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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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26.触れるな(アレクシス視点)

今日は王家主催のお茶会が開かれていた

王家主催ともあり断り切れずしぶしぶレティを伴って参加した

王に挨拶をしなければならず彼女と離れることになってしまう

レティには動かないように言ったのだが戻ってくると彼女は消えていた

苦々しく思いながらレティを探していると、王城の中庭で彼女を見つけた

彼女は小さな卓の前に立ち、ぎこちなく微笑んでいる

向かいに立つ男を見た瞬間、不快感が黒い塊となって心に沈んでいく


エドガー・フォン・リヒトハイム。

新興貴族の野心家

社交界で「扱いやすい令嬢」を探している類の男だ

昔、レティを貶める噂話をしていた一人


(……まだ懲りていなかったか)


私は足を止め、距離を保ったまま様子を見る


「ヴァルグレイヴ嬢

以前の夜会では、ゆっくりお話しできませんでしたね」


甘ったるい声

レティシアは、困ったように視線を彷徨わせたあと、小さく頷いた


「は、はい……」


断れない

それが、彼女の最大の弱点だ


「よろしければ、今度……」


そこまで聞いた時点で、私の中で何かが決定的に冷えた


(――ああ、なるほど)


この男は「まだ私のものではない」と思っている


それが、許せなかった


私は歩き出す

足音を隠す必要はない


「レティシア」


名前を呼ぶだけで、彼女ははっきりと反応した

振り向いた瞬間、その表情がほっと緩むのを、私は見逃さない


(……その顔だ)


他の男に見せるな


「ル、ルーヴェンシュタイン様……」


私は彼女の隣に立ち、自然な動作で距離を詰める

肩が、ほとんど触れ合うほど


「話は終わりましたか?」


穏やかな声

だが、視線はエドガーから一切外さない


「い、いえ、ちょうどこれから――」


「不要です」


即答だった

空気が変わる

エドガーが一瞬、眉をひそめた。


「ルーヴェンシュタイン侯爵。これは私と令嬢の会話で」

「彼女は、私の管理下にあります」


遮る

言葉を選ぶ必要はない


「今後、私を通さない接触は控えていただきたい」


中庭が、静まり返る

レティが息を呑むのが分かった

エドガーは笑顔を作ろうとしたが、目が引きつっている


「……まだ婚約も成立していないはずでは?」


――挑発

愚かな選択だ


「ええ。ですが……」


一歩、踏み込む


「成立しない可能性を、貴方は考えるべきではない」


声音は低く、淡々としている


「それに」


視線を鋭くする


「彼女は、貴方の欲望を満たすための存在ではない」


はっきりと、逃げ場のない言葉


エドガーは何か言い返そうとしたが最終的に、何も言えず一礼した


「……失礼しました」


彼が去ったあと、私は初めてレティをみた

彼女は、明らかに動揺していた


「ア、アレクシス様……私……」


「怖かったですか?」


問いかけると、彼女は小さく頷いた


「……断れなくて……」


「知っています」


だから、私がいる

私は彼女の手首に、そっと触れた

振りほどける強さで


「貴女は、何もしなくていい」


囁く


「声を上げる必要も、判断する必要もない

私が、全部排除します


レティシアの指先が、かすかに震えた

怯えている、あの男か、私の言動か、両方か

それでも、私の手を振りほどかなかった


「婚約の件、考えてくれましたか?」


何も答えない、まだ答えを見つけていないのだろう

でも、彼女の未来はすでに決まっている


「貴女が頷くまで、私は待ちます」


優しく告げながら、

決して逃がす気はないまま


(触れるな)


心の中で、そう繰り返す


彼女に触れていいのは、

価値を知り、責任を負える者だけだ


――つまり、私だけ

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