閑話4 『純白の冬に灯るキアロスクーロ、聖なる夜のキャンドル行進』
もう1話閑話を挟んで、
新作第3弾目の投稿します。題名 転生したらしいけどスキルデッドストックって何???
今回の主人公は海軍さんの街呉からの転生した女子高生のお話です。よろしくおねがいします。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
ダビンチは世界遺産のナスカから謎の大陸ムーのお話です!
当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。
大変励みになっております。
これからもよろしくお願いします。
では、参ります!!
### 閑話:闇を払う聖ルチアの灯火、おじさんの絵の具箱と下町のハッピーな祈り
十二月。ローマの街はすっかり純白の雪のカンヴァスへと塗り替えられ、歴史ある石造りの街並みや教会の尖塔は、まるでお砂糖をまぶしたお菓子のように白く、美しくおめかしをしていた。
この時期は一年の中で最も夜が長くなる、厳かなる冬至の季節。けれど、凍てつく北風が吹き抜ける下町の教会前広場と大通りは、そんな寒さを一界に吹き飛ばしてしまうほどの、あたたかい歓喜の熱気に包まれていた。
今日は子供たちが主役となる、光の伝統行事――『聖ルチアの光の祭典』の当日だったんだ。
「ひゃははは! 見てごらんよフランチェスカちゃん、ルカ君! この世界が深い夜の闇に包まれれば包まれるほど、子供たちが手にする小さなキャンドルの炎は、まるでカンヴァスに落とした純白のハイライトのように、鮮烈な輝きを放ち始めるね! これこそが、おじさんの大好きな絵画の魔法――【光の明暗法】の本質ってやつさ!」
俺はヨレヨレの白いシャツの上に、マルコ店長が
「風邪をひいて死んじまう前にこれを着な!」
と無理やり貸してくれた分厚いウールの外套を羽織り、錆びた虫眼鏡を片手に大通りを歩いていた。
ポケットの中には、前回のバザールの事件でトトじいさんや子供たちからお礼にもらった数枚の銀貨が、チリンと心地よい音を立てて揺れていた。
今日はおじさんのポケットは空っぽじゃない。下町の笑顔を描くための、甘いお菓子のインクを買い込むだけの、ささやかな余裕があったんだ。
「もう、ダヴィンチさんはすぐにそうやって難しい絵画の理屈をこねるんですから! ほら、早くしないと子供たちの行進が始まっちゃいますよ!」
おじさんの隣を歩くフランチェスカちゃんは、すっかり元気いっぱいに回復した白銀の猫耳を、寒さでピコピコと嬉しそうに動かしながら、白い息を弾ませていた。
今日の彼女は、いつもの軽装鎧ではなく、仕立て屋のおばちゃんが縫ってくれた真っ赤なクリスマスのケープを羽織っており、その丸い両頬は、教会の前の屋台から漂ってくるシナモンと蜂蜜のあたたかい甘い匂いのせいで、ほんのりと可愛らしい桜色に染まっていた。
「にゃあお!」
と、お嬢さんの胸元から顔を出したキララちゃんも、赤いリボンの首輪をつけて誇らしげに鳴いている。
「先生、周囲の魔力密度は完全に安定しています。影の組織の不気味な残香は一ミリも存在しません。今夜のこの広場にあるのは、純粋な『人々の祈りと幸福のエネルギー』のパースペクティブだけです」
ルカ君も、眼鏡の位置を静かに直すと、神秘的な青い結晶の右腕をケープの陰に隠しながら、静かに微笑んでいた。彼の腕のダイアモンドのような表面には、広場を飾り立てる色とりどりのランタンの光が反射して、まるで小さな万華鏡のようにキラキラと美しい補助線を描き出していた。
「あっ、ダ・ヴィンチ先生! フランチェスカお姉ちゃん、ルカお兄ちゃん!」
教会の大きな扉の前から、あたたかい歓声と共に飛び出してきたのは、前回の事件で子犬のルルを一緒に助け出した、小さな探偵団のニナちゃんとミアちゃん、そしてパン屋のトト(小)たち下町の子供たちだった。
今日の子供たちは全員、純白の長いローブに身を包み、頭には常緑樹のモミの木の葉で編まれた美しい冠を載せていた。そしてその手には、まだ火の灯っていない、真っ白な太いキャンドルが大事そうに握られている。
「見て見て! これからね、教会のお御堂から『聖なる光』を分けてもらって、この大通りをみんなで歌いながら歩くんだよ! 暗い夜を、私たちの光でいっぱいにしちゃうの!」
ニナちゃんが自慢げに胸を張り、頭のモミの木の冠を揺らした。彼女の足元では、すっかり元気になった子犬のルルも、小さな赤い服を着せられて「キャンキャン!」と嬉しそうに尻尾を振っている。
「うん、とっても素敵なレイアウトだね、ニナちゃん。一年で一番長い夜を怖がらずに、
自分たちの手で光を描き直そうとするなんて、君たちは最高の小さな画家さね」
俺がひゃははと笑いながら虫眼鏡を覗き込むと、教会の大きな鐘が、ゴーーーン、ゴーーーンと、夜の始まりを告げる荘厳な音をローマの夜空へと響かせた。
周囲の建物の窓の明かりが、演出のように一斉に消灯される。広場は、一瞬にして深い冬の藍色の闇へと包み込まれた。
だが、恐怖の色彩はどこにもない。
教会の奥から、大司教様が掲げた一本の巨大な蝋燭の炎が現れ、それがニナちゃんの持つキャンドルへと移された。チリチリと小さな音を立てて、純白の冬の闇の中に、ぽっとあたたかい【黄金色の光】が灯る。
「さあ、みんな! 私たちの光の線を、街中に繋げていこう!」
ミアちゃんの静かな、けれど力強い号令と共に、子供たちのキャンドルからキャンドルへと、次々に炎のリレーが行われていった。一本、また一本と灯火が増えるたびに、深い闇に包まれていた教会の壁や、白く積もった雪の表面が、あたたかい琥珀色のグラデーションによって美しく照らし出されていく。
子供たちが一列になって大通りへと行進を始めると、下町の古い聖歌の合唱が、清らかな鈴の音のように冬の澄んだ空気に響き渡った。
大通りの両脇には、マルコ店長や大市場のジローさん、時計職人のトトじいさんをはじめとする、何百人もの下町の住民たちが集まり、子供たちの行進を優しい眼差しで見守りながら、自らの手元にも小さなランタンを灯して、光の補助線をさらに大きく、大きく広げていったのだ。
「わあ……綺麗……。ダヴィンチさん、見てください。街全体が、まるで光の海みたいです!」
フランチェスカちゃんは、その白銀の瞳をらんらんと輝かせ、猫耳をパタパタと小刻みに動かしながら、子供たちの行進に合わせて楽しそうにステップを踏んでいた。
「ひゃははは! 素晴らしいねぇ! この深い闇という名の『地の色(背景)』があるからこそ、子供たちの灯す一本一門の炎の輪郭が、これほどまでに優しく、そして力強く浮かび上がるのさ。これが、おじさんの大好きな、誰も傷つかない完璧な幸福の構図だね!」
俺は外套のポケットから銀貨を取り出し、通りの屋台で売られていた、焼き立てのカリカリのハニーパンと、温かいぶどうジュースを全員の分買い込んだ。
「ルカ君も、ほら、そんなに真面目なパースペクティブで突っ立ってないで、このあたたかい新油のブルッケッタを大きな口で頬張りなさいな!」
「……ありがとうございます、先生。でも、これは新油ではなく、蜂蜜のシナモンパンですよ。――うん、でも、本当に、信じられないほどあたたかくて、美味しいです」
普段はクスリとも笑わない冷静な結晶の少年が、あたたかいパンを両手で持ちながら、その青い瞳を細めて、本当にハッピーそうに、絵に描いたような優しい笑顔を浮かべていた。
行進が広場を一周し、再び教会の前に戻ってくる頃には、下町の大通りは数千個のキャンドルの光によって、まるで真昼の太陽が戻ってきたかのような、まばゆいばかりの黄金の色彩で満たされていた。
「ダ・ヴィンチ先生、大成功だよ!」
行進を終えたニナちゃんやトト(小)たちが、頬を真っ赤にして俺たちの元へと駆け寄ってきた。
「ひゃははは! おめでとう、小さな探偵団の諸君。最高のデッサンだったさね。ご褒美に、おじさんのパレットから、今夜だけの特別な『祝福の絵の具』を、この夜空のキャンバスに付け足してあげるよ!見てて!!」
俺はウールの外套をバサッと翻し、右手の筆に、残ったわずかな光の魔力をこれでもかと染み込ませて、満天の星空へと向けて思い切り振り抜いた。
「【画技・光彩拡散・聖夜の明暗法】!!」
俺の筆先から放たれたのは、子供たちのキャンドルの炎と同調した、無数の【蛍光の黄緑色と黄金色の光の粒子】だった。それらは冬の夜空へと舞い上がり、粉雪の結晶と混ざり合いながら、まるで音のない優しい花火のように、下町の夜空をどこまでも美しく、どこまでもハッピーな色彩で満たしていったのだ。
「うわあぁぁぁ……! 雪が、光ってる……!」
子供たちも、大人たちも、全員が夜空を見上げて、歓喜の声を上げ、互いの肩を抱き合って笑っていた。
不完全で、バグだらけの異能の持ち主である俺たちだけど、この下町の優しい光の補助線がある限り、どんなに長い冬の夜が来ようとも、僕たちの未来のキャンバスは、いつでも最高のハッピーエンドの色彩で輝き続ける。
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。
よろしくお願いします。




