表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/97

エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 7章

二話目の投稿です。

誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

新作始めます。探偵物です。

世界遺産編エジプトギザのピラミッド開幕です

当初から作品を見ていただき本当にありがとうございます。

大変励みになっております。

これからもよろしくお願いします。

では、参ります!!


エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 7章


## 第二十五話:石化の川と、飢渇のピラミッド

第二の試練である魔物たちの暴走を退けたギザの住人たちを待っていたのは、生命の根源を揺るがす最も苛烈な環境の激変――第三の試練【沈黙の泉(ミダスの渇き)】であった。

かつてギザの全域を潤し、極彩色の魚たちが泳いでいた大河「原初のナイル」の変貌は、まさに絶望そのものだった。神々が完全に去ったことで、川の水は瑞々しい透明感を失い、ねっとりとした、銀色に妖しく光る未知の液体へと変質してしまったのだ。

その水は、ただの濁水ではない。触れたものすべてを瞬時に冷徹な「石」へと変える、呪われた石化の水であった。

川岸に近づいた野生の動物が一口その水を飲もうとした瞬間、その喉から全身へと灰色のアパタイトが広がり、一瞬にして精巧な石像と化して砕け散る。川辺に咲き誇っていた巨大な蓮の花々も、今や重々しい石の彫刻となり、風に揺れることすらなく沈黙していた。

「水がない……。飲む水が、どこにもないんだ!」

集落の広場で、人間の若者アシャがひび割れた唇を震わせ、空の革袋を地面に叩きつけた。

住人たちの生活風景は、極限の「渇き」によって完全に殺伐としたものへ変わっていた。

触れれば石になる大河を前に、各種族はただ指をくわえて見ていることしかできない。

大地族のウルたちは、その頑強な岩の皮膚のおかげで石化の水に対して多少の耐性があったが、それでも長時間触れれば肉体が硬化して動かなくなるため、水辺に近づくことは禁じられていた。

現在、ギザに残された唯一の「安全な真水」は、中央にそびえ立つ第一のピラミッドの最深部、かつて神々が管理していたとされる「隠し泉」から湧き出るわずかな水だけであった。

各種族は、生き延びるために毎日、厳重に管理されたピラミッドの入り口へと列をなし、一日の配給となるわずかな水を受け取るために何時間も並ばなければならなかった。水を巡る諍いは絶えず、列の間では常にナイフや棍棒を隠し持った者たちが、互いを血走った目で見張り合っている。

そのピラミッドの巨大な回廊の一角に、レオナルド・ダ・ヴィンチは自身の仮初めの研究机を置いていた。

机の上には、石化の川から採取した銀色の液体の瓶と、徐々に輝きを増しつつある「時空の羅針盤」が並んでいる。羅針盤の表面は、これまでの二つの試練をクリアしたことで、全体の七分の二が美しいエメラルドグリーンの光で満たされていた。

しかし、針は未だ時空の歪みを固定できず、狂ったように回転を繰り返している。

「液体が有機物の炭素構造を一瞬で珪素へと置換している。これは自然界の化学反応ではない。神々が遺したピラミッドの『水質統御システム』が完全に逆行し、地上の生命を拒絶しているのだ」

レオナルドはパピルスに複雑な数式を書き込みながら、深くため息をついた。

「まだだ……まだ私は元の世界へ帰ることはできん。この『ミダスの渇き』というアポリアを解き明かさねば、私はこの超古代の地で、喉を焼かれて石の塊になるほかないというわけだな。やれやれ、フィレンツェの上質なワインが恋しいものだ」

レオナルドがそう呟いた瞬間、ピラミッドの奥深く、隠し泉へと続く「大回廊」の方向から、石を叩き割るような凄まじい絶叫が響き渡った。

新たな惨劇――第十四の殺人事件が、水を求める住人たちの緊迫した空気のなかで、ついに勃発したのである。


## 第二十六話:第十四の封印、絶対密室の石棺


レオナルドとアシャが、松明の炎を揺らしながらピラミッドの地下回廊へと駆けつけると、そこには恐怖で腰を抜かした数人の人間たちと、巨躯を震わせる大地族のガラクの姿があった。

現場は、隠し泉の手前に位置する、かつて神々の儀式に使われていた「王の間」であった。

その部屋の周囲は厚さ数メートルもの巨大な巨石の壁で囲まれており、入り口には神々のオリハルコンで作られた頑強な三重の扉が据えられている。

この扉は、配給の時間以外は内側からも外側からも完全に施錠され、いかなる各種族の能力ヘカをもってしても、物理的に侵入することは不可能な「絶対の密室」であった。

しかし、その部屋の中央に置かれた純白の石棺のなかで、一人の人物が冷たい骸と化していた。

被害者は、水精族アプの最後の高官であり、隠し泉の真水を各種族へ公平に分配するための「鍵」を管理していた老人、ナバールであった。

「ナバール様が……! なんでこんなところで死んでいるんだ!? 扉はさっき、俺たちが配給のために開けるまで、完全に閉まっていたはずなのに!」

大地族の戦士が、三重の鍵がかかったままだった扉を指さして叫ぶ。

集まった住人たちは、即座に互いを指差し合って狂乱した。

「密室を通り抜けられるのは、大気の隙間を抜ける天空族ネフェルの仕業だ!」

「ふざけないで! 天空族の羽であの重い石棺の蓋を動かせるわけがないわ! 物理的に壁を動かせる大地族の誰かが、隠し通路を使ったのよ!」

「騒ぐのはそこまでにしてもらおう。ピラミッドの内部は音が反響して、私の繊細な鼓膜が悲鳴を上げている」

レオナルドが松明をアシャに預け、石棺の中へと視線を落とした。

彼の万能の観察眼が、密室の中に残された、犯人の「計算違い」を瞬時に見つけ出す。

ナバールの遺体には、外傷が一切なかった。刺し傷も、首を絞められた痕跡もない。しかし、彼の全身は、まるで外の石化の川に浸されたかのように、完全に「グレーの硬い石」へと変貌していた。衣服までもが、まるで精密な彫刻のように石化し、石棺の底に張り付いている。

レオナルドは石棺の内壁を指先でなぞり、そこにかすかな「湿り気」があるのを確認した。

「なるほど、実に見事な幾何学的暗殺だ。だが、犯人は一つだけ、流体力学の基礎を見落としていたな」

「レオナルド、どういうことだ? 犯人はどうやってこの密室に入り、ナバール様を石にしたんだ?」アシャが尋ねる。

「犯人は、この密室の中には入っていないのだよ、アシャ」

レオナルドは不敵に微笑み、三重の扉の上部にある、わずか数センチメートルの「空気循環用の細いスリット(通気孔)」を指ししめした。

「犯人は昨晩、この通気孔の真外から、石化の川の水を『霧状』にして内部へと噴射したのだ。

水精族のナバールは、部屋の中に漂うその不審な霧が、まさか石化の水だとは気づかずに吸い込んでしまった。

体内に入った石化の水は、彼の肺から血流へと巡り、数分で彼の肉体を内側から完全に石へと変えた。そして、石化の進行に伴う自重の増加で、彼は石棺の中に倒れ込んだ。蓋が開いていたのは、ナバール自身が苦しみのあまり、石棺にすがりついたからだ」

第十四の殺人事件。それは、侵入不可能な密室の外から、環境の毒を流し込むという、極めて知的な「遠隔殺人」であった。

容疑者は依然として絞れなかった。石化の水を通気孔から正確に噴射する機構を作れるのは、人間の職人か、あるいは風を操る天空族。

目的もまた繋がらない。真水の分配権を奪うための強欲なのか、それとも、水精族への復讐なのか。

「手がかりは霧と共に消え去ったな……」

レオナルドは呟き、石化した老人の顔を見つめた。しかし、この密室の惨劇は、水を失い狂気に瀕したギザの住人たちにとって、さらなる血の連鎖への序曲に過ぎなかった。


## 第二十七話:第十五の崩落、乾いた天罰


ナバールの死によって、隠し泉の「鍵」は紛失し、ピラミッド内部の真水の配給は完全に停止してしまった。

丸一日、一滴の水も口にすることができなくなった住人たちの理性は、完全に消滅した。

彼らはもはや種族の垣根を越えた協力など忘れ去り、ピラミッドの内部を「真水を探すための略奪の迷宮」へと変えてしまったのだ。

「水はどこだ! 神々はどこへ隠した!」

人間たちが松明を掲げて隠し通路の壁を叩き壊し、大地族は力任せに神聖な部屋の扉を破っていく。

そんな暴動の最中、第一のピラミッドの最上階へと続く「大階段」の踊り場で、第十五の凄惨な殺人事件が発生した。

被害者は、天空族のなかで最も温厚であり、ナバールの死後、狂乱する各種族を必死に宥めようとしていた女性、リリアであった。

彼女の遺体は、大階段の巨大な花崗岩の階段の間に、まるで「石の楔」のように挟まっていた。彼女の身体は、前回のナバールとは異なり、石化はしていなかった。

しかし、その背中の美しい二枚の羽は、根元から完全に「引きちぎられて」おり、彼女の喉には、神々のピラミッドの壁画を削り取って作られた、鋭利な「石の破片」が深く突き刺さっていた。

「リリア……! お前まで、こんな乾いた場所で死ななきゃいけないのか!」

天空族の戦士たちが上空を狂ったように旋回し、悲痛な叫び声を上げる。

レオナルドは、怒号と悲鳴が渦巻く階段に堂々と立ち、リリアの傷口と、周囲の状況を冷静に分析し始めた。彼の脳内にある万能の計算機が、リリアの死体が示す「不自然な座標」を導き出す。

「背後の羽を引きちぎるほどの圧倒的な力。そして喉に突き刺さった、ピラミッドの壁画の石片。……一見すれば、怪力を持つ大地族が、彼女を階段の上から突き落とし、口封じのために石片でトドメを刺したように見えるな」

「そうだ! 大地族の仕業に決まっている! 奴らは水が欲しくて、邪魔な天空族を排除しているんだ!」人間の男が叫ぶ。

「ふざけるな! 俺たちがそんなまどろっこしい殺し方をするか! これは人間たちが、俺たちに罪をなすりつけるための工作だ!」ガラクが四本の腕を振り回して反論する。

「いや、どちらも的外れだ」

レオナルドはリリアの喉から石片を抜き取り、その断面を大階段の壁画の傷跡と照らし合わせた。

「この石片が削り取られた場所は、この階段の付近ではない。ここから数百メートル上にある、神々の『気候統御の間』の壁画の一部だ。つまり犯人は、彼女を上の部屋で殺害した後、その遺体をこの階段まで運び、わざわざ大地族の犯行に見せかけるために羽を引きちぎった。……実にお粗末な、しかし効果的な『種族間離間の計』だ」

第十五の殺人事件。その手口は「偽装された暴力的殺戮」。

繋がらない。目的がまたしても完全にバラバラだ。第十四の事件は、水を巡る分配権の抹殺であり、今回の第十五の事件は、各種族の戦争を意図的に誘発するための「政治的暗殺」のようだった。

「レオナルド、もう本当に戦争が始まっちゃうよ! みんな喉がカラカラで、目の前の奴を殺すことしか考えていないんだ!」

アシャが涙を流しながら、レオナルドの外套を引っ張った。

レオナルドは無言で、懐からあの「時空の羅針盤」を取り出した。

ピラミッドの閉ざされた空間のなかで、羅針盤のエメラルドグリーンの輝きは、先ほどよりもさらに怪しく、しかし確実にその光の「密度」を増していた。

「焦るな、アシャ」

レオナルドの唇が、薄暗い闇のなかで静かに弧を描いた。

「この『ミダスの渇き』という試練の底で、犯人は自らの足を滑らせた。完璧な密室と、完璧な偽装。

その二つの相反する事件を同時に引き起こしたことで、奴の『真の目的』が、私の数式のなかに完全に浮き彫りになったのだよ」


## 第二十八話:渇きの終焉、天才の流体力学


「全ての種族、そして水を求めて狂える者たちよ、今すぐこの大階段の前に整列せよ!」

レオナルド・ダ・ヴィンチの、地響きのような威厳に満ちた声が、ピラミッドの内部を埋め尽くしていた暴動の音を完全に沈黙させた。

住人たちは、喉の渇きと絶望のなかで、異界の探偵の前に集まった。彼らの手には、すでに互いの血を吸った武器が握られていた。

「レオナルド、もう言い訳は聞かんぞ! 隠し泉の鍵が出ないなら、俺たちはこのピラミッドの最深部を力任せに爆破してでも水を奪い取る!」大地族の男が吼える。

「爆破すれば、隠し泉は崩落し、お前たちは二度と一滴の水も得られずに石の塊となるだけだ、愚か者め」

レオナルドは冷然と言い放ち、手にしたパピルスの束を高く掲げた。

「第十四の事件、ナバールを殺した石化の霧。

そして第十五の事件、リリアを殺した偽装の石片。お前たちは、これらを水を巡る強欲や、種族間の憎悪の仕業だと考えている。だが、真実は全く逆だ。犯人の目的は、水を独占することでも、他種族を滅ぼすことでもない。……犯人の本当の目的は、このギザの全種族を【完全に和解させないこと】にある!」

広場に、水を打ったような静寂が訪れた。

「ナバールが管理していた隠し泉の鍵は、紛失したのではない。犯人が、最初から『このピラミッドの内部の特定の場所』に隠匿したのだ。なぜか? 鍵がなくなれば、お前たちは必ず互いを疑い、水を巡って殺し合うと知っていたからだ。リリアを殺し、大地族の仕業に見せかけたのも、お前たちの間に流れる不信の炎に、さらに油を注ぐためだ。犯人は、この『渇き』という極限状態を利用して、神々が遺した試練そのものを『永久にクリアさせない』ように仕組んでいたのだよ!」

「そんなことをして、一体誰が得をするんだ!?」アシャが叫ぶ。

「得をする者が、一人だけいる。……人間たちのなかで、神々の去り際に最も激しく絶望し、世界の一切の破滅を望んでいた職人、エノク。お前だ!」

レオナルドの指先が、群衆の後方に隠れていた、一人の老いた人間の高官を正確に指し示した。

「な……何を根拠に! 私は、人間たちのために水を確保しようと……!」エノクが狼狽する。

「お前がナバールを殺した霧の噴射装置を作れたのは、お前がピラミッドの配管構造を熟知した職人だからだ。

そして、リリアの喉に突き刺さっていた壁画の石片。お前はそれを『気候統御の間』から削り取ったと言ったが、あの部屋に入ることができたのは、昨日、神々の遺物を整理していたお前だけだ。何より、お前の衣服の袖口を見てみろ。ナバールを石化させた霧の成分である『銀色の珪素粉末』が、べっとりと付着しているぞ!」

エノクは自身の袖口を見つめ、言い訳が不可能であることを悟ると、その場にへたり込み、狂ったように笑い始めた。

「そうだ……! 神々に見捨てられたこの世界に、何の意味がある!? 互いに疑い、渇いて死んでいく姿こそ、あの傲慢な神々への最高の復讐じゃないか!」

エノクが狂叫したその瞬間、ガラクの太い腕が彼の身柄を拘束した。彼が隠し持っていた「隠し泉の鍵」が床に転がり落ちる。

アシャがその鍵を拾い上げ、大階段の奥にある隠し泉の制御盤へと差し込んだ。

ガチリ、と重厚な音が響くと同時に、ピラミッドの最深部から、地響きと共に「純粋な真水」が爆発的に湧き出し、回廊を流れていった。

その水は、外の石化の川へと流れ込み、銀色の呪われた液体を、一瞬にして元の清らかな大河へと浄化していったのだ。川辺の石化していた動物や蓮の花々も、次々と元の瑞々しい生命の姿を取り戻していく。


第三の試練【沈黙の泉】が、ここに完全クリアされた瞬間であった。


住人たちは、湧き出た真水を貪るように飲み干し、互いの誤解を解き、涙を流して抱き合った。人間、大地族、天空族、水精族の間に、再び真の結束が戻ったのだ。

レオナルドが懐の「時空の羅針盤」を取り出すと、その輝きはさらに強まり、全体の「七分の三」が眩いエメラルドグリーンの光で満たされていた。

針は確実に、元のルネサンスの世界がある「時空の座標」を捉えつつある。

「フッ、三つ目の試練も幕引きか。だが、羅針盤の針はまだ完全に静止してはくれんようだな」

レオナルドは静かに微笑み、羅針盤をポケットに収めた。なぜなら、水を取り戻したギザの地に、今度は夜の闇と共に、他人の言葉がすべて悪口に聞こえるという、第四の精神を蝕む「嘘つきの霧」の気配が、音もなく立ち込め始めていたからだ。

万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの超古代探偵業は、さらなる狂気の深淵へと続いていく。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。

パラレルワールドで今度は、エジプトギザです

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ