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おくりかえすひと――異世界帰還者を送り返す仕事  作者: 活呑
おくる人、おくられる人

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24/26

第24話 18:53


倉橋が自席に戻ると、上司も席に戻っていた。

見るからに不機嫌だ。

「負けたんですか?」

「そっちじゃねえよ。この送還の件。

 調査班の送還なんて聞いたことねぇ」


「この世界の調査員なら良かったんですがね」

「特例の見直しが必要だな、これは…」

上司は頭をかいていた。


倉橋はちらっと上司を見た。


あの様子だと、負けたな。


PCを立ち上げる。

申請関係は通っているようだ。あとは機材を会議室に設置すれば、準備は完了する。


機材は通い箱で届いていた。

安っぽいスピーカーのような外見だが、これまで着実に仕事をしてきたやつだ。それが、4機。

帰還紋が、うっすら熱を持ち始めていた。これからする事が分かっているように。


自席で機材のチェックをしていると、白木がやってきた。

「彼女は?」

「なんとか落ち着かせたよ。まだ泣いてるが…」

白木は何歳か歳をとって見えた。


「身近な存在が送られるのは……辛いな」

「……どちらにとってもな」

白木は目を丸くした。


「お前にも、そんな感情があるんだな」

「茶化しに来たんなら帰れ」


倉橋は機材のチェックを続ける。

白木はそれを眺めていた。

「彼女の側にいてやれよ」

倉橋は手元から目を離さず言った。

白木はため息をついた。


倉橋は時計を見る。


18:30


「もう、時間ないぞ」


白木は首を振って、戻って行った。


犬が近寄ってきて、倉橋の横に座り直した。


時間が迫っている。


慣れているはずだ。

それでも、慣れきらない。


機材に不備はなさそうだ。

細かい仕組みは知らないし、分からない。

ただ、帰還紋が平常を保っている。


それで十分だ。


犬が立ち上がった。

倉橋も立ち上がる。

「行くか」


倉橋は機材をバッグに詰め、

会議室へと歩きはじめた。


犬が先導する。



会議室には誰もいない。

机、椅子を移動して、部屋の中央にスペースをつくる。

空いたスペースの四隅に、機材を設置する。


あとは送還対象がくれば準備完了だ。


18:53



帰還紋が、強く脈打ち始めていた。





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