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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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24/42

24.幸運(アレクシス目線)

レティは、自分が守られていることを「幸運」だと思っている

だが実際は、レティに出会えた、私こそが幸運であり、彼女に出会えた事で、世界の色は変わった

風の匂いも、街のざわめきも、すべてが彼女の存在を中心に回っているかのように感じられる

その笑顔、その仕草、その声、すべてが私の胸に深く刻まれる

そしてこの「幸運」を、誰にも渡したくはないと、誰にも傷つけさせたくない、そう考える


貴族社会の中で戦うには彼女は繊細で優しすぎる

鋭い言葉も、値踏みする視線も、無遠慮な欲望もすべて毒だ

毒から隔離するには、囲うしかない


レティが注目され始めたのは、私が彼女の周囲を整え始めたからだ

安全になった宝石に、群がる者が出るのは自然なこと


「ヴァルグレイヴ家に、縁談が届いています」


側近の報告に、私は書類から目を離さなかった


「三件。いずれも、後ろ盾を欲している家です」


(……今さらか)


「却下」


本当の価値に気づいてない者に会わせる必要などない

レティの耳に入る前に排除しなければ

淡々と書簡を仕分ける私に側近が苦笑する


(レティは、私の管理下にあるのが一番安全に過ごせる)


彼女の顔が脳裏をよぎる

安心したように息を吐き、「大丈夫」と信じきった目で私を見る

あの表情を、他の誰かに向けられるなど、耐えられるはずがない


「次は?」


側近の問いに、私は即答する


「婚約を」


声に迷いはなかった

噂は放っておけば歪む

ならば、こちらから「正解」を提示すればいい


ルーヴェンシュタイン侯爵家の婚約者


それだけで、彼女に向けられる視線の質は変わる

欲望は静観に、軽視が畏怖に


(彼女は、私の名前で守られる)


その夜、レティを呼び出した

書斎に入ってきた彼女は、少し緊張していたが、私の姿を見て、すぐに表情を緩めた


(……この反応)


胸の奥が、静かに満たされる


「何か……ご用でしょうか」


「ええ」


私は彼女の前に座り、逃げ場のない距離を作る


「貴女に、一つ聞いて欲しい話が」


「……はなし?」


首を傾げる仕草が、あまりにも無防備で、思わず声を低くした


「私は貴方を愛しています」


一瞬、時間が止まった


「私と婚約してください」


彼女の瞳が揺れる

驚き、困惑、不安


――そして、かすかな期待


全部、見える


「無理にとは言いません」


そう前置きしながら、

私はすでに、断られない前提で言葉を選んでいた


「ですが、レティを最も安全な場所に置けるのは、私です」


安全

レティが一番欲しがる言葉


「私のそばにいれば、貴女は何も心配しなくてよくなります

……私が、全部引き受けます」


重い沈黙

彼女は俯き、指先を絡める


「……少し、考えさせてください」


そう言った彼女に、私は微笑んだ


「ええ。時間はいくらでもありますから」


――逃げる時間は、ないが


彼女が部屋を出た後、私は一人で息を吐いた


満足と

焦燥と

そして抑えきれない独占欲


(彼女は、もう戻れない)


私の世界を知ってしまった以上、他の誰かの手では安心できないだろう


初めて出会った時から

いや、出会う前から


彼女は、私の人生に組み込まれる運命だったんだ

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