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もう一つの 第九話:『葡萄畑の暴君と、偽りの新酒に隠された絵の具の罠』後編

二話目の投稿です。

誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

新作始めます。探偵物です。

設定がおかしいのはご勘弁くださいね!

当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。

大変励みになっております。

これからもよろしくお願いします。

では、参ります!!


もう一つの 第九話:『葡萄畑の暴君と、偽りの新酒に隠された絵の具の罠』

後編:反転する因果のカンヴァス、崩壊する氷の迷宮と祝福のデッサン

ドガァァァンッ!!!!

激しい轟音と共に、ヴィニャ・ヴェッキア村の地下倉庫へと続く階段は、完全に氷結した巨大な氷の牙によって塞がれようとしていた。

フランチェスカちゃんが紅蓮の炎を纏わせた白銀の剣を一閃し、迫り来る魔液獣の触手を一本、また一本と叩き切るたびに、周囲の空気は蒸発した水蒸気で真っ白な霧に包まれていく。

「ダヴィンチさん! この奥から感じる冷気の魔力、さっきの地上にいた個体の一体や二体じゃありません! まるで、この地下倉庫そのものが、巨大な魔物の巣窟パレットに変えられてしまっているみたいです!」

彼女の頭頂部にある銀色の猫耳は、地下の暗闇から響いてくる不気味な地鳴りのような足音を捉え、恐怖と緊張でピンと後ろに伏せられていた。懐のキララちゃんも、お嬢さんの軽装鎧の隙間から「シャーッ!」と鋭い威嚇の声を上げている。

「ひゃははは! お嬢さん、慌てちゃいけないよ。おじさんの固有スキル【画家パレット・マスター】のレンズが、この濃霧の向こうにある『真犯人の本当の線の歪み』を完全に捉えているのさね。……おい、そこに隠れて震えている『もう一人のドブネズミ』さん。そろそろ、その汚い絵の具の筆を引っ込めたらどうだい?」

俺はヨレヨレの白いシャツの胸元をはだけさせ、油絵の具まみれの指先で、凍りついたワイン樽の影をピッと指差した。

そこから、影を這うようにして姿を現したのは、アンジェロ男爵の側近であり、この村の税収を管理していた裏切りの会計官――**【強欲のマルチェロ】**だった。彼の細い手には、前回の幽霊船の事件で使われたものと全く同じ、どす黒い魔力を放つ『漆黒の魔導インク瓶』が握られていた。

「ケケケッ! さすがは下町のドブ板探偵、ダ・ヴィンチだ。すべてを見抜いていたというわけか。だが、もう遅い! あの間抜けなアンジェロ男爵は、私が仕込んだこの魔液獣の餌食となって堆肥の中に転がった! 奴の持っていた土地の全権利書と、この村が何百年も蓄積してきた最高級の新酒の利権は、今この瞬間からすべて私のカンヴァスの上に書き換えられるのだ! この地下に眠る数千個のワイン樽の生命力をすべてこの魔獣に吸わせ、ローマの街ごと、私の黒いインクで塗り潰してやるわい!」

マルチェロは、その細い狐のような目をさらに吊り上げ、下品な引きつった笑い声を地下水道の奥へと響かせた。

彼の背後から、さらに巨大な、体長6メートルを超える【怨嗟の魔液獣フルイド・スケルトン・完全捕食体】が、無数の白骨の腕をドロドロの肉体から突き出しながら、おぞましい咆哮を上げて這い出してきた。その圧倒的な質量と冷気の前に、フランチェスカちゃんの炎の剣の勢いが、見る見るうちに衰え始めていく。

「くっ……! 炎が、冷気に押し負けていきます……! ダヴィンチさん、私の力だけでは、この巨大な悪意の塊を斬り伏せることができません!」

お嬢さんは、何度も油と氷の床に足を取られ、その綺麗な白銀の軽装鎧の肩紐をパチンと音を立てて引きちぎられながらも、必死に剣を構え直した。しかし、彼女の額からは恐怖の汗が流れ落ち、膝はガタガタと限界を迎えて震えていた。

だが、その時だ。おじさんの焼き切れそうだった脳細胞の奥底で、かつてない【新しい色彩の地平パレット】が、カチリと音を立てて覚醒した。

「――ひゃはは! 待たせたね、お嬢さん。おじさんのこのポンコツな脳みそが、あまりの危機の色彩の過剰量オーバーフローに耐えかねて、ついに新しい異能のレイアウトを自動的にデッサンしちまったみたいさね!」

俺の両目は、通常の人間には絶対に到達できない、時間の流れそのものが【パラパラ漫画の原画のタイムライン】として視覚化される、驚異的な領域へと突入していた。

これこそが、おじさんに新たに授けられた究極の固有スキル――【新パレット:時間の書き換え(クロノ・グラフ・リペイント)】だった!

「いいかい、お嬢さん。この世界がどれほど歪んだ悪意のインクで汚されようとも、おじさんの新しい筆があれば、その原因となった『過去の最初の筆跡レイアウト』まで時間を巻き戻し、美しい祝福の色彩へと一界に描き直すことができるのさね! 行くぞ、悪党ども! お前たちの強欲な時間を、ここで完全にリセットしてやる!」

俺はヨレヨレのシャツの袖をまくり上げ、虚空に向けて、見えない神の筆を思い切り振り下ろした。

「【クロノ・グラフ・リペイント・因果の反転リバース・パレット】!!」

瞬間、地下倉庫全体の色彩が、まるで水槽の中に落とした一滴の白い絵の具のように、強烈な閃光を放って反転した!

ゴゴゴゴゴゴゴッ……!という、時間が逆行するおぞましい音が響き渡る。

「な、何だこれは!? 身体が、私の時間が、後ろへと引っ張られていくぞ!?」

悪党マルチェロが恐怖に目を剥いて絶叫した。彼の目の前で、咆哮を上げていた巨大な魔液獣の身体が、まるで巻き戻されるビデオテープのように、ドロドロとした黒い液体となって、床の排水管の隙間へと凄まじい勢いで吸い込まれて逆流していく!

それだけではない。おじさんの筆のデッサンは、この地下倉庫の暗闇を通り抜け、地上の葡萄畑全体へと一界に拡張されていった。

「あ、ああ……! 見てください、ダヴィンチさん! 畑の氷が、魔物の冷気が、綺麗に消えていきます!」

フランチェスカちゃんが驚きの声を上げた。

地上で冷気魔法の残香によって白骨化させられていた何十人もの村人たちの骨に、おじさんの【時間の書き換え】の白い光の筆跡が触れた瞬間、彼らの肉体と生命力の線が、凄まじい速度で再構成デッサンされ始めたのだ。

骨の周りに健康的な筋肉が肉厚に描き直され、失われていた皮膚が瑞々しい小麦色に塗り替えられ、彼らの瞳に、あたたかい生命の光が再び灯る。

「う、うおああっ!? 俺は、俺たちは一体どうなっていたんだ……?」

「生き返った……? 違う、俺たちは最初から、魔物に襲われてなんていなかったんだ!」

完全に健康な状態へと描き直された村人たちは、全員が自らの手を見つめながら、歓喜の涙を流して立ち上がった。彼らが持っていた古い伝統ある葡萄の木々も、根こそぎ引き抜かれた過去を消去され、地中から再び力強く青々とした葉を伸ばし、その枝には、これまで見たこともないほど丸々と太った【琥珀色と深紫色の極上の葡萄の房】が、実りの秋の太陽を浴びてキラキラと輝きながら実り直したのだ!

自然の恵みを強欲に塗り替えようとした悪党の筆跡が、おじさんの神がかり的な【祝福のデッサン】によって、一瞬にして「誰も傷つかない完璧な豊作の構図」へと塗り替えられた瞬間だった。

だが、時間を巻き戻されたことによる【因果のしわ寄せ(ツケ)】は、すべてこの事件を仕組んだ悪党たち自身の肉体へと、何百倍もの質量となって一界に押し寄せた!

「――ぶ、ぶひゃあああああッ!?!?(マルチェロの、この世のものとは思えない潰れたカエルのような悲鳴)」

地下倉庫の奥で、排水管から逆流してきたすべての『怨嗟の魔液獣の冷気ヘドロ』と、時間を巻き戻されたことで発生した『数千リットル分の発酵しかけたドロドロの腐った葡萄のハラワタ(堆肥の濁流)』が、大爆発を起こしてマルチェロの狐のような顔面に正面から大直撃したのだ!

「ぎゃあッ!? 臭い、冷たい、目が、目が開かないぃ履ぁぁッ!!」

マルチェロは、自らが仕組んだ魔導インクの呪いと、最悪に生臭い堆肥のドロドロ液を全身に浴びまくり、仕立ての良い上着を真っ黒な汚物で染め上げながら、床の上を無様に転がり回った。

さらにその濁流は、地上の肥溜め樽の中でようやく目を覚ましかけていたアンジェロ男爵の口の中へと、トドメと言わんばかりにドボドボドボッ!と容赦なく流れ込んだ!

「ぶふぉっ!? げほっ、ごほっ! 汚物、これは完全なる汚物だぁぁぁッ!! 助けてくれ、私の利権が、私のゴールドがぁぁぁッ!!」

アンジェロ男爵は、頭に腐った葡萄の皮を大量に乗せたまま、顔中を堆肥液でドロドロに染め上げ、鼻水を垂らしながら涙目でその場に転がり、マルチェロと共に「ふ、ふぎゃあ……! 臭い、もう許してくれぇ……!」と、互いの汚物まみれの身体を抱き合って、完全に正気を失って気絶してしまった。

下町の富を貪り、村人たちの命を奪おうとした二人の強欲な悪党が、自らが生み出した「最悪のゴミ屑の構図」の中で、永遠に消えない悪臭と共に完全なる破滅ざまぁみろを迎えた瞬間だった。

「――ガハハハ! ざまぁみやがれ、このドブネズミどもめ! 天罰が下ったんだよ!」

馬車の陰から飛び出してきたマルコ店長が、その分厚い太ももを叩きながら、お腹がちぎれんばかりの大爆発のような笑い声を響かせた。

「にゃあお!」と、お嬢さんの胸元からキララちゃんも誇らしげに鳴き声を上げ、ウララも青い静電気の火花をパチパチと散らせて、悪党たちの間抜けな姿を嘲笑っていた。

地下の暗闇から、無事に生還した俺とお嬢さんが地上へと足を踏み出すと、そこには、描き直されたばかりのヴィニャ・ヴェッキア村の美しい葡萄畑が、黄金色の夕焼けの光に包まれて、どこまでも美しく広がっていた。

「ダ・ヴィンチ先生! フランチェスカのお嬢ちゃん! ありがとう、本当にありがとう!」

村長をはじめとする何十人もの村人たちが、涙を流しながら俺たちの周りに集まり、まるで本物の英雄を迎えるかのような盛大な拍手と歓声を送ってくれたのさね。

「ひゃははは! おじさんはただ、カンヴァスの汚れをちょっと消しゴムで消しただけさね。さあ、村人諸君! 悪党どもはお巡りさんの檻の中へお引越しだ! 僕たちの、本当の『新酒ノヴェッロの宴』を始めようじゃないかい!」

俺がヨレヨレのシャツをバサッと翻して叫ぶと、村中に歓喜のファンファーレが鳴り響いた。

巨大な木樽から注がれる新酒は、まるで【最高級のルビー】のように鮮やかに透き通り、グラスに注がれるたびに、甘酸っぱい葡萄の芳醇な香りが秋の夜風に乗ってどこまでも広がっていく。

「わあ……! すごいです、ダヴィンチさん! このワイン、一口飲んだだけで、身体の中からあたたかい光の線が広がっていくみたいです!」

フランチェスカちゃんは、マルコ店長が切り分けてくれたサクサクの特製ハニーパンを大きな口で頬張りながら、その美しい白銀の猫耳を嬉しそうに何度もピコピコと動かしていた。その丸い両頬は、美味しい新酒のせいで、ほんのりと可愛らしい桜色に染まっている。完璧な英雄ではないけれど、街の平和を心から喜べる、最高の見習い騎士の笑顔がそこにあった。

大市場のジローも、顔の傷をすっかり忘れて、「おいおい、ダ・ヴィンチ! お前のその新しいスキル、今度俺の解体庫の腐りかけた肉の時間を巻き戻すのにも使ってくれよ!」なんて無茶を言って、おじさんの背中をガハハと豪快に叩いて笑っている。

「ひゃはは、それは勘弁しておくれよ、ジローさん。おじさんのこの新しい筆は、下町の美味しい笑顔を描くためにしか使えない、特別なパレットなんだからねぇ」

俺はワイングラスを片手に、夜空に広がる満天の星々と、下町の仲間たちの幸せそうな色彩を見つめながら、不敵に、そして温かく微笑んだ。

どんなに不完全で、どんなにバグだらけの異能であっても、俺たちの手によって描かれる未来の補助線は、これからもこのローマの街を、どこまでも真っ直ぐに、そしてハッピーエンドの色彩で美しく満たしていくのさね。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。

よろしくお願いします。

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