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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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9.ルーヴェンシュタイン様と呼べなくなる日

図書塔の石造りの回廊に、午後の鐘の音がやわらかく響いていた

私はその音に背中を押されるように、静かに歩いていた


「……ルーヴェンシュタイン様」


呼びかけた自分の声が、思ったよりも小さくて、胸がきゅっと縮む

ルーヴェンシュタイン様は足を止め、穏やかに振り返られた


「はい、レティシア

いかがなさいましたか」


丁寧で、柔らかい声

その視線を正面から受け止めるのが怖くて、私は床の模様に目を落とした


「この間お貸し頂いた本についてなのですが……」


ルーヴェンシュタイン様が珍しい本を薦めてくれた

時々、私の好みに合う本を貸してくれる

逆に面白そうだと言われ、私が読んでいる本を貸すこともある


「ああ、あの本ですか?返して頂くのはいつでも構いませんよ」


一歩、近づかれた

距離が縮んだだけなのに、心臓が早鐘を打つ


「それと、一つお願いかあるのですが」


「お、おねがい、ですか……?」


顔を上げてルーヴェンシュタイン様を見る

私になんのお願いが?


「ええ。大したことではないのですが」


困ったように微笑まれる

もしかして、知らない内に何か困らせてしまっていたのだろうか


「貴方にルーヴェンシュタイン様と呼ばれるたび、どうにも壁を感じてしまいまして」


壁?

そんなつもりはなかったのに


「わ、私は……失礼のないようにと……」


「もちろん、そのお気遣いは理解しています」


すぐに肯定されて、少しだけ肩の力が抜ける


「ただ、敬意はありがたいのですが、少し堅く感じられて

できれば、もう少しだけ親しみをこめて呼んでいただけたら、と」


親しみ

その言葉が、胸の奥でこだまする


「そう。例えば」


声が低くなり、自然と耳を澄ましてしまう


「アレクシスと」


一瞬、息が止まった

名を呼ぶだなんて、考えたこともなかった


「そ、それは……失礼になりませんか?」


そう言うのが精一杯だった


「いいえ

むしろ、私は……その方が距離が近くなったようで嬉しいです」


何も答えられない

少し沈黙が続いた


「では、少し練習して見ませんか」


柔らかい提案

断れると分かっているはずなのに、断れない


「今この場だけ

もし難しければ、すぐにやめていただいて構いません」


回廊には、私たち二人しかいない

鐘の音も、もう聞こえない

私は小さく息を吸った


「……ア……」


喉が詰まり、声が震える


待ってくださっている

急かされない沈黙が、かえって勇気を迫る


「……アレクシス、さま……」


言ってしまった瞬間、胸が熱くなった


「ありがとうございます、レティシア」


その言葉が、ひどく優しくて、なぜか落ち着かない


「こ、これで……よろしいのでしょうか……?」


「ええ。ですが……」


一歩、近づかれる


「いつか『様』も自然と取れる日を楽しみにしています」


冗談のようで、冗談ではない響き

胸の奥が、静かにざわめいた


私は何も言えないまま、そっと自分の手を握りしめた

この話、前の話と似た様な作りになってしまった気がする。前の話の後ろに、ついでに自分の事もアレクシスと〜って続いた方が良かったかな?でも書いちゃった物は仕方ないよね

似た様な話なので2話投稿します

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