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エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 10章

二話目の投稿です。

誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

新作始めます。探偵物です。

世界遺産編エジプトギザのピラミッド開幕です

当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。

大変励みになっております。

これからもよろしくお願いします。

では、参ります!!


エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 10章


## 第三十七話:神の恩寵の終焉、老いる世界


影の双子という内なる悪意を乗り越えたギザの住人たちを襲ったのは、これまでの物理的な災害や精神の汚染とは全く異なる、生命そのものの「根源的な崩壊」であった。

第六の試練――【肉体の限界(クロノスの秤)】。

それは、スフィンクスとピラミッドが超古代の住人たちに無償で提供し続けていた、神々の「肉体メンテナンス(恒常性維持機構)」の完全なる停止を意味していた。神々が去る以前の世界では、住人たちは不老長寿の恩恵を授かり、いかなる重傷を負おうとも、いかなる未知の病に侵されようとも、ピラミッドから放たれる目に見えぬ粒子によって、一晩のうちに細胞が完全に自己治癒されていたのだ。

だが、その恩寵の糸が、無慈悲に絶ち切られた。

「おい、どうしたんだ……! この、腕の擦り傷が、三日経っても塞がらないどころか、赤く腫れ上がって痛むんだ!」

集落の畑で、人間の若い狩人が恐怖に震えながら自分の腕を差し出していた。

住人たちの生活風景は、一転して「死の影に怯える脆弱な生き物」のそれへと変貌した。大地族のウルたちの頑強な岩の皮膚も、乾燥と摩耗のなかで一度削れれば二度と再生せず、天空族の美しい羽も、一度折れれば二度と生え変わることはなかった。

さらに恐るべきは「老い」の到来だった。数万年もの間、若々しい肉体を保っていた長老や高官たちの髪が一晩にして白く染まり、その顔には深い皺が刻まれ、膝の痛みに歩行すら困難になる者が続出した。

「病」という概念を初めて知った住人たちは、ただの風邪の熱にうなされ、傷口から入った破傷風の毒に悶絶し、パニックに陥った。集落の至る所で、未知の肉体的苦痛に対する悲鳴と、迫り来る「寿命」への恐怖の絶叫が響き渡る。彼らは家の中に引きこもり、互いに病をうつし合うまいと、実の家族でさえも隔離し、見捨てるという荒廃した風景が広がっていった。

この生命のタイムリミットが刻まれる世界のなかで、レオナルド・ダ・ヴィンチは、ミラノから携えてきた数少ない「解剖学の手稿」を広げ、冷徹にペンを走らせていた。

「素晴らしい。神々の庇護下にあった彼らの肉体は、いわば『永遠に時を止められた精密時計』だったのだな。それが今、大自然本来の『摩耗と腐敗エントロピー』の法則に引き戻された。私にとっては見慣れた十五世紀の『人間の現実』だが、彼らにとってはこれこそが宇宙で最も恐ろしい呪いに見えるというわけだ」

レオナルドは懐から、まばゆいエメラルドグリーンの光を放つ「時空の羅針盤」を取り出した。

これまでの五つの試練をクリアしたことで、その輝きは全体の七分の五に達している。しかし、磁針は「生命の崩壊」による周囲の魔力配列の乱れを感知し、時空の門を固定できずに、なおも不規則に震え続けていた。

「まだ帰れんか。……そして、誰もが『病』と『老い』という未知の自然死に怯えるこの極限状態だ。犯人にとっては、完璧な『完全犯罪』の幕を上げる、最高の舞台が整ったというわけだ」

レオナルドがそう呟いた瞬間、集落の中央にある、急造の医療天幕から、大地族のガラクの悲痛な咆哮が響き渡った。

人間の歴史において、超古代の地で初めて発生した「自然死か、あるいは殺人か」を巡る、最も困難な法医学的サスペンスの幕が上がったのである。


## 第三十八話:第二十の審判、法医学なき死体


医療天幕の奥にレオナルドがアシャと共に駆けつけると、そこには大地族の若い戦士、バルガの遺体が横たわっていた。

バルガは前回の試練で魔物と戦った際、胸に浅い引っかき傷を負っていたが、その傷口が数日前から紫色に変色し、高熱を出して寝込んでいたのだ。

しかし、その遺体の周囲には、すでに武器を手にした大地族の戦士たちと、人間たちの過激派が集まり、今にも血の海を作り出さんばかりに睨み合っていた。

「バルガが死んだ! これは病気なんかじゃない、人間の医療師が、奴の傷口に毒を塗って暗殺したんだ!」

大地族の男が激昂して大斧を振り回す。

「ふざけるな! 医療師は寝ずに看病していたんだ! 神々の力が消えたから、ただの傷が化膿して死んだだけだろ! 難癖をつけるな!」

人間たちも弓を構えて応戦する。

これまで「自然死」や「病死」という概念を知らなかった住人たちにとって、肉体が衰えて冷たくなることは、すべて「誰かの悪意による暗殺」にしか見えなかったのだ。

「双方、その血気の失せた武器を引くがいい。無知ほど人を狂わせる劇薬はないぞ」

レオナルドが外套を翻して遺体の前に割り込んだ。彼のその理性の声すら、住人たちには理解できない。

「レオナルド! こいつらは人間のせいでバルガが死んだって言い張るんだ! でも、これが本当に『病気』による死なのか、俺たちには証明できないんだよ!」

アシャが悔しそうに叫ぶ。

レオナルドは無言でバルガの遺体の前に屈み込み、その巨躯を観察し始めた。

バルガの胸の傷は確かに深く化膿し、周囲の組織は壊死している。一見すれば、神々のメンテナンスが消えたことによる、ただの「敗血症(感染症)」による自然死に違いない。

だが、レオナルドの「万能の眼」は、バルガの首筋の皮膚に刻まれた、一分子の狂いもない「極小の針孔」を見逃さなかった。

レオナルドは懐から、ミラノで自作した細いガラススポイトを取り出し、バルガの壊死した組織ではなく、その首筋の針孔の奥から、微量の「透明な液体」を吸い上げた。それを月光に透かし、自身の指先につけて僅かに匂いを嗅ぐ。

「フフ、実に見事な『自然死への擬態』だ。犯人は解剖学の基礎を心得ているな。バルガの死因は、胸の化膿傷による病死ではない。……この首筋から注入された、【空気(塞栓)】による急性心不全だ」

「空気……? 空気で人が死ぬのか!?」ガラクが驚愕する。

「通常の肉体であればな」レオナルドは立ち上がり、周囲の容疑者たちを冷徹に見据えた。

「犯人は、バルガが傷の化膿によって衰弱していることに目をつけた。そして、彼が意識を失っている隙に、細い中空の骨針を使い、首の太い血管へと大量の『空気』を送り込んだのだ。空気の塊は血流に乗って心臓へと達し、そのポンプ機能を瞬時に停止させた。外見はただの衰弱死、しかしその実態は、病死のドサクサに紛れた、極めて冷酷な『点滴暗殺』だ」

第二十の殺人事件。それは、医療と病死という未知の概念を隠れ蓑にした、超古代初の「法医学的殺人」であった。容疑者は、この医療天幕に出入りできたすべての各種族の看病者たち。犯人の目的は何なのか。種族間の戦争を誘発するための工作なのか。天才探偵の科学のメスが、暗闇のなかで犯人の喉元へと迫りつつあった。


## 第三十九話:第二十一の崩壊、老衰という名の密室


バルガの毒殺事件によって医療天幕が閉鎖され、住人たちの不信感が頂点に達した翌夜、第六の試練【クロノスの秤】は、さらに残酷な形で第二十一の殺人事件を引き起こした。

現場は、ピラミッドの麓にある、天空族の最高齢の長老、シフェルの私室であった。

シフェルは神々が去った後、急速な「老い」に冒され、ここ数日はベッドから起き上がることすらできず、衰弱しきっていた。彼の部屋は、大地族が作った強固な石の扉で守られており、内部には彼を看病していた二人の天空族の従者以外、誰も立ち入ることはできないはずだった。

しかし、朝、従者たちが目を覚ましたとき、シフェルはベッドの上で、文字通り「骨と皮だけ」のミイラとなって息絶えていた。

その凄惨な遺体の枕元には、神々のピラミッドから盗み出されたとされる、不思議な「青い砂が詰まった砂時計」が置かれ、その砂は完全に下に落ちきっていた。

「シフェル様が……! 老衰で亡くなられたのか!? でも、昨日まではまだ、お肉も血色もあったのに、一晩でここまで枯れ果てるなんて!」

天空族の従者たちが涙を流しながら叫ぶ。

周囲に集まった住人たちは、またしても互いを犯人扱いし始めた。

「これは老衰じゃない! 水精族がシフェル様の体内の水分をすべて奪い取ったんだ!」

「違う! その砂時計は、時間を加速させる大地族の呪具だ! 奴らが長老の寿命を盗んだんだ!」

「耳障りな雑音だ。自然の摂理を歪めているのは、お前たちのその凝り固まった偏見だよ」

レオナルドが、部屋の窓から滑り込むように現れた。彼はシフェルの遺体の状況と、枕元の砂時計を交互に観察し、シフェルの「口元」に付着している、微かな緑色の微粉末を指先で掬い取った。

レオナルドは部屋の中央にあるテーブルに歩み寄り、シフェルが毎晩飲んでいたという「滋養強壮の薬湯」の器を調べた。

「時間を加速させる呪具など、この宇宙のどこにも存在せんよ」

レオナルドは不敵に微笑み、器の底の残渣をペンの先で突いた。

「この青い砂時計は、ただの飾りだ。犯人はこれを使って『時間の呪いで死んだ』という心理的錯覚を植え付けたのだ。シフェルの本当の死因は、この薬湯に混ぜられていた、【新陳代謝を極限まで暴走させる毒キノコ(クロノス・マッシュ)】の抽出液だ。これを飲まされたシフェルは、一晩のうちに通常の数万倍の速度で細胞の体内エネルギーを消費させられ、餓死と脱水を同時に起こして急激に老衰(ミイラ化)したのだよ」

「新陳代謝の暴走……! じゃあ、やっぱりこれも自然死じゃないのか!?」アシャが息を呑む。

「その通りだ。第二十一の殺人事件。これもまた、神々の力が消えたことで『肉体が衰える』という恐怖を逆手に取り、毒物によって老衰死を完璧に演出した、知的な暗殺だ」

容疑者は、シフェルに薬湯を運ぶことができた、ごく限られた看病者たち。

バルガの事件は、空気の注入による心不全。シフェルの事件は、毒物による代謝暴走の老衰死。手口はどちらも、医学的な知識を悪用した「病死の偽装」であった。

「手がかりは全て、衰えゆく肉体のなかに隠蔽されているな……」

アシャは絶望に目を閉じた。しかし、レオナルドの脳内では、この二つの事件を裏で操っている「一人の医療通ドクター」の輪郭が、完全に一本の幾何学的な数式となって結実しようとしていた。


## 第四十話:秤の上の命、天才の解剖学的告発


「全ての種族、そして肉体の衰えと病の恐怖に震える哀れな衆生よ、今すぐスフィンクスの正面へ集まるがいい!」

レオナルド・ダ・ヴィンチの、透き通った鐘の音のような声が、ギザの全域を包んでいた「死の静寂」を完璧に打ち破った。

住人たちは、ひび割れた皮膚を摩耗させ、あるいは高熱に身体を震わせながら、異界の探偵の前に集まった。彼らの目には、迫り来る死への絶望と、他者への深い殺意が宿っている。

「レオナルド、もうたくさんだ! バルガもシフェル長老も、みんな病気や寿命で死んだんだ! 俺たちも明日には同じように朽ち果てる! 犯人探しなど、何の意味もない!」ガラクが悲痛な声を上げる。

「命の価値を勝手に諦めるな、ガラク」

レオナルドは冷然と言い放ち、手にしたバルガの首筋のガラス管と、シフェルの薬湯の器を高く掲げた。

「第二十回、バルガを殺した空気の塞栓。そして第二十一回、シフェルを老衰させた代謝の毒。お前たちは、これを神々の加護が消えたことによる『天罰としての病』だと恐れている。だが、真実は違う。この二つの命を秤にかけ、自然の死に見せかけて貪り喰った『偽りの名医』が、この中にいる!」

広場に、凍りつくような緊張が走る。

「肉体の自己治癒能力が消えた今、傷口が化膿することは自然の理だ。だが、その化膿による衰弱の『正確なタイミング』を計り、的確に心臓を止める空気を注入し、あるいは細胞の燃焼を暴走させる薬物を調合できる者が、このギザの地に何人いると思う? 犯人は、住人たちが病という概念に無知であることを利用し、『病死だから仕方がない』と全員に諦めさせ、自らの個人的な復讐を完全に隠蔽しようとしたのだ!」

「そんな医学の知識を持っているのは……!」アシャが叫ぶ。

「そうだ。かつて神々の神殿で医療補助を務め、今回の試練のなかで最も献身的に看病を行っていた人間の医療師、ルファ。お前だ!」

レオナルドの指先が、医療天幕の前に立っていた、一人の物静かな人間の青年を正確に指ししめした。

「な……何を根拠に! 私は二人の命を救うために、寝ずに薬を作っていたのですよ!」ルファが激昂する。

「お前がバルガを看病していた際、お前が使っていた中空の骨針。あれの内部から、バルガの血液の成分が検出された。そして何より、シフェル長老の口元に付着していた緑色の毒キノコの微粉末だ。お前はそれを『ただの薬草だ』と言い張るつもりだろうが、お前の指先、その爪の隙間に、今でもべっとりとその緑色の胞子が付着しているぞ! お前は長老たちに、かつて自分の家族を見捨てた過去の恨みがあり、この『肉体の限界』という試練を利用して、完璧な病死として彼らを処刑したのだ!」

ルファは自身の指先を見つめ、言い訳が不可能であることを悟ると、その場にへたり込み、涙を流しながら笑い始めた。

「そうだ……! 神々がいた頃は、どんなに憎くても肉体が勝手に治っちまうから、誰も殺せなかった! だが、神々が去った今、肉体はただの脆い肉の塊だ! 素晴らしいじゃないか、ようやく人間は『自分の手で他人を殺せる権利』を手に入れたんだ!」

ルファが狂叫したその瞬間、ガラクの四本の腕が彼の肉体を固く拘束した。

医療師ルファが捕らえられたその瞬間、ギザの全域を覆っていたおぞましい「死の気配」が、ピタリと消え去った。天空からは、神々が去って以来、最も瑞々しい生命の光が差し込み、住人たちの肉体の化膿傷や乾燥によるひび割れが、劇的に完治することはなくとも、大自然の正常な速度での「緩やかな自己治癒」を開始したのだ。老いの恐怖は消えないが、それは絶望ではなく、一日一日を大切に生きるという「生命の尊厳」へと昇華された。

第六の試練【肉体の限界】が、ここに完全クリアされた瞬間であった。

レオナルドが懐の「時空の羅針盤」を取り出すと、その表面は、今や全体の「七分の六」――あと一歩で完全に満たされるほどの、圧倒的なエメラルドグリーンの大光輪を放っていた。磁針は完全に静止し、元のルネサンスの世界がある「ミラノの我が工房」の座標を、寸分の狂いもなく指し示している。

「フッ、六つ目の秤も傾いたか。これで私の帰還の計算式は、最終項を残すのみとなったな」

レオナルドは満足げに微笑み、羅針盤をポケットに収めた。しかし、彼の鋭い視線は、天頂に並び始めたオリオンの三つ星と、それに応じるように負のエネルギーを最大限に放出し始めた三つのピラミッドを捉えていた。

第六の試練が破られたことで、世界は最後の、そして最も壮大な破壊の罠を用意している。次なる第七の試練――ギザのすべてを焼き尽くす「天の審判(オリオンの落涙)」のタイムリミットが、超古代の空に、今まさに告げられようとしていた。

万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチの時空探偵劇は、ついに最終章の謎解きへと突入する。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。

パラレルワールドで今度は、エジプトギザです

よろしくお願いします。

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