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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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38/42

38.発表という確認作業(側近視点)

婚約発表の日、屋敷の空気は妙に落ち着いていた


慌ただしさはある

準備も多い

だが、誰一人として動揺していない

それが、すべてを物語っていた


「正式に発表なさいますか?」


私がそう告げる、閣下は静かに頷いた


「ええ、時期は十分です」


十分

それは、感情ではなく、“環境が整った”という意味だ


廊下を歩くと、使用人たちが小声で話している


「やはり、あの方でしたね」

「でしょうね……他に考えられません」


驚きはない

確認だけだ

庭園では、レティシア様が控えめに立っていた


淡い色のドレス

少し緊張した表情

だが、彼女の視線は、常に一人を探している

そして、閣下が姿を見せた瞬間、その顔が、はっきりと安堵に変わった

彼女はもう、発表の内容よりも、“彼がそこにいるかどうか”で世界を見ている


発表は、簡潔だった


「アレクシス・フォン・ルーヴェンシュタインは、レティシア・フォン・ヴァルグレイヴとの婚約を正式に発表する」


ざわめき

祝福

形式的な拍手


だが、当の二人は静かだ

閣下は、彼女の立ち位置を半歩調整し、 レティシア様は、何も言われずとも従う

自然

呼吸のように


(……完成している)


誰かが、私の隣で囁いた


「驚きました?」


私は、即座に首を振った


「いいえ」


「最初から、こうなると?」


「ええ」


私は、視線を二人に向けたまま答える


儀が終わり、人が引いていく

最後に残ったのは、二人と、数名の側近だけ

アレクシス様は、レティシア様に声をかける


「疲れましたか」


「……少しだけ」


その答えに、彼は即座に頷く


「では、戻りましょう」


当然のように、レティシア様の手を取る

その瞬間、彼女の肩から、力が抜けた

婚約発表は世間への宣言であり、我々への最終確認だった

すでに囲われていた、という事実の

私は、深く一礼する


これから先、この夫婦に必要なのは、祝福だけだ

それ以外は、すべて


排除対象になる


そう理解しながら、

私は静かに、その場を後にした

これで側近目線の話は終わりです

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