表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/93

エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 4章

二話目の投稿です。

誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。

途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。

作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。

新作始めます。探偵物です。

世界遺産編エジプトギザのピラミッド4章開幕です

よろしくお願いします

では、参ります!!



## 第十三話:神々の回帰と、見えざる「第六の断頭」

アヌビスの漆黒の巨像が放った暗黒の光は、レオナルド・ダ・ヴィンチの直前で、まるで目に見えぬガラスの壁に衝突したかのように霧散した。

それと同時に、ギザの大地を揺るがしていた不気味な地鳴りが、嘘のように収まり始める。天空のオリオン座の三つ星から放たれていた、世界を滅却するための血の赤色も、徐々に本来の清冽な青白い星光へと戻っていった。

「神々の怒りが、収まり始めている?」

アシャは、自らの身体が光の塵に変わっていないことを確認し、信じられないというように両手を見つめた。あれほど絶対的だった「初期化リセット」のカウントダウンが、なぜか急激に減速し、神々は沈黙を選んだのだ。

「フッ、当然だな」

レオナルドはナイフを懐に収め、冷ややかに笑った。

「神とて、自らが造り出した最高傑作の庭園を、ただのバグ(不具合)のせいで完全に瓦解させるのは忍びないのだろう。あるいは、私の推理によって、彼らの『実験の裏側』を暴かれるのを恐れたか」

しかし、世界の消滅という最大の危機が去ったにもかかわらず、楽園の闇はさらに深く、より陰惨な形でその牙を剥いた。

神々の怒りが引いたその直後、集落の北端にある、神聖な果樹園の貯蔵庫から、第六の絶叫が響き渡ったのである。

被害者は、天空族の青年・ルシオルだった。

彼の死体は、果実を絞るための巨大な石の圧搾機の中に、まるで吸い殻のように放り込まれていた。頭部は粉砕され、彼の誇りであった美しい四枚の羽は、一枚一枚丁寧にむしり取られ、貯蔵庫の壁に「十字の形」にピン留めされていた。

「第六の殺人。神々の怒りが収まったというのに、なぜ!?」

ガラクが四本の腕で壁を叩き、怒りを爆発させる。

レオナルドは圧搾機の周囲を丹念に調べた。

「凄まじい執念だ。そして、これまでとは明らかに異なる『明確な演出』がある。羽を十字に並べるなどという行為は、この世界のどの種族の文化にも存在しない。これは私のいた世界の、宗教的な儀式ミサに酷似している」

事件の手がかりは、やはり何もなかった。

周囲の床は果汁と血が混ざり合って泥濘ぬかるみと化しており、犯人の足跡はおろか、魔物の粘液すら残されていない。

容疑者は、神々のリセット宣告に絶望し、精神を崩壊させたすべての住人たち。目的は繋がらない。最初の強欲、中盤の相互不信、そしてこの第六の事件は、まるで「知性を持つ者が行う純粋な愉悦」としての殺戮のようだった。

「神々の怒りは収まったのではない」

レオナルドは、壁の羽を見つめながら呟いた。

「彼らは、この凄惨な悲劇を、我々に与える『永続的な試練』へと切り替えたのだ。彼らはもう、この庭を手入れすることを諦め、ただの観察者に徹する気だな」




## 第十四話:第七の密室、不可知の針

ルシオルの死によって、住人たちは完全に互いとの接触を断ち切った。

人間は人間だけで生きた木の家に立て籠もり、大地族は頑強な石の洞窟に引きこもり、天空族は巨木の最上階から降りてこなくなった。調和の象徴であった広場には、誰もいなくなった。

しかし、物理的な孤立すら、この「死の連鎖」を止める盾にはならなかった。

第七の殺人事件は、天空族が立て籠もっていた、地上五十メートルの大樹の「絶対密室」の部屋で発生した。

被害者は、天空族の若き巫女・シエラ。彼女の部屋は、内側から風の魔力ヘカによって強固な結界が張られており、天空族の羽を持つ者でさえ、外から侵入することは絶対に不可能な構造になっていた。

だが、朝、彼女が部屋から出てこないことを不審に思った仲間たちが結界を破って突入したとき、シエラはベッドの上で、完璧な「生人形」と化していた。

「外傷はやはり、ないな。だが、喉の奥を見てみろ」

レオナルドはシエラの口を器具で開き、その奥を覗き込んだ。

「極細の、神の金属で作られた『針』が、舌の裏側から脳幹へと正確に突き刺さっている。一瞬の即死だ。彼女は悲鳴を上げることすら許されなかった」

第七の事件。手口は「完全なる密室における、一撃必殺の暗殺」。

手がかりなど、あるはずもなかった。部屋の窓はすべて閉ざされ、床には埃一つ落ちていない。

「どうやって入ったんだよ!」アシャは恐怖のあまり、自分の腕をかきむしった。「風の結界を通り抜け、足跡も残さず、密室のなかでシエラを殺すなんて、そんなこと、神々にしかできない! やっぱり、犯人は神様なんだ!」

「いや、神ではないな」

レオナルドは部屋の天井を見上げた。天井の木目に、ほんのわずかな「樹液の滲み」がある。

「神々が殺すなら、このような回りくどい針など使わん。光の一閃で塵にする。これは、この世界の『物理的な法則の裏』を完璧に熟知した人間の仕業だ。あるいは、他種族の特性を完璧にコピーした何者かだ」

容疑者は依然として一人に絞れない。目的もまた、霧の彼方へ消えていく。強欲、憎悪、愉悦、そして今回は「絶対的な技術の誇示」。

レオナルドは、自身の持つすべての解剖学と建築学の知識を総動員したが、この密室の謎を解く数式だけは、どうしても導き出すことができなかった。この世界そのものが、犯人の味方をしているかのように、証拠を瞬時に隠滅していくのだ。

「まだだまだ、何かが足りない。私の知る自然科学の、さらに外側にある『原初の数式』が、このギザには働いている」

天才探偵の額に、初めて冷たい汗が滲んでいた。




## 第十五話:第八の断末魔、神々の「去り際」

そして、悲劇は最大のクライマックスを迎える。

第八の殺人事件は、最も安全であるはずの、第一のピラミッドの「神聖なる前庭」そのもので発生した。

被害者は、これまでの連続殺人に最も心を痛め、各種族の仲裁に入ろうとしていた、人間の聖職者・メノスだった。

彼の死体は、生命の神オシリスのスフィンクスの、巨大な前足の間に転がっていた。その身体は、まるで内側から破裂したかのように内臓が飛び散り、血の海の中で、彼の両手は「何かを拝むような形」で硬直していた。

「メノス様まで! あんなに優しい人を、なぜ!」

集落の老人たちが泣き崩れる。

その時、天空から、これまでにない巨大な光の柱が三つのピラミッドに向かって降り注いだ。

光の中から姿を現したのは、隼の頭部を持つ神、羊の頭部を持つ神、そしてジャッカルの頭部を持つアヌビス――神々の総体であった。彼らの姿は、かつてのような慈悲深い輝きではなく、冷徹な「裁判官」のそれであった。

「我が子らよ、汝らの大罪は、もはやこの庭の許容を超えた」

神々の声が、ギザの全土に響き渡る。

「汝らの心に芽生えた悪意は、我々が与えた生態系プログラムを完全に破壊した。我々は当初、この地を消去しようとした。しかし、異界の智者レオナルドの言葉を受け、これを『試練』として残すことに決めた」

「試練? どういうことですか、神よ!」アシャが叫ぶ。

「我々は、この地を立ち去る。ピラミッドの光は消え、大密林は、やがて汝らの乾いた心と同じ『砂漠』へと変わるだろう。動物たちは野生に還り、魔物は汝らを喰らう牙となる。この連続殺人の謎を解き、己の中の悪意を克服せぬ限り、汝らに二度と楽園は訪れない」

神々の身体が、徐々に光の粒子へと変わっていく。彼らは、人間たちに「パンドラの箱」を押し付けたまま、その責任をすべて被造物に放り投げて、世界を見捨てることにしたのだ。

「待て! 神々よ!」

レオナルドが叫んだ。

「謎は解けたぞ! なぜ、これほどの連続殺人が起き、容疑者が絞れず、目的が繋がらないのか。その本当の理由が!」

神々の一柱、アヌビスが消えゆく間際、レオナルドに視線を向け、微かにせせら笑ったように見えた。

「智者よ、ならばその答えを、残された哀れな羊たちに語るが良い。だが、汝がそれを語ったところで、この世界の『システム』は止まらない」

眩い閃光と共に、神々は天空のオリオン座の彼方へと去っていった。

それと同時に、ピラミッドの純白の輝きが消え、普通の「灰色の巨石」へと変貌していく。周囲の巨木たちは一斉に葉を落とし始め、瑞々しかった緑のギザの地へ、乾いた風が吹き込み始めた。楽園の終焉、そして砂漠化の始まりであった。




## 第十六話:解けた謎、しかし「帰れない」絶望

神々が去り、薄暗くなったギザの広場で、全住人がレオナルドを取り囲んでいた。

「レオナルド、さっき『謎は解けた』って言ったのは本当か!?」アシャが詰め寄る。

「ああ、本当だとも」

レオナルドは、パピルスの束を地面に放り投げた。そこには、これまでの八つの事件の全データが、一つの「完璧な円」を形作っていた。

「なぜ、これほどの事件が起きながら、手がかりが一切残らないのか。なぜ、容疑者が一人に絞れず、目的もバラバラなのか。その理由は、極めて単純であり、同時に極めて残酷なものだ」

レオナルドは一息つき、全員の顔を見回した。

「犯人は、一人ではない。そして、共犯でもない。このギザにいる【すべての住人】が、それぞれの事件の犯人なのだよ」

「な何だって!?」ガラクが驚愕の声を上げる。

「最初のカイルの死は、結晶を盗もうとしたある人間の犯行だ。しかし、第二のネフティの死は、それに触発された水精族の別の者が、日頃の不満を晴らすために犯した。第三、第四、第五、そして第六、第七、第八。これらはすべて、前の事件の恐怖と混乱に便乗し、あるいは『神々の結界が弱まった隙』を突いて、別々の者が、全く個別の怨恨や欲望のために引き起こした、独立した殺人事件だったのだ」

「じゃあ一本の繋がった動機なんて、最初からなかったのか?」アシャが戦慄する。

「そうだ。完璧すぎる楽園システムに、最初の『大罪バグ』が発生した瞬間、すべての住人の潜在意識にあった『悪意のトビラ』が次々と開いてしまった。人間も他種族も、互いが互いを疑うことで、逆に『自分が殺らなければ殺られる』という防衛本能、あるいは『今なら誰のせいにでもできる』という完全犯罪への誘惑に駆られたのだ。このギザ全体が、一つの巨大な、自給自足の『殺人製造機』と化していたのさ」

全住人が沈黙した。隣に立つ者が、次の事件の犯人であり、自分自身もまた、心の中に刃を隠し持っているという事実に、全員が気づいたからだ。神々が去った真の理由は、この「被造物全体の倫理的崩壊」に呆れ果てたからであった。

「謎は解けた」

レオナルドは、自身の胸ポケットから、転移の瞬間に輝いていた「時空の羅針盤」を取り出した。謎を解けば、元の十五世紀のミラノへ帰れる結界が開くはずだった。

しかし、羅針盤はピクリとも動かない。鈍い灰色のままだ。

「なぜだ? 謎は完璧に解明したはずだ。なぜ、帰れない!?」

レオナルドの顔が、初めて驚愕に歪んだ。

その時、集落の暗闇の奥から、再び、これまで聞いたこともないような「ドロドロとした、肉を引き裂くような不気味な音」が響き渡った。

「う、嘘だろ」アシャが後ずさりする。「神々は去ったんだ。僕たちの悪意の連鎖も、レオナルドに暴かれて終わったはずなのに」

「いや、終わっていない」

レオナルドは羅針盤を握り締め、暗闇を見据えた。

「第九の事件がいや、これまでの『人間の悪意』とは全く毛色の違う、真の絶望が、今、始まったようだ。神々が残していった『試練』とは、これのことか!」

神々が去り、砂漠化が始まった十万年前のギザ。




謎を解いたはずの天才レオナルド・ダ・ヴィンチは、未だこの地に囚われたまま。彼を待つ次なる事件とは、一体何なのか。物語は、さらなる深淵へと続く。


エジプト ギザピラミッド 世界遺産編 4章


みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

パラレルワールドで魔法と多種族の住む下町ローマで起こる事件を魔法とスキルで解決していく物語です。時代背景は読者の描く時代に当てはめてくださいね。

パラレルワールドで今度は、エジプトギザです

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ