エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 5章
二話目の投稿です。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
新作始めます。探偵物です。
世界遺産編エジプトギザのピラミッド5章開幕です
よろしくお願いします
では、参ります!!
## 第十七話:黄昏の砂嵐と、引き裂かれた楽園
神々が天空のオリオン座の彼方へと去り、ギザの地に残されたのは、完璧なるシステムを失った「未完成の世界」だった。
かつて磨き上げられた結晶体のように白く輝いていた三つのピラミッドは、今や光を失った灰色の巨石の塊となり、地平線を見下ろしている。左右のスフィンクス――オシリスとアヌビスの巨像もまた、ただの物言わぬ岩の双璧へと成り下がっていた。
そして、神々が去り際に宣告した第一の試練【飢餓の砂時計】が、容赦なく住人たちへと襲いかかった。
ギザを潤していた「原初のナイル」の川幅は日を追うごとに狭まり、透き通っていた水は泥を巻き込んで濁り始めた。何よりも凄惨だったのは、周囲の豊かな大密林の変貌である。
数万年の間、青々と茂り、甘い蜜を滴らせていた巨木たちは、一晩にして葉を枯らし、その根元からは、見たこともない「乾いた砂」が噴き出し始めた。
北から吹き付ける風は、水分を完全に奪われた凶器と化し、無数の砂粒を集落へと運び込んでくる。
「これが砂漠。神々の庇護を失うということは、世界が死んでいくということなのか」
人間の狩人アシャは、枯れ果てた果樹園の前に立ち、変わり果てた故郷の姿に唇を噛み締めた。
かつては人間に対して無警戒だった「神聖牛」の群れは、飢えと乾燥に耐えかねて狂暴化し、今や人間を見れば鋭い一角を向けて突撃してくる。
神々の配給が完全に止まったことで、住人たちの生活風景は、優雅な楽園の暮らしから、一転して「泥をすするような生存競争」へと叩き落とされた。
「おい、人間ども! お前たちが神の結晶の祭壇を汚したから、こんなことになったんだ!」
集落の境界線で、大地族の若者たちが、四本の太い腕に石の棍棒を握り締め、人間に向かって怒号を浴びせていた。
彼らの頑強な岩の皮膚も、乾燥のせいで至る所がひび割れ、痛々しい白い粉を吹いている。
「ふ、ふ、ふざけるな! 最初に仲間を殺したのはお前たち異種族の誰かだろう! 水精族が川の水をせき止めているから、俺たちの畑が全滅したんだ!」
人間たちもまた、狩猟用の弓を構えて応戦する。
かつては他種族と肩を並べ、神々の祝祭で笑い合っていた彼らの姿はそこにはない。
そこにあるのは、底を突きかけた「備蓄食料」と「わずかな真水」を巡る、醜い奪い合いの風景だった。
その喧騒から離れた生きた木の家――いや、今は「枯れ木の家」となった薄暗い部屋のなかで、レオナルド・ダ・ヴィンチは一人、冷徹に作業を続けていた。
彼の前には、十五世紀のミラノから持ち込んだ、時空を越えるための「時空の羅針盤」が置かれている。だが、その針は完全に磁力を失ったかのように動かず、真鍮の表面は薄汚れた砂に覆われていた。
「やはり、まだ帰れんか!」
レオナルドは自嘲気味に呟き、羅針盤に付着した砂を吹き払った。
「神々が遺したこの環境の激変は、単なる自然現象ではない。ギザという精密な機械から『循環』という潤滑油が抜かれたのだ。
そして、残された部品(住人)たちは、互いを摩耗し合い、壊し合っている。この状況下で、再び『事件』が起きぬはずがない」
レオナルドの不吉な予言は、その日の夜、最も最悪な形で的中することになる。
吹き荒れる砂嵐の音に紛れて、第十の、そして誰もが予想し得なかった不可解な殺人事件の幕が上がったのだ。
## 第十八話:第十の渇き、黄金の乳の罠
砂嵐が一段と激しさを増した深夜、集落の共有貯蔵庫の前で、再び血の惨劇が発見された。
被害者は、人間と他種族の間で唯一、食料の公平な分配を主張し続けていた人間の女性、シザだった。彼女はアシャの母親代わりでもあり、誰からも慕われる慈愛に満ちた人物だった。
しかし、発見された彼女の死体は、見るも無惨な状態だった。
彼女は食料庫の床に倒れ、その全身は、まるで数ヶ月間も砂漠に放置されていたかのように「完全に干からびて」ミイラ化していたのだ。
「母さん! 嫌だ、嘘だろ。なんでこんな、一晩で干からびて死ぬなんて、そんなのあり得ない!」
アシャはシザの枯れ木のような遺体を抱きしめ、激しく泣き叫んだ。
周囲に集まった住人たちは、悲しむよりも先に、恐怖で互いに武器を向け合った。
「見たか! シザの身体から、すべての水分が抜き取られている! これは川を操る水精族の呪いに違いない!」
「違う! 私たちは何もしていない! むしろ、食料を独占するために、人間たちが身内を殺して私たちのせいにしているんだ!」
「静かにしたまえ。砂が口に入って、まともな思考ができなくなるぞ!」
押し寄せる群衆を掻き分け、レオナルドが遺体の前に屈み込んだ。
彼は砂嵐を避けるためにルネサンスの外套を頭から被り、その鋭い眼光だけで現場を圧倒した。
レオナルドはシザの干からびた皮膚を指先でなぞり、その口元を注意深く観察した。
「水分が抜き取られたのではない。彼女は、これを飲んだのだ!」
彼が指し示したのは、シザの手から転がり落ちていた、一つの小さな石杯だった。杯の底には、微かに「黄金色に輝く濃厚な液体」がこびりついている。
「それは『神聖牛の濃縮乳』!? でも、どうして? あの乳は最高の栄養源のはずだ!」アシャが驚愕する。
「通常の乳であればな」レオナルドは杯の底の液体をペンの先で掬い、月光に透かした。
「これは、ピラミッドの光が消えたことで『変質』した、超高濃度の魔力塩分だ。神々が去ったことで、動物たちの体内組織も狂い始めている。この液体は、一口飲めば体内のすべての水分を瞬時に吸い尽くし、細胞を凝固させる『劇薬』へと変わっていたのだ。犯人は、それを知っていて彼女に飲ませた」
第十の殺人事件。それは、環境の激変そのものを利用した「毒殺」であった。
だが、容疑者はまたしても絞れない。神聖牛の乳を管理していたのは人間だが、貯蔵庫に忍び込んで劇薬を仕込むことは、夜間に飛行できる天空族にも、地中を進むことができる大地族にも可能だったからだ。
「手がかりすら、この吹き荒れる砂がすべて消し去っていくな」
レオナルドは立ち上がり、砂嵐の向こうにぼんやりと浮かぶ、アヌビスの巨像を見つめた。
試練は始まったばかり、住人たちが飢えと恐怖で正気を失う中、犯人は環境の破壊すらも自らの「凶器」として取り込み、さらなる猟奇の渦を生み出そうとしていた。
## 第十九話:第十一の砂葬、容疑者なき連鎖
シザの死からわずか数時間後、ギザの砂漠化はさらに加速し、住人たちの精神を完全に崩壊へと導いた。
第一の試練【飢餓の砂時計】は、その名の通り、住人たちの生存の残り時間を告げる砂時計の如く、容疑者たちの理性を削り取っていく。
「もう限界だ! 異種族どもを皆殺しにして、奴らの持つわずかな水源を奪い取るぞ!」
人間の過激派たちが、オリハルコンの猟槍を手に暴動を起こした。
「やってみろ、ひ弱な人間どもが! 俺たちの岩の拳でお前たちの骨を砕いてやる!」
大地族もまた、飢えによる狂乱のままに応戦する。
まさに種族間の全面戦争が始まろうとしたその瞬間、広場の中央、枯れ果てた大樹の根元が突如として大きく爆発した。
激しい砂煙の中から現れたのは、第十一の犠牲者だった。
それは、大地族の若き戦士であり、ガラクの親友でもあったウルズの遺体だった。
しかし、その死に様は凄惨極まりないものだった。彼の頑強な四本の腕は、それぞれ逆方向に「雑巾のように雑にねじ切られて」おり、その開いた口の中には、窒息させるためか、大量の「赤黒い砂」がこれでもかと詰め込まれていた。
「ウルズ! お前まで、お前まで俺を置いていくのか!」
ガラクが狂ったように大声をあげ、周囲の地面を殴りつける。
レオナルドは暴動の渦中に堂々と割り込み、ウルズの遺体に近づいた。
「腕をねじ切るほどの怪力。そして口内に詰め込まれた、鉄分を多く含む赤砂。一見すれば、怪力を持つ別の大地族か、あるいは魔物の仕業に見えるな。」
「そうに決まっている! 大地族同士の配給を巡る内紛だ!」人間の若者が叫ぶ。
「違う! 俺たちがウルズを殺すわけがない! これは天空族が上空から強風で肉体をねじ切ったんだ!」大地族が言い返す。
「いや、どちらも違う」
レオナルドはウルズの口内から一掴みの赤砂を取り出し、それを指で細かくすり潰した。
「この赤砂は、この集落の周囲にあるものではない。
第三のピラミッドの地下、かつて神々が『死のエネルギー』を蓄積していた聖域の奥深くにしか存在しない砂だ。つまり、犯人はこの砂嵐のなか、ピラミッドの地下へ自由に立ち入ることができ、かつ大地族の骨格を破壊する『未知の機構力話を用いたのだ。」
第十一の殺人事件。手口は「物理的破壊と、聖域の砂による窒息」
***繋がらない***
***目的が全く見えてこないのだ***
第十の事件は静かなる毒殺であり、今回の第十一の事件は、あまりにも過剰で、見せつけるかのような暴力的殺戮。
複数の犯人が、この「飢餓の砂時計」という極限状態の中で、それぞれの狂気を個別に開花させている。
「レオナルドもうダメだ。手がかりなんて、どこにもないよ。みんな狂って、みんなが犯人にしか見えないんだ。」
アシャは頭を抱え、砂の上に座り込んだ。
レオナルドは無言で、懐からあの「時空の羅針盤」を取り出した。
驚くべきことに、砂嵐が吹き荒れる暗闇の中で、羅針盤の真鍮の縁が、ほんのわずかに、肉眼では見落とすほどの「かすかな緑色の輝き」を取り戻していた。
「ふふっ、やはりそうか。」
レオナルドの唇が、不敵に吊り上がった。
「アシャ、絶望するのはまだ早い。神々が遺したこの『環境の試練』の本質が、今、ようやく解ってきたぞ。この世界は壊れていくのではない。我々の内なる『答え』を待っているのだ。」
## 第二十話:砂時計の底で、天才が見出した光
「全員、武器を収め、私の言葉を聞くがいい!」
レオナルド・ダ・ヴィンチの声が、吹き荒れる砂嵐と、互いに殺し合おうとしていた数千の住人たちの怒号を完璧に圧した。彼の背後には、灰色のピラミッドと、沈黙するスフィンクスが聳え立っている。
住人たちは、飢えと疲弊のなかで、しぶしぶ異界の探偵へと視線を向けた。
「何を聞くってんだ、レオナルド! もう水も食料もないんだ! 明日にはみんな砂に埋もれて死ぬだけなんだぞ!」
「死にたければ勝手に刃を突き合い、その乾いた血を砂に吸わせるがいい!!」
レオナルドは冷酷に言い放った。
「だが、お前たちが犯している最大の過ちは、この『飢餓の砂時計』という試練を、ただの災害だと思い込んでいる点だ。神々は言ったはずだ、これは『己の中の悪意を克服せぬ限り、二度と楽園は訪れない』という試練なのだと」
レオナルドは一歩前へ出、地面に横たわるシザとウルズの遺体を指し示した。
「第十の事件、シザを殺した劇薬。あれは誰が作った? 神々が去ったことで変質した乳を、最初に発見し、それが毒物であると実験して確かめ、あえて彼女の器に仕込んだ者がいる。
それは、人間の中にいる『配給の平等を憎んでいた者』だ。」
群衆の一人の人間の男が、ガタガタと震え始めた。
「そして第十一の事件、ウルズを殺した赤砂。第三のピラミッドの地下へ入り、神々の遺した『重量制御の罠』を作動させて彼の腕をねじ切り、その口に砂を詰めた者がいる。それは、大地族の中にいる『彼の戦士としての地位を妬んでいた者』だ。」
今度は大地族の若い男が、その場に崩れ落ちた。
「そう、お前たちだ!」レオナルドの指先が、二人の男を正確に捉えて見せた。
「お前たちは、この環境の激変を好機と捉え、『砂漠化のせいで死んだ』『魔物のせいで死んだ』と言い訳ができると考え、長年の個人的な恨みを晴らしたのだ。この極限状態こそが、お前たちの醜い本性を暴き出す『砂時計』だったのだよ!」
二人の犯人は、互いに罪をなすりつけ合おうとしたが、レオナルドが提示した「結晶杯の指紋の痕跡」と「衣服に付着したピラミッド地下の赤砂」という決定的な証拠の前に、ついにその場に平伏し、罪を認めた。
その瞬間、驚くべき奇跡が起きた。
ギザの全域を覆っていた激しい砂嵐が、ピタリと鳴り止んだのだ。
天空からは、神々が去って以来初めて、柔らかな陽の光が差し込み、枯れ果てていた大樹の根元から、ほんのわずかだが「清らかな真水の泉」が湧き出し始めた。
「試練が一つ、クリアされたのか?」アシャが目を見開く。
レオナルドが懐の「時空の羅針盤」を取り出すと、その表面は、先ほどよりも明らかに強い「エメラルドグリーンの輝き」を放ち、失われていた磁針が、元のルネサンスの世界がある「時空の北」をハッキリと指し示していた。
「やはりな。この世界の試練を解き明かし、住人たちの悪意を正すたびに、この羅針盤の力――すなわち、私を元の時代へ帰すためのエネルギーが還ってくるというわけだ。」
住人たちは、湧き出た真水を分け合いながら、初めて自らの犯した「猜疑心」の大罪を悔い、涙を流した。
人間と他種族は、再び手を取り合い、この過酷な砂漠化を生き抜くための協力を誓い合った。
だが、天才探偵ダビンチの表情に安堵の色はなかった。
羅針盤の輝きは戻りつつあるが、未だ全体の「七分の一」に過ぎない。そして、砂嵐が止んだ静寂のなか、ギザの遙か西方の境界線から、地響きのような「悍ましい咆哮」が響き渡ってきたのだ。
「フッ、一難去ってまた一難、か⁇」
レオナルドは羅針盤をポケットに収め、再び外套を翻した。
「どうやら、第一の試練が終わったことで、第二の試練神々の制御を離れた『狂暴なる生命』が、この街を喰らいにやってくるようだ。
アシャ、ガラク、武器を持て。まだ、私は帰るわけにはいかんようだからな」
砂漠化の進む超古代のギザ。レオナルド・ダ・ヴィンチの、命を懸けた次なる謎解きの幕が、静かに上がろうとしていた。
エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 5章
みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?
少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。
励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。
パラレルワールドで今度は、エジプトギザです
よろしくお願いします。




