## 第七話:『迷い子のからくり時計と、狂った歯車の迷宮』前編
二話目の投稿です。
誤字脱字が多くなると思いますが、よろしくお願いいたします。
途中で、脱線することもあると思いますが、ゆっくりと見守ってください。
作品の内容が前後することが多々あると思いますが、大目に見て頂ければ、うれしく存じます。
新作始めます。探偵物です。
ローマ編 ## 第七話:『迷い子のからくり時計と、狂った歯車の迷宮』
よろしくお願いします短めです
では、参ります!!
## 第七話:『迷い子のからくり時計と、狂った歯車の迷宮』
### 第一部:鳴り止まぬ怪奇の鐘、震える白銀の猫耳
## 第一章:夏の終わりの怪談、時計塔に響く姿なき声
8月の終わり。ローマの夜風は、ほんの少しだけ秋の冷たさを孕み始めていた。
だが、その日の『老いたる跳ね馬亭』の空気は、真夏の熱気とは全く違う、芯から凍りつくような『冷気』に包まれていた。
「――おい、聞いたか、聞いたかよ? 下町の裏山にある、千年前から廃墟になっている旧時計塔のハ•ナ•シ……。最近、真夜中の午前零時になると、誰もいないはずの塔の上から、ゴーン、ゴーンって、不気味な重い鐘の音が響いてくるんだってよ…。」
カウンターの席で、ドワーフの鍛冶屋が声を潜めて語る怪談話に、酒場の常連たちが一斉に身を震わせた。
なんでもよう、その鐘の音と同時に、塔の窓から『青白い炎』が揺らめき、中からは「わ•た•し•の•••ネジ••を•巻•••いて……」と、この世の者ではない少女の声が聞こえてくるらしぞ。
「ひぇ、ひェあぁぁぁ……っ! も、もうやめてくださいドワーフの親方ぁぁ〰︎!」
跳ね馬亭の特等席で、耳を両手でこれでもかと塞ぎ、テーブルの陰に縮こまっていたのはフランチェスカだった。
彼女の自慢の白銀の猫耳は、恐怖のあまり完全に頭の毛の中に埋まるほどペッタンコに伏せられており、細い身体をガタガタと小刻みに震わせている。
「ははは! お嬢さん、そんなに怯えなさんな。お前さんはドレス姿でインクの魔獣を切り刻んだ、勇敢な見習い騎士じゃないかい」と冷たいアイスティーを飲みながら笑うと、フランチェスカは涙目で俺をキッと睨みつけてきた。
「違いますぅ! 生きている化け物やスケルトンなら、私の剣や対魔闘気でリペイント(撃破)できますけど、幽霊とかお化けは、刃がすり抜けちゃうから反則なんです! 物理攻撃が効かないレイアウトは、私の教科書に載っていません!反則ですゥ〜。」
「なるほどねぇ。論理の通じない『姿なき色彩』は、お前さんの真っ直ぐなパレットには刺激が強すぎるわけだ。だがねェ!」
俺が眼鏡のブリッジを押し上げた、まさにその時。
跳ね馬亭の重い木製の扉が、ギィィィ……と不気味な音を立ててゆっくりと開いた。
「ひ、ひぇあああ!で、で、で、 出たぁぁぁ!」
フランチェスカが悲鳴を上げて俺の背中に飛びつき、俺のタキシードの袖をぎゅーっと力任せに引っ張る。だが、そこに立っていたのは幽霊ではなかった。
月光に照らされて入ってきたのは、全身が精巧な真鍮の歯車と、美しい磁器の肌で作られた、身長1メートルほどの小さな**からくり自動人形の少女**だった。
## 第二章:ゼンマイ仕掛けの迷い子、真夜中の狂った歯車
「……わた、し、わたしの、ネジ……だだれか、わたし、の、こここころのネネジを……ままままいて……」
カチャ、カチ、カチ、ガチャと、体内の歯車を不自然に軋ませながら、自動人形の少女は虚ろなガラスの瞳を彷徨わせ、跳ね馬亭の床を危なっかしい足取りで歩いてくた。
その背中には、大きな真鍮製のゼンマイの鍵穴がぽっかりと空いていたが、肝心の『鍵』がどこにも見当たらないのだ。
「あれ、あれ……? お化けじゃなくて、お人形……さん?」
俺の背中から恐る恐る白銀の猫耳をピョコピョコ覗かせたフランチェスカが、その少女の姿を見てホッと胸を撫で下ろした。
「ただの人形じゃないぜ、お嬢さん!!」
俺は立ち上がり、左目を【画家】オンにした。
自動人形の少女の体内を流れる、複雑怪奇な魔導回路の線画。
驚いたことに、彼女の心臓部にあるメインギヤには、あの『闇の調律師』が使う、世界の調和を狂わせる『歪んだ魔力の筆跡』がべっとりと刻み込まれていた。
そして、彼女の記憶のレイアウトは、強力な呪術によって完全にロック(封印)されているるのだ!*****またあいつらかよ*****
「この子の魔力の波長……今、裏山から微かに響いてきた『旧時計塔』の怪奇の鐘の音と、1ミリの狂いもなく完全一致(パースペクティブ補正)していやがるねぇ」
「えっ!? じゃあ、この子がさっき怪談に出てきた……?」
フランチェスカの猫耳が再び恐怖でピンと直立する。
「ああ。どうやら『闇の調律師』の連中は、千年前の時計塔を丸ごと巨大な『呪術の歯車迷宮』へとリペイントし、この子の失われたネジを餌にして、おじさんたちを恐怖のキャンバスへと誘い込もうとしているみたいだね。」
自動人形の少女は、俺の目の前まで来ると、カタリと動きを止め、小さな磁器の手を俺のマスター・ブラシへと伸ばした。
「……と、と、時計塔が……く、くる、狂っちゃう……。せ、世界が、ぎゃ、逆回りに、なっちゃう……お、お、おじさん、たす、、、けて……」
「世界の逆回転(レイアウト崩壊)、か。そいつは芸術家としても見過ごせない、最悪のバグだねぇ」
俺はマスター・ブラシを大きく一閃させ、夜空へ向かって不敵なラインを引いた。
「よし、お嬢さん! お化けが怖くてガタガタ震えている猫耳騎士の手を引いて、真夏の夜の時計塔迷宮へ、恐怖の肝試し(大捜査)に出発しようじゃないかい!」
「ええぇぇぇーっ!? 私、本当にお留守番じゃダメ、ダメですかぁぁぁ!?」
フランチェスカの絶叫が、夏の終わりのローマの夜空に、情けなくも上げ上げのトーンで響き渡るのだった。
***********お化けが大の苦手でパニックになるフランチェスカと、現れた謎のからくり少女。真夏の終わりの怪談話は、世界の時間を狂わせる『時計塔の罠』へと繋がっていく!
### 第二部:狂った歯車の迷宮(新バディ潜入編)
## 第三章:結晶の少年と真鍮の獅子、新しきパレットの輝き
「……ダヴィンチさん、本当にあの猫耳の騎士はお留守番なんですね。お化けが怖いだなんて、僕の計算の範疇を大きく下回る非論理的なバグです」
真夜中、怪奇の鐘の音が不気味に響き渡る裏山の『旧時計塔』の麓。
鬱蒼と茂る茂みの前で、俺の隣に立つ少年が、冷ややかな、しかしどこか涼しげな声を響かせた。
彼の名前はルカ。この夏、ローマの魔導鉱山からおじさんを頼ってやってきた、全身が半透明の魔導水晶で構成された人族――**【結晶族】**の少年だ。
彼の端正な顔立ちや指先は、まるで一流の彫刻家が磨き上げたダイヤモンドのように鋭利で美しい。8月の終わりの月光を浴びて、彼の身体の奥にある結晶の核が、静かに青白い光を明滅させている。
「ははは、ルカ、お嬢さんを責めてやるんじゃないよ。恐怖という絵の具は、時として最強の対魔闘気すらも錆びつかせるからねぇ。それより、お前さんのその『光を屈折させる身体』、この暗闇の迷宮では最高の照明になりそうだぜ?」
「当然です。僕の結晶構造に狂いはありません。それと……その隣の『粗大ゴミ』も、僕の計算の邪魔をしないといいのですが」
ルカが淡い紫色の輝きを放ちながらジト目を向けた先には、おじさんのガラクタがあった。
俺の足元で、ガシャン! と小気味良い金属音を立てて身震いをしたのは、真鍮のプレートと重厚なリベットで組み上げられた、中型犬ほどの大きさの***『からくりライオン人形』***だった。
「ガルルル……カチカチ、ファンファン、プシュー!」
レオは背中の小さな蒸気パイプから白い煙をプシューと景気よく吹き出し、真鍮の顎をガタガタと鳴らして、自分がゴミではないと主張するように俺の膝に頭を擦り付けてきた。
「よしよし、レオ。お前さんはフランスの王様も絶賛した、おじさんの自慢の最高傑作だからねぇ。さあ、ルカ、そしてレオ。からくり少女の失われたネジを取り戻し、この千年の廃墟に隠された『闇の調律師』の歪んだデッサンを暴きに行こうじゃないかい!」
俺が右腕の『マスター・ブラシ』を暗闇に突き出すと、ルカの水晶の指先がシャリシャリと微かな音を立て、彼の身体を透過した月光が、時計塔の重い石扉の鍵穴を一直線に照らし出した。
## 第四章:午前零時の大歯車、逆回転する恐怖のキャンバス
*****ゴーーーーン……。ゴーーーーン……と。
夜空を震わせる、午後零時の重い鐘の音が響いた。
それと同時に、旧時計塔の錆びついた石扉が、ひとりでにギギギ……と音を立てて内側へと開いた。
「ルカ、勝手に 石扉が開いたよ!!!」
「ダビンチさん、大丈夫ですよね???」
一歩中へ足を踏み入れると、そこは外見からは想像もつかないほど、異次元の広さを持った『巨大な歯車の迷宮』と化していた。
壁、床、天井のすべてが、大小無数の青黒い歯車で埋め尽くされ、それらが不気味な摩擦音を立てて、不自然に噛み合いながら回転している。空間全体が、まるでひとつの生き物のように脈動し、8月の終わりだというのに、肌を刺すような禍々しい『怨念の冷気』が立ち込めていた。
「さ、寒いです。それに空気が、歪んでいます。これは物理的な構造ではなく、魔力によって空間のパレットそのものが『逆回転』させられているトーン(兆候)です」
ルカは自身の胸の結晶の核を不気味な『警告の赤』へと変色させながら、鋭い視線で周囲の歯車を観察した。
「ガウッ!」
からくりライオンのレオが低く唸り、前足を床の歯車へ叩きつけた。
その瞬間、床の歯車の隙間から、ドロドロとした影のような『姿なき怨霊の腕』が何本も這い出し、俺たちの足首を掴もうと一斉に伸びてきた。怪談の正体は、時計塔の歴史に囚われた、実体のない魔力の死霊たちだったのだ。
「うひょぉ〜!なんて不気味なトーンの絵の具だい。だが、フランチェスカがここにいなくて、本当に大正解(お留守番)だったねぇ。もしいたら、今頃失神して、おじさんの腰の骨が砕けていたところさね!」
俺は不敵に笑いながら、マスター・ブラシを空間に滑らせた。
「ルカ! お前さんの身体で、この部屋の四方に散らばる死霊の魔力源を、光の全反射で一本の線に集束(パースペクティブ補正)させなさい!」
「了解。――『結晶魔術・プリズム・レイ』!」
ルカが両手を広げると、彼の水晶の身体が眩いばかりの純白の輝きを放った。
時計塔の暗闇を貫くその光は、迷宮の歯車に反射しながら屈折し、死霊たちの影を一点へと鮮やかに炙り出していく!!
「ガルルルル……ガシャガシャガシャァン!」
その光のラインに沿って、からくりライオンのレオが猛然と飛び出した。背中のネジが超高速で回転し、真鍮の爪が死霊の影を次々と引き裂いていく。
「さあ、見えてきたぜ。この狂った歯車の迷宮をコントロールしている、最奥の『大ゼンマイ』のレイアウトがねぇ!」
*****新相棒・結晶族のルカの光の魔術と、からくりライオン・レオの真鍮の爪が、時計塔の不気味な怪奇を次々と切り裂いていく!******
### 第三部:狂った刻印、千年の時を刻む悪魔の歯車(推理激突編)
## 第五章:ガラクタの洗礼、そして姿を現す闇の調律
「――ほら見なさい。僕の計算通り、ただの粗大ゴミだ」
巨大な歯車が不気味に噛み合う時計塔の第3階層。
結晶族の少年・ルカが、自身の身体から放つ青白いプリズムの光で、ゴトリと動きを止めた真鍮の塊を照らし出し、冷ややかな溜息をついた。
「ガルル……ガシャ、プシュープシュー」
さっきまで威勢よく死霊の影を引き裂いていた『からくりライオン人形』だったが、突如、背中の大ゼンマイが『べこん!』と不格好な音を立てて跳ね上がり、そのまま完全に沈黙。口から情けない黒い煙を小さく吹き出すと、ただの重い真鍮の置物と化してしまったのだった。
「ゴミだな!!!」
「いやいやルカ、これはゴミじゃなくて、おじさんの天才的な計算による?『一時的なエネルギーの再充填』さ! ほら、天才の機械っていうのは、ちょっと個性が強すぎてねぇ????」
俺は冷や汗をかきながらマスター・ブラシの柄でレオのケツをペンペンと叩いたが、レオは「チーン」と虚しい金属音を響かせるだけだった。
「非論理的です。そんな個性を戦場で発揮されたら、こちらの命がいくつあっても足りません。……来ますよ、ダヴィンチさん。この迷宮の『色彩』が、一気に黒く染まってきています!」
ルカの言葉通り、塔のさらに上層から、ドロリとした濃密な『黒いインクの魔力』が階段を伝って流れ落ちてきた。
そのインクの波の中から、カッ、カッ、カッと、仕立ての良い靴の音が響き渡る。
「くつくつ……実に見苦しい。レオナルド・ダ・ヴィンチ。貴様がフランス王へ献上したという伝説の自動機械も、今やただの動かぬガラクタか。そんな色褪せたパレットで、我が『闇の調律師』の最高傑作を救おうなどと、片腹痛いわ!」
歯車の影から姿を現したのは、漆黒のタキシードを纏い、顔の左半分を不気味な時計の文字盤の仮面で覆った男――闇の調律師の幹部、*****秒針のクラウス*****だった。彼の背後には、あの跳ね馬亭に迷い込んできた『からくり自動人形の少女』が、まるで操り人形のように虚ろな目で宙に浮かんでいる。
「待たせたねぇ、クラウス。お前さんがこの千年の時計塔をリペイントしてまで、この子の記憶をロック(封印)していた理由――おじさんの【画家】の眼には、もう完全に視えている(デッサンできている)ぜ?」
俺は眼鏡をクイと押し上げ、マスター・ブラシをクラウスに向けて真っ直ぐに突き出した。




