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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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29.抑えきれない言葉

その夜、私は眠れなかった

街角で見た、あの光景


――あの女性は、私より綺麗だった

――私より、堂々としていた

――アレクシス様の世界に、自然に立っていた


(私、何を考えてるの……)


胸の奥に、黒い感情が渦巻いて止まらない


(私は……)


気づけば、私は立ち上がっていた

身体が勝手に動いていた

廊下を歩き、彼の部屋の前に立つ

ノックする手が、震える


(やめた方がいい)

(聞かない方がいい)


そう思っているのに

――今聞かないと、もっと苦しくなる


「……アレクシス様」


返事は、すぐにあった


「どうぞ」


扉を開けると、彼は書類から顔を上げ、私を見た

その視線が、いつも通り穏やかで、それが、逆に胸を締めつける


「どうしました?」


アレクシス様の優しい声が耳に届く


「……今日」


声が、震える


「街で……お見かけしました」


彼の表情は、変わらない


「そうですか、声をかけてくだされば良かったのに」


口から言葉があふれてくる


「……隣に、女性がいました」


言葉を重ねるたび、胸の奥が熱くなる


「とても……親しそうでした」


沈黙


その沈黙が、耐えられなかった


「私は……!」


思わず、声を張り上げる


「私は、アレクシス様にとって、何なんですか」


問いが、宙に投げ出される


「守ると言われて、

 大丈夫だと言われて、

 愛しているとも……言われて……」


視界が、滲む


「それなのに……他の女性と二人で楽しそうに笑っていて……」


声が、掠れる


「私は、信じていいのか、

 疑うべきなのか……

 もう、分からなくなってしまって……!」


一気に吐き出した言葉は、惨めで、幼稚で、みっともなかった


(……最低)


でも、止められなかった


「もし……もし、私がいなくても、

 アレクシス様が困らないなら……」


その先は、言えなかった

彼が、立ち上がる

ゆっくりと、確実に、距離を詰めてくる


逃げたいのに、足が動かない


「レティ」


低い声


「貴女は、嫉妬していますね」


断定

顔が、熱くなる


「……はい」


認めてしまった瞬間、涙が溢れた


「……嫌なんです」


絞り出す


「私以外の人と、

あんなふうに一緒にいるのが……」


子どもみたいだ、独占する権利なんて、ないのに

それでも


「私は……アレクシス様が好き……だと思います」


部屋は、静まり返る


「……ついに言いましたね」


低く、甘い声

その声は、私を包む檻の扉のようで、安心と熱を同時に与える

アレクシス様は近づき、そっと私の手を取る

胸が、じんわりと温かくなる


「ではもう一度、私から聞きます


――私と結婚してくだいますか?」


私は、深呼吸をしてから口を開いた。


「……私、アレクシス様と」


小さな声で繰り返す


「……結婚します」


これが、私の答え

私は、ゆっくりと彼を見上げた


その言葉を口にした瞬間、部屋の空気が変わる

アレクシス様は、一瞬だけ目を細め、それからゆっくりと微笑む


彼の笑みは、愛だけでなく、独占と確信で満ちていた

アレクシス様は私の耳に口を寄せ囁く


「レティ、私の愛は貴方が思っているより重いですから覚悟してくださいね」



部屋にともる灯りはやわらかく揺れ、二人の影がゆっくりと重なる

甘く、穏やかな気配が満ちていき、時間そのものがゆっくりとほどけていくようだった

最初は婚約して欲しいだったのに、結婚して欲しいに言葉を変えたアレクシス様


何となくより強い意志を、感じます


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