そして神々が遺した「十戒」の文字が、彼自身の筆跡で克明に刻まれていた。さらに、手帳の隅には、最後まで自分を守ろうとして海に沈んだ若者、ルカの解剖学的なスケッチが残されていた。
「夢ではない……。人間はかつて、神々と共に全能の座にいたのだ」
レオナルドは立ち上がり、工房のキャンバスに向かった。彼の脳裏には、上空から冷徹に人類の滅びを見守っていた宇宙人たちの姿と、全能を失いながらも必死に生を求めた人間の業が、鮮烈に焼き付いていた。
彼は筆を取り、一枚の絵を描き始めた。それは、のちに世界を震撼させることになる、完璧な幾何学と精神の調和を秘めた、ある女性の微笑みの絵だった。
神々の超科学ではなく、人間が自らの手と目、そして不完全な心で紡ぎ出す、新たな「知性」の誕生。
ムー大陸は沈み、神々は去った。しかし、彼らが二百万年前に残した遺伝子の断片は、この十五世紀のルネサンスの光の中で、レオナルドという一人の天才を通じて、再び覚醒の時を迎えようとしていた。
人間は不完全だからこそ、美しい。レオナルドは、夜明けの光が差し込むフィレンツェの空を見上げながら、静かに、そして生涯消えることのない深い思索の微笑を浮かべるのだった。
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。
ムー大陸編『終章』どうでしたか?
これからも、よろしくお願いします。




