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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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14/42

14.誤算(アレクシス目線)

午後の執務室

差し込む陽光が机上の書類を照らす中、扉が慌ただしく開いた


「失礼いたします」


側近が一礼し、息を整える


「アルベリク・フォン・グリムヴァルトが、ヴァルグレイヴ家へ向かいました」


ペン先が、ぴたりと止まる

この男の動向は、以前から監視していた

きっかけは、レティシアの周囲を探る不審な動きの報告があったからだ

調べさせれば、すぐに名が浮かび上がった


アルベリク・フォン・グリムヴァルト


大方、私がレティシアを気にかけていると察し、逆手に取ろうとしたのだろう

報告書には、こうもあった


あっちが、その気なら婚約してやってもいい

内気で従順だから、強く出れば折れる

家の利益を盾にすれば、何でも従う


などと、ほざいていたらしい

……不愉快極まりない


彼女を、何だと思っている

駒か、飾りか、己の支配欲を満たす道具か


お前ごときが触れていい人ではない


無意識に、机の上の書類が皺になる

傲慢で威圧的な男

レティシアの視界に、一瞬たりとも入れたくはない

本来なら、彼女に近づく前に処理するはずだった

盤面は整えていた

誤算は一つ

向こうの行動が、想定より早かったこと

舌打ちしたい衝動を抑える


「馬車を」


短く命じ、立ち上がる

外套を羽織る動作に迷いはない

側近が何か言いかける

だが、私の気配に圧され、深く頭を下げた


一刻も早く、屋敷へ

彼女を安心させる為に


……だが

馬車に揺られながら、ふと考える

これは、見方を変えれば好機ではないか


侯爵が強引に動いた

ならば、彼女を守る名目で、より強固に囲える


正式な護衛、頻繁な訪問、両家の関係強化


外堀から埋めることも可能だ

彼女は、自分がどれほど価値ある存在か理解していない

無自覚なまま、狙われる

それならば、私の庇護下に置く方が、安全だ

熱を帯びる思考を、ゆっくりと冷やす

焦りは禁物

感情で動けば、侯爵と同類になる


目を閉じる


脳裏に浮かぶのは、怯えながらも背筋を伸ばす彼女の姿


あの男が、どんな視線を向け

どんな言葉を投げたのか

想像するだけで、胸の奥が冷たく軋む


——どうしてやろうか


侯爵家の弱点は把握している


不自然な資金の流れ

敵対する派閥

野心に対し、足場がやや脆い


正面から叩く必要はない

ゆっくりと、確実に逃げ場を削る


そして理解させる

レティシアに手を伸ばすことが、どれほど愚かな選択だったかを


馬車が速度を上げる

逸る気持ちを抑えながら、静かに目を開く


覚悟しておけ



アレクシスは薄く笑った

それは見るものを凍えさせる様な冷たい笑みだった

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