498話 ユナの勤務初日
早朝。
俺を起こす声がする。
「ヤシロさん」
「ん……ジネットか?」
「い、いえ。ユナ、です」
目を開けるとユナがいた。
「おぉ、具合はどうだ?」
「はい、おかげさまで、もうすっかり」
ぐっと両手で拳を握り元気をアピールしてくる。
「ちょっといいか?」
「はい?」
ユナを手招きして座らせる。
こっちはまだ布団の中だからな。
体を起こして、ユナの頬に手を添える。
「ぅぇぇえええっ!?」
「静かに。脈をみる」
「は……はぃ」
ガチガチに緊張して呼吸を止めるユナ。
いや、死ぬぞ。
「はい、吸って~」
「ぇ……は、はい。……すぅ」
「吐いて~」
「はぁ~……」
「吸って~」
「すぅ……」
「面白い顔して~」
「えっ!? こ、こう、ですか!?」
頬っぺたを摘まんでタレ目にするユナ。
ふははっ!
可愛いじゃないか。
「なかなか可愛いな」
「かゎっ!? 可愛いだなんて……とんでもないですっ」
「ジネットに見せてやるといい。きっと喜ぶから」
「喜ばれませんよ!? ……失礼に当たります」
いやいや。
絶対喜ぶから。
「脈は正常。熱もない。血行もよく、貧血も起こしてないな」
「……お分かりに、なられるのですか?」
「そんな畏まんな。同じ店で働く、同じ従業員なんだから」
「ぉ、同じでは、ありませんよ……ヤシロさんと、私なんか――」
「抱きつくぞ?」
「ぅえぇえっ!? ……ぁ、『なんか』」
「あとでマグダとロレッタにチクるので、覚悟しておくように」
「は……はぃ」
しょぼんと耳を寝かせるも、口元は緩んでいるユナ。
案外、イヤじゃないのかも?
「それで、何か用か?」
「い、いえ。ベッドが空きましたので、お呼びしに来ました。……すみませんでした、ヤシロさんのベッドを取ってしまって」
「いや、いい。俺がそうさせたんだから、気にするな」
「ですが……」
「あと、ここは案外寝心地いいんだぞ」
「そうなの、です…………ね」
と、床に転がるウーマロとベッコを見て言う、ユナ。
そうなんだよ。
昨夜、マジで来たんだよ、ウーマロとベッコ。
俺、寝てたのに、ドア叩いて起こしやがって……
腹減ったとか抜かしやがるから、軽いもんを作って食わせてやったんだ。
そしたら、ベッコがシェイカーを見つけて、ウーマロが見たい見たいとガキみたいに駄々こねやがって、しょうがないから二~三杯カクテルを作ってやったら、あっという間に酔っぱらってここで寝ちまったんだよ。
いつの間にそこにあったのか、布団が二人分追加されてたから、それを敷いて適当に放り込んでおいた。
というわけで、俺は実はあんまり寝ていない。
なので眠い。
「ユナも寝てみるか?」
「い、いえ! これ以上ヤシロさんのお布団を奪うわけには!」
「まぁまぁ、いいからいいから」
「え、っとぉ…………で、では」
おずおずと、俺の布団に入るユナ。
もちろん、俺は布団から出る。
……一緒に寝たら、誰に何を言われるか。
「……あったかいです」
「俺が夜中、大切に温めておいたからな」
「ふふ……ヤシロさんは、温かい人なんですね」
「実際の温度を計ってみるか?」
「そ、それは、……無理ですっ」
両腕を広げてみせたら、ユナはこちらに背を向けて布団に包まってしまった。
「うふふ。お布団を取られてしまいましたね」
後ろから声がして、振り返るとジネットがいた。
「もうそんな時間か?」
「いえ、まだいつもより早いと思います。……昨日は、早く寝てしまったので、目が覚めてしまって」
照れ笑いを浮かべるジネット。
表情を見る限り、酒が残っているとか、昨日の失態を悔いているとか、そういう雰囲気はなさそうだ。
「楽しい酒だったようだな」
「はい。とっても美味しくて、楽しいお酒でした」
「三杯で酔っぱらったヤツがそこに転がってるぞ」
「お疲れだったんでしょうね」
自分が許可していない宿泊者が転がっていても、不満ひとつ言わないジネット。
「夜、お見えになったんですか?」
「寝てるところを起こされてな。表を見てきてみろ」
「表ですか?」
陽だまり亭のドアにかけられた『close』の看板を見に行ったジネット。
マグダが追加した手書きの紙を見て、「ふふっ」と笑う。
「ご招待客だったんですね」
「呼んでないけどな」
マグダの気遣いに、頬を緩めるジネット。
俺の方がよっぽど気遣ってたけどな。
「あれ? では、ヤシロさんはそんなにお休みされてないんじゃないですか?」
「まぁ、確かにまだちょっと眠いな」
「もう少し休んでください。まだ早いですから」
「と、言いたいところなんだが――」
ジネットと会話を始めてから、遠慮したのか口を閉じていたユナ。
妙に静かだと思ったら――
「ふふっ。可愛い寝顔ですね」
――寝てやがった。
寝つきいいな、こいつ。
「よほど温かかったんでしょうね」
「あの布団、寝心地いいみたいだぞ。ルシアもネネも瞬殺だったし」
「そういえば、お二人ともお布団に入ってすぐに眠っちゃいましたね」
一昨日のことを思い出して、くすくすと笑うジネット。
マジで寝心地いいからな、ここの布団は。
「では、お部屋で休まれますか?」
「レジーナと同じ部屋で寝ろってのか?」
「あ、そうですね……それは、マズいですね」
そう言って、口を閉じ、何かを思考して、頬がじわ~っと赤く染まっていくジネット。
「もし、おイヤでなければ、わたしの部屋で――」
「いや、マグダが寝てるだろ?」
「あ、そ、そう、ですね」
言いながら髪を触って、どこかほっとした表情を見せる。
そんなガチガチに緊張するような提案、すんじゃねぇよ。
……お前のベッドでなんか、落ち着いて眠れるか。
「ユナさん、大分よくなったようですね」
「あぁ。さっき診たけど、とりあえずは大丈夫だろう」
ノドの腫れは確認していないが、あれだけ普通にしゃべれていれば、おそらく大丈夫だ。
「今日からバリバリ働いてくれるだろうよ」
「ふふ。では、最初は素敵な笑顔を作るために、楽しいことをいっぱいするお仕事ですね」
なんだ、その仕事。
「素敵な笑顔は、本当に楽しいことをたくさん経験すると自然と身に付きます。ユナさんには、四十二区で楽しい経験をたくさんしていただいて、四十二区を好きになってもらわないといけません」
好きな場所で好きなことしてりゃ、人は自然と笑顔になるからな。
「そうです。それこそが、陽だまり亭の笑顔の秘訣なんです」
要するに、働かせるよりも楽しませる方に重点を置きたいと。
けどまぁ、適度に働かせてやらないと、恐縮し過ぎて倒れるぞ、こいつは。
「さっきユナの変顔を見せてもらってな」
「変顔ですか?」
「頬っぺたをつまんでタレ目にしていた」
「ふふっ。可愛かったですか?」
「ジネットに見せてやれって言ったら、失礼に当たるから無理だってよ」
「それは困りましたね。では、最初の業務はその可愛いお顔を見せてもらうことにしましょう」
これは果たして、パワハラなのだろうか。
まぁ、本人も、照れはするけど嫌がりはしないだろう。
あとでうまく引き出す方法を教えておいてやろう。たぶん、もう一回くらいなら同じ手が通用する。
「ジネット。マグダを一回起こしてきてくれ。ユナの手本になってやってくれって言えば、たぶん起きてくるから」
「そうですね。先輩がいると、後輩は仕事がやりやすいですからね」
「ついでにギルベルタが起きてるか確認してきてくれ。今日はルシアたちをさっさと帰さないとな」
「予定外の一泊になってしまいましたからね。分かりました、見てきます」
「あと、誰かに言って、レジーナをベッドに移してやってくれ」
あいつもたぶん、そんなに寝てないだろうから。
「ヤシロさんは、どうされますか?」
「ベッコを退けて二度寝しとく」
細身のくせに筋肉みっちみちのウーマロは重たいけど、ベッコはそこまで筋肉がないので簡単に転がせる。
布団を引っ張って、うまいことウーマロの布団の中に――ナイスオン☆
布団を離して、安全な場所で――おやすみ~☆
「では、もう少ししたらお起こししますね」
そんなジネットの声を耳に、俺は二度寝を決め込んだ。
ちょっと後に――
「なんでベッコがこっちに入ってるッスか!?」
――とか聞こえた気がしたけれど、気にせずに惰眠をむさぼった。
「ヤシロさん、起きてください」
ジネットの声がして、体が静かに揺らされる。
ジネットよ。
その振動は逆に心地よすぎて寝ちまうぞ。
よし、寝よう。
「「「「さーいしょーは、グー!」」」を出す、私は」
「お前ら、なに仕出かす気だ?」
悪ノリ給仕長が勢揃いしていた。
あ、ネネもいた。
参加しろよ、一応。給仕長チームなんだからよ。
「摘まみ損ねましたね」
「オツマミシスターズって呼ぶぞ、お前ら?」
いいから、その摘まみたそうな指使いをやめなさい。
マジックハンドみたいな動きしない!
「可愛い寝顔だったよ、ヤシロ」
体を起こしてみれば、俺の布団を取り囲むように椅子を置いて、エステラやルシアがお茶を飲んでやがった。
寝顔カフェか。
「別料金取らなきゃ」
「残念ながら、契約というのは事前に結ぶもので、後出しで請求された金銭に関しては拒否する権利があるんだよ」
「じゃあ、うっかりおっぱい触っても、笑って許してもらお~っと」
「それとこれとは話が別だよ」
別じゃねぇよ。
無断で人のプリティ寝顔を盗み見やがって。
「ヨダレ垂れてないか?」
「平気だよ。でも、顔を洗っておいでよ」
「お前の腰に巻き付いてるヤツはヨダレ垂らしてるけど?」
「それも平気だよ。……あとで洗濯代請求するから」
払うんだろうなぁ、躊躇いもなく、余裕で。
「ペットは、寝ている時と食べている時が可愛いというのは本当なのだな。ずっと寝ておれば、貴様も多少は可愛く見えるぞ」
「じゃあ、ベルティーナの可愛さを堪能させてやるから、寄付してくれ」
「あのシスターの食事を見ていて心癒されるのは、それが自分の金でない時だけだ」
しかも後払いだと、胃がキリキリするよな。
「ジネット、教会への寄付は?」
「まだです。先に、ルシアさんたちに食事を召し上がっていただこうと思いまして」
準備は出来ているようだが、寄付に行くのはこの後か。
「とりあえず、お顔を洗ってきてください」
「ん」
タオルを手渡してくれるジネット。
見れば、ウーマロとベッコも、もう起きていた。
「おはようッス、ヤシロさん」
「昨日のカクテルは、美味しかったでござるよ」
「なに、飯待ち?」
「然り!」
「朝ご飯をいただいてから、仕事に向かうッス」
まだ開店前なんだが……マグダが特例を出したからな。
ジネットも、にこにこして飯を与えてやることだろう。
「ユナは?」
「先ほど起きられて、今はマグダさんと一緒に仕込みをしていますよ」
仕込み?
マグダと?
タオルを片手に厨房へ入ると――
「……バナナの筋は綺麗に取っておくと、口当たりがよくなる」
「は、はい」
バナナを剥いていた。
何の仕込みだよ?
「何を作る気だ?」
「あっ、ヤシロさん! 一度ならず二度までも、申し訳ありません!」
いや、いいから。
布団くらい好きに使え。
ベッコだったら、処刑してるけど。
「男クサくなかったか?」
「いえっ、とてもいい匂いで、父を思い出し……すみません、忘れてください!」
父親を思い出すような匂いって……加齢臭出てないよな、俺?
不安になること言わないでくれる?
「……ヤシロ。ちゃんと顔を洗ってくれば、ご褒美がもらえる」
と、マグダが胸を張る。
いや、お前だよ。ご褒美がなきゃまともに顔を洗わないのは。
で、材料を見渡すと――ミックスジュースの準備だな。
仕込みって、俺用のミックスジュースかよ。
俺、コーヒーの方が嬉しいんだが……
まぁ、マグダがユナを気遣った結果か。
「じゃあ、味見をしっかりして、美味いやつを頼むぞ」
「……任せて」
「がんばります!」
ユナの最初の料理としては、手頃かもな。
失敗しても、犠牲者は俺だけだし。
「あとで、おにぎりでも教えてやってくれ」
「……握るの?」
「教会のガキどもに食わせてやるといい」
「……ふむ。それはきっと喜ばれる」
ユナも、自分で作った物を美味そうに食ってもらえば、ちょっとは自信が付くだろう。
「お、出汁茶漬けか」
「……ルシアからのリクエスト」
「そう言えば、マーシャは?」
「……今日は仕事があると、さっき帰っていった」
あいつも、付き合いで一泊してったからな。
予定外の宿泊は、業務に影響が出るのだろう。
「もしかして、飯って俺待ちだったか?」
「……店長はそのつもりのようだった」
「んじゃ、さっさと顔洗ってくるか」
「……では、ユナ。いよいよ本番」
「は、はい! 頑張ります!」
材料を手動ミキサーに入れてスタンバイするマグダたち。
んじゃ、ささっと顔を洗ってくるか。
中庭はまだ暗く、手羽先(陽だまり亭のニワトリ)もまだ眠っていた。
こいつ、朝、全然鳴かねぇの。
早朝に鳴く習性、どっかでなくしてきたんだろうな。
中庭から自分の部屋を見上げれば、木板はしっかりと窓枠にはまっており、レジーナはまだ眠っているようだった。
人がいなくなると、ジネットが換気のために窓を開けといてくれるんだよ。
いつ開けに行ってくれてるのかは、分かんないんだけどな。
気付いたら開いてて、夕方には閉まってるんだ。
女将さんみたいだな。
あの人も、いつも俺の部屋の換気をしてくれてたっけ。
……そして、隠しておいた大人の参考書が机に並べられて…………ジネットは、そこまで似ませんように。
厨房に戻ると、誰もいなかった。
そのままフロアに出れば、すっかりと飯の準備が整っていた。
RPGでフラグを立てたあと、街の様相が一変したみたいな変わりようだ。
「さぁ、みなさんで召し上がってください」
「ジネットも一緒にどうだ?」
「そうですね……、では、今日はこちらでいただいていきますね」
ジネットにも席を勧め、領主たちと飯を食う。
「普通にあり得ない空間だな」
「領主と給仕長が、こんな早朝に同じ場所で同じ食事をしてるなんてね」
からからと、機嫌よさそうに笑うエステラ。
「今朝は上機嫌だな」
「昨日のお酒が楽しかったからかな。気分はいいよ。ただ、今日の仕事のことを思うと気が滅入るけどね」
「二人揃って予定外の宿泊をしてしまいましたので、今日は少々気合いを入れないといけませんね」
ナタリアも、朝から給仕長モードだ。
締めるところは締めて、緩めるところは緩める。
最近のナタリアは、そのコントロールが一層うまくなっている。絶妙と呼べる域だ。
まぁ、緩める時に緩め過ぎなんだけどな。
「私とギルベルタも、馬車の中から仕事が始まる予定だ」
「巻き返す、私は、ルシア様のサポートをしながら」
「我々も、二十七区に戻り次第、両隣の区の領主と会談です」
「私も、頑張って巻き返します!」
「いや、ネネは無茶すんな」
「なぜですか、オオバさん!?」
「怪我するぞ?」
「ご心配はありがたいですが、これでも給仕長ですからね!?」
いやぁ~、ネネはムリすると、足とかグネりそうだからなぁ。
ほどほどでいいんじゃない?
トレーシーがサポートしてくれるだろうし。
「私がトレーシー様をサポートするんですぅ!」
まぁ、出来る範囲で頑張れ。
必死なのは伝わってきたから。
「イメルダとノーマはまだ上か?」
「くっついてたよ、ノーマが、イメルダに」
他人の不幸が嬉しくて仕方ないらしい、エステラ。
けっけっけっと、悪魔のように微笑む。
「ユナとマグダも食っとけよ」
「……うぃ」
「あ、あの、いいんでしょうか? 先生たちより先に……」
「お前は教会でおにぎり係なんだ。食ってる暇なんかないから、食えるうちに食っとけ」
「……ユナ。これが、効率というもの」
「な、なるほど。分かりました。いただきます」
納得し、マグダの隣、ジネットの向かいに座るユナ。
「うむ。相変わらずジネぷーの料理は美味いな」
「ありがとうございます、ルシアさん」
「これ、鯛? すごく美味しいね」
「マーシャさんが置いていってくださったんですよ」
「エステラ様の笑顔を見ながら掻き込むご飯の、なんと美味しいことでしょう」
領主たちに美味いと言われ、嬉しそうなジネット。
トレーシーの時だけは笑顔を向けてなかったけども。
あれは、エステラに向けた言葉だったからな。
……末期め。
「ユナ、どうだ?」
「すごく美味しいです! もう、なんと言えばいいか……感動で、言葉もありません」
なんか、ちょっと瞳を潤ませているユナ。
そこまで美味いか。
「じゃあ、ジネットに感想を言ってやれ」
「はい。お姉さん、すごく美味しいです。この料理のおかげで、今日一日が素晴らしいものになると、確信できるほどです」
「ありがとうございます。おかわりもありますから、たくさん食べて、今日一日がんばってくださいね」
「はい!」
美味そうに食うユナを、ジネットが嬉しそうに見ている。
「美味そうに食うとこ、ジネットに見せてやってくれ。喜ぶから」
「こんなことでよければ、是非見てください」
ちょっと照れながらも、快諾するユナ。
……で、ここで。
「サービスで、変な顔も見せてやってくれ。喜ぶから」
「こんなことでよければ――」
と、両頬を摘まんでタレ目にして、はっとこちらを向く。
「喜びませんってば、こんなのでは!」
「いやいや、見てみろよ」
ジネットを指さしてやれば、ユナはジネットの方へと視線を向ける。
めっちゃ爆笑しているジネット。
面白かったんじゃなくて、可愛かったんだな。可愛過ぎたんだな。
「ユナさんのそういうところ、わたしは大好きですよ」
「へ、変な顔が、でしょうか?」
見当違いなユナの言葉に、その場にいた者がみんな笑った。
話題の渦中で戸惑いの表情を見せるユナ。
うんうん。
確実に、今の主役はお前だぞ、ユナ。
さすが役者志望。
将来主演を張ることだって出来る器だな。
「ではコメツキ様」
「大変名残惜しいですが」
「失礼する、私たちは」
「そんな、全員で変顔しなくていいから」
変顔と言いつつも絶妙に可愛く見えるラインを分かっているあたり、さすが給仕長。
女子力まで高い。
「ネネも、変顔しなくていいから」
「してませんよ!? ひどいです!」
「いや、冗談冗談!」
よくあるヤツじゃん!?
変顔、変顔、変顔ってきたら、普通の顔してるヤツに「変顔すんな」「してないわ!」って!
そんなマジヘコみしないで!
可愛い! ネネ、可愛いから!
「……分かった。今日はネネだけ髪やってやるから、ちょっと時間くれ」
「ネネ2です」
「ネネ3です」
「ネネ5、私は」
「全員で分かりやすい嘘を吐くな。で、ギルベルタはなんで一個飛ばした?」
『4』が縁起悪いとか、ホテル業界くらいしか気にしないだろうに。
じゃあ、ほら、食いながらでいいから、頭貸せ。
ちょっと触るぞ~。
「は~い、ネネは可愛い~、ちょ~かわい~」
「あ、あの、そんな気を遣っていただかなくても……逆に、なんだか、恥ずかしいですっ!」
「わぁ、かわいい~、か~わ~い~い~」
「やめてくださいってば!」
「と言いながらも、髪はやってもらうんですね、ネネさん」
「いいですねぇ、ピュアさが顔にまで出ている人は、甘え上手で」
「羨ましい思う、私は」
いや、一番ピュアを武器に甘え上手なのはお前だから、ギルベルタ。
「ヤシロさんって、なんでも出来るんですね」
ユナが箸を持ったまま俺の手つきを見つめている。
そうか、昨日は寝てたから見てないのか。
「ユナもやってやろうか?」
「い、いえ! わたしなんて!」
「マグダ、GO!」
「……存分に」
「ほにゃぁあああ!?」
こらこら、マグダ。
抱きついてもいいとは言ったが、わき腹さわさわはやめてやれ。
俺もそれ苦手だから、気持ちはよく分かるぞ、ユナ。
「あ、そうだ。今朝も一回言ってたな。俺しかいなかったから保留にしたけど……誰か代わりにやる?」
「「「では」」と、立候補する私は」
「あの、あの、あのっ!? ぅにゃぁああ!?」
手で制止しようが、そんなもので給仕長は止まらない。
食事中に席を立つのは行儀が悪いが、まぁ、今回最後の戯れだと思えば、な。
「じゃ、これで今日からまた仕事に戻れるな」
「「「全力で頑張ります」」と誓う、私は」
給仕長のやる気が漲っている。
すげぇな、ユナ効果。
「ユナ。ヤシロの傍若無人に耐えられなくなったら、ボクに言いに来るんだよ? しっかりと仕返しをしてあげるから」
「そういうことなら、私も協力してやろう。あやつこそが痛い目を見るべきなのだ、アクラツイワシめ」
「私はいつでもエステラ様の味方です☆」
うるせぇよ、トレーシー以外の領主。
トレーシーは、もう、うん、好きにしとけよ。
「ジネぷーの料理も、マグマグの可愛さも名残惜しいが、そろそろ帰らねばならぬ時間だ」
「あぁ……このまま連れ去ってしまいたい」
「トレーシーさん、帰る準備をしてくださいね」
「また近いうちにカクテルを飲みに来るのでしっかりもてなすのだぞ、カタクチイワシ」
「はい、必ず来ます! すぐに!」
「トレーシーさん、カクテルの要求はヤシロに言ってくださいね」
「何人かバーテンダー候補を見繕っておくので、また教えに来るがよい」
「いつでも遊びに来てくださいね、エステラ様! そして一緒のベッドで眠りましょう!」
「完全に別の話をしてますよ、トレーシーさん!」
エステラから、ちょっとキツめの制裁を受け、嬉しそうに見悶えるトレーシー。
そのくねくねでサラシ破れろ! はじけろ! はち切れろ!
…………ちっ。
「ほい、ネネ。出来たぞ。トイレに鏡があるから見て来い。ついでにルシアに『寝言は寝て言え』って言っといてくれ」
「それは出来かねますよ!? とりあえず……鏡を拝見してきます」
古くは、ウェンディの工房の光る粉でロレッタの額に『肉』と書いた時に、ロレッタが見に行ったトイレの鏡。
一応映るが、映りはイマイチ。
ヴァルターに酒を飲ませて、いい鏡を譲ってもらうか。
ちなみに、側面の壁に取り付けてあるので、座っている時に自分の顔が見えるなんてことはない。
……昔行った居酒屋で、トイレの個室のドアに全身鏡が貼ってあって、洋式だったから目の前が鏡で座ってる自分の姿が映し出されててさぁ、落ち着かないのなんの……どういう趣味してたら、あんな位置に鏡貼ろうなんて思うんだろうな?
「あ、そうだ、エステラ」
「なに?」
「ヴァルターに、『カクテルグラス作って持ってこい』って手紙出しといて」
「出来るわけないだろう、一度会っただけの領主相手に、そんな図々しいこと!?」
「変わった酒を飲ませてやるからって。それがあると一層酒が楽しくなるぞ、ってよ」
「うぅ……確かに、そう添えれば一考くらいはしてくれるかもしれないけど……」
「貴様が書いた方が、話が通りやすいであろう。貴様が書いて、エステラが出せばよい」
「結局、ボクの名前で出すんですよね?」
「一応、領主宛だからな。差出人はカタクチイワシで、封蝋にクレアモナ家の印を捺しておけばよかろう」
「それじゃまるで、ヤシロがウチの家の者みたいじゃないですか!?」
「似たようなものであろう?」
「全然違います! ……もぅ!」
顔を真っ赤に染めて、なんでか俺を睨むエステラ。
ルシアを睨んどけよ、しょーもないことしか言わないあの口を。
嬉しそうな顔しやがって、ルシアめ。
「『朝食の席で、昨日一昨日とウチに泊まったルシアにアドバイスされて、俺の名前で手紙を書くね』って出だしに書いておいてやろっと」
「外聞が悪いどころか、木っ端微塵に吹き飛ぶではないか、たわけ!」
「でも嘘ではないですよね?」
「やかっ、やかましいぞ、エステラ! えぇい、にやにやと! ジネぷーのお家に泊まったのだ、私は!」
やり返せてご満悦のエステラ。
どっちにせよ、俺で遊ぶなっつーの。
「なんというか……すごいですね、ヤシロさんは」
あのな、ユナ。
俺じゃなくて、権力者なのにその自覚の薄い領主たちがおかしいんだよ。
「ユナが恐縮するなら、今日も編み込みフェアやるか?」
「いいですね。ふふ、昨日はすごかったんですよ。大工のみなさんが……ね、マグダさん」
「……可愛い可愛いの大安売り。おそらく、去年一年分の可愛いと同量の可愛いを昨日一日で獲得した」
「そんなお祭り騒ぎになってたのかよ……」
「普段お見えにならない方まで来てくださって」
「それじゃあ、大変だっただろう?」
「……そこへ颯爽と現れたルピナス」
うわぁ……
「……カンパニュラを見てデレデレしていた大工が数名……これ以上は、マグダの口からは……」
何したの、ルピナス!?
店内での流血沙汰だけはやめてね!?
不衛生だから!
ん?
大工の安否?
そんなもんは知らん!
「じゃあ、どうする?」
今日は俺も店にいるつもりだし、……繁盛し過ぎるのはメンドウクサイな。
「もし、やっていただけるのであれば、是非。毎日だとヤシロさんが大変なのでやりませんが、ユナさんは昨日参加できませんでしたので、今日だけは……ね?」
だから、その一文字にいろいろな感情詰め込んで、回避不可・防御不可の攻撃してくるのやめてくれる?
やるけども。
「じゃあ、ユナ。陽だまり亭デビューは、華やかに飾ろうか」
「デビュー……っ」
「フロアは舞台、お前たちは女優だ!」
「女優……わたっ、私たちが、ですか?」
「……そう。ウェイトレスは、フロアを彩る花。観客に見られ、観客を笑顔に、そして幸せにすることが使命」
「そうですね。みなさんが可愛いと、お客さんたちはきっと喜んでくださいますよ」
「そう……、なのですか……」
目をまん丸く開いて、拳を握る。
小さく頷いて、真ん丸な目に決意が宿る。
「あの、ヤシロさん! お手数だとは思いますが、是非、お願いします!」
「よし、んじゃこっち来い」
「はい! よろしくお願いします!」
そういや、こうやって髪とかやってもらうって、女優みたいだよな。
舞台だと、自分でやるってとこも多いかもしれないけれど。
……いや、この街の貴族的な舞台なら、きっと下働きとか、メイクの専門家が担当してるだろう。
「気分は、控室の女優だな」
「な、なんだか、緊張します」
「コメツキ様。我々はもう帰らなければいけない時間ですので」
「おう、気を付けて帰れよ」
「なるべく手早く仕上げてくださいね」
「最後まで見て帰ろうとしてんじゃねぇよ。帰れよ、もう」
「走れば間に合います」
なに、そのダメな新人社会人みたいな発想。
余裕を持って帰れよ……まったく。
「急ごうとも、一緒です。もうすでに一泊分遅れているのですから」
「さすがデボラさん、いい着眼点です。もうこの後の十分ニ十分など、誤差ですね、誤差」
「ふふふにゅ、初めてイネスさんに先んじられた気がします」
ダメな方向に先んじてどうする。
真っ当な道に戻ってくれよ? ……もう無理かもしれないけれども。
それから、ルシアたちを送り出して、教会への寄付へ向かった。
「エステラがしつこかったな」
「うふふ。お仕事いやいや病でしたね」
「なにその病気? おっかねぇ」
「エステラさんは、たまに陽だまり亭に来て、テーブルで『いやいや』ってされているんですよ」
「あぁ、ゴマちゃんな」
「……ゴマスライム」
「え、なにその魔物? 香ばしそう」
ゴマアザラシのつもりで言ってたんだが?
なんでそんなキョトンとした顔してんの、マグダ?
え、俺がゴマスライムのこと言ってると思ってた?
そんなメジャーじゃないからな、その巣鴨辺りで人気のお土産みたいな魔獣。
巣鴨はゴマじゃなくて塩か。
塩大福が名物なんだっけな。
さすがに巣鴨はほとんど行ってないから知識が乏しいぜ。
……年寄りを騙す詐欺師は三流以下の外道っつーんだよ。
そこまで落ちぶれちゃねぇっつの。
こちとら超一流でい。
「ユナは、あぁいうゴマちゃんみたいな見下げ果てた大人になるなよ」
「え、えっと……領主様、ですよね?」
「領主だが、その前にエステラだからな」
「そうですね。エステラさんは、領主だからと偉ぶらず、わたしたちともとても仲良くしてくれる優しい人なんですよ」
おかしい。
同意の言葉から始まったジネットのセリフの着地点が俺と全然違う。
「まぁ、エステラを見ていれば、そのうち、領主に対する敬いの心なんか粉微塵になるだろう」
「そ、そんなことないですよ!?」
「木っ端微塵だ」
「えっと、みなさん、そうなのですか?」
「領主だ貴族だと距離を取るよりも、一緒になって楽しい時間を共有するのが好きな人なんです」
「えっと…………これは、どう解釈すれば……」
「……平気。そのうち慣れる」
「は、はぁ……」
マグダの言葉を飲み込めないまま、あいまいに頷くユナ。
けどまぁ、半年も四十二区にいれば、エステラのナイチチいじりとかし始めるだろう。
「先生を残してきてしまって、大丈夫だったのでしょうか?」
歩きながら、陽だまり亭の方を振り返るユナ。
「お食事もされていませんし……」
「レジーナは一人に慣れてるから大丈夫だ」
あいつなら、起きて一人だと分かるとむしろ喜ぶ可能性すらある。
「まぁ、一応手紙を置いてきたから、そう心配すんな」
「……マグダが置いてきた。非常にユニークな手紙だった」
嬉しそうにマグダが尻尾を伸ばす。
マグダ好みの内容だったか。
「どんなお手紙を置いてきたんですか?」
ジネットに尋ねられたので、書いた文面をそのまま伝える。
「『ユナは預かった、返してほしくば教会までおにぎりを握りに来い』」
「脅迫状ですか!?」
「ついでにユナを診察した結果を書いておいた」
あいつが、今一番気になるのはそこだろうからな。
「もし教会にレジーナが現れなかったら、『私のこと、心配じゃなかったんですね!』ってレジーナを責めてやれ」
「い、いえ、そんな! 危険な相手かもしれませんし、誘いに乗らないのは賢明な判断です。先生を責めることは出来ません」
「誰が危険な相手だ」
「いえ、そのような意味で言ったのでは!?」
「まぁ、のこのこやって来たら、ベルティーナが満足するまでおにぎりを握らせてやるけどな」
「……それは、腕がもげる」
「わたしでも、ちょっと大変かもしれませんね」
「えっ、えっ!? 何か、大変なことが待っているんですか!? あのっ、先生は本当に大丈夫なんでしょうか!?」
「大丈夫ですよ。ほんのちょっと、食いしん坊なシスターがいるだけです」
「「ほんのちょっと?」」
「もう、ひどいですよ、ヤシロさんもマグダさんも」
いや、だって、なぁ?
あれでほんのちょっととか。……なぁ?
で、教会へ着いたら――
「「「「…………だれ?」」」」
「人見知りしてんじゃねぇよ、一丁前に」
ガキどもがベルティーナの背後に隠れてこちらを窺っている。
隠れ切れてねぇよ。
ほとんど丸見えだからな、ガキども。
「今日から、陽だまり亭でお手伝いをしてくれることになった、ユナさんです」
「ユ、ユナです! ご迷惑をおかけするかもしれませんが、行き届かないところがあったらご指摘ください! よろしくお願いします!」
「「「いーーよぉーーーー!」」」
「えっ、ちょっ、あのっ!?」
「「「「あそぼー!」」」」
「い、いえ、私はお手伝いが――」
「じゃあ、ユナとマグダはガキども係な」
「……任せて。ユナ、こちらに来て。遊具の使い方と注意点を教える」
「あの、先輩? お料理の手伝いは?」
「……あの二人の邪魔にならないように、子供たちの相手をするのも立派な仕事」
「そ、そうなんですね!? 分かりました! ご指導よろしくお願いします!」
「……では、まずこのグローブジャングルに乗って」
「こ、こう、ですか?」
「……しっかり掴まって」
「は、はい! ……それで、この後どうすれば?」
「……耐えて」
「へ?」
「……では、みんな――最高速度で」
「「「「「うははははーい!」」」」」
「きゃぁああー!? ちょっ、速っ!? 速いです! 怖いですぅぅーー!」
実に賑やかだ。
そして、あっという間にガキどもに懐かれたな。
すげぇな『陽だまり亭関係者』って肩書き。
ガキどもの警戒心が一瞬でなくなったぞ。
「じゃあ、こっちは飯の準備をするか」
「はい」
「お手伝いしますね」
「「つまみ食いしかしない人は立ち入り禁止」です」
「はぅっ!? ひどいですよ、ヤシロさんもジネットも!」
お前がいると、食卓に並ぶ前に料理がなくなるんだよ。
「……おや?」
半泣きだったベルティーナが、視線を門へと向ける。
そちらを見ると――
「なにやらしとんねんな、病み上がりの娘ぉに?」
高速回転するグローブジャングルを見つめ、頬を引きつらせるレジーナ。
レジーナがのこのこやって来た!?
「レジーナがのこのこやって来た!?」
「なんやねん、のこのこって」
懐から、俺の書いた置き手紙を取り出し、内容を俺に見せる。
「喉、診てへんやんか。扁桃腺の腫れがあったら、発熱に繋がる可能性もあるんやで?」
「大丈夫だよ、お前の薬も飲んだんだし」
「薬かて万能やあらへん。ちゃんと経過を見て、適切に判断せな、最適な治療は出来へんねんからな」
言って、グローブジャングルに近付きかけて……
「アカン、あそこに入ったら巻き込まれてまう……」
危険センサーがアラームを鳴らしたようだ。
ちょっと過保護になっていたようだが、ガキどもの全力を見て怖気付いたらしい。
あいつら、空気読まねぇし、容赦ないからなぁ。
相手がレジーナでもマーシャでもお構いなしに突撃していくし。
「……どないしよう?」
レジーナが途方に暮れた時、非常に心強い助っ人が現れた。
「おはよ~、ヤシロ、店長、シスターとレジーナも!」
「おはようございます、皆様。素敵な朝ですね」
「ぉあよー! ごじゃましゅ!」
デリアと、カンパニュラ&テレサだ。
昨日はみんなで一緒に風呂に入って、テレサはそのままお泊まりしたんだよな。
「なぁ、ヤシロ! 今日はあたいも陽だまり亭手伝っていいか?」
「そりゃ構わんが……仕事はいいのか?」
「うん、いい!」
「……うふふ」
ガッツポーズをするデリアを見て、カンパニュラが小さく笑う。
何か理由があるな、と話を聞いてみると――
「デリア姉様は、昨日の私やテレサさんが羨ましかったようです」
「髪の編み込みか? 昨日してやったろうに」
「その姿で陽だまり亭で働いたことが羨ましかったようですよ。もっと多くの方に見ていただきたいと」
へぇ、デリアがそんなことを考えるようになるとはねぇ。
「それで、手伝いに来たら、今日も編み込みしてもらえるんじゃないかと?」
「はい。編み込みフェアは昨日だったので、今日は分かりませんよとお伝えしたんですが……今日も編み込みフェアのようですね」
マグダとジネットの髪を見て、カンパニュラがそっと微笑む。
デリアの喜ぶ顔でも想像したのだろう。
「フェアじゃなくても、デリアが言えばやってやるのに」
「デリア姉様は特別――ということですか?」
何か、意味ありげなキラキラした瞳を向けてくる。
……恋バナにハマるのはもっと大人になってからにしろ。
「俺は、案外優しい男なんだぞ?」
「存じ上げておりますよ」
そう言って、口元に手を添え、内緒話のポーズを取る。
耳を近付ければ――
「ユナ姉様は、昨日編み込みが出来ませんでしたから、きっと喜ばれると思います」
と、すべてを見通した発言をする。
……この子、将来、大化けするな。
「ユナ姉様は?」
「あそこだ」
「え? ぇぇええええ!?」
グローブジャングルでぐるんぐるん回されているユナを見て、カンパニュラが悲鳴を上げる。
「デ、デリア姉様! すぐに助けてあげてください!」
「ん? あぁ、分かった! おーいお前ら~! 止めてやれってよ~!」
デリアが向かい、ガキたちがデリアに群がる。
いつも全力で遊んでくれる、デリアお姉ちゃんは大人気なんだ。
「や、ヤーくん、病み上がりの姉様に無茶をさせてはいけませんよ?」
「こんなちっちゃい子ぉにまで言われとんで、自分。反省しぃ」
なんで俺なんだよ?
分かったよ。
じゃあ、今日はユナを目一杯喜ばせてやるよ。
「ユナに悪いことしちまったから、あとでお詫びをしないとなぁ~」
「では、わたしも。止めずに傍観してしまいましたので、いっぱいお詫びしますね」
「自分……人を喜ばせるのに、どんだけ回りくどいことしとんねん。もうえぇやん、お人好しの甘ちゃんで」
バカ、レジーナ。
俺がお人好しなわけないだろうが。
ただ、こういう小さな恨みが巡り巡って数十年後に大きな恨みになる可能性は否めない。
未来の不安の種は、早めに摘んでおくに限る。
そういうことなんだよ、これは。
な、ジネット?
「はい。そうですね」
ほら、みろ。
あとがき
ご~るでんうぃぃ~~っく!
ですね☆
みなさま、休んでますか?
遊んでますか?
うちの会社はね、祝日とか、関係ないんですよ☆
……(# ゜Д゜)、ぺっ!
というわけで、GWになりました
土日祝は、皆様予定があってお忙しいようで
ウチのPVがガクッと落ちる日なんですよ
ですので、
今回のあとがきはテキト~なこと書いてもきっとバレない☆
私実は、16歳の美少女なんです~☆
(≧▽≦)/ ほら、誰も突っ込まない☆
……あ、リアルタイムで読まないだけで、暇が出来たら読んでくださるんですね
すみません、今テキト~なこと言いました
m(_ _)mペコリ
GW!
というか、4月~5月にかけてって、
ラノベで学園物を書く時に鬼門になる季節なんですよ
というのもね、
まぁ、多くの主人公は入学してからヒロインと出会うわけで、
そして友人なんかも新しく出来るんですよ
キャラ紹介をしつつ、ちょっとした事件があって、
ヒロインと急接近――辺りで2~3週間経っちゃって
「GW忘れてるよ」
って、何度指摘されたことか!
早いのよ! 連休!
入学してすぐ連休とか、どーゆーこと!?
っていうことが何度かあり
さすがに「この作品はそういう設定です( ̄▽ ̄)」って言い逃れも出来ずに
ストーリーの変更を余儀なくされ……何度泣きながら書き直したことか……
……なのに落選するとかね!
あぁ、投稿作の話です
昔は頑張ってたんです
私が新人賞に応募していた頃って、
学園物がすごい人気で、異世界ものは古いって言われたんですよ
私が子供のころ
主人公が異世界に飛ばされて冒険して戻ってくるっていうお話がいくつもあって、
そのブームが終わって学園物や胃能力バトルものが流行って――
胃能力!?Σ(゜Д゜;)
大食いですか!?
斬新!?
実際、評価シートで「異世界転移ものは古いです」って書かれたことありますからね
まさか、数年後、それが主流になるなんて誰も思っていない時代でした
ちょうど、今、
学園もので、ツンデレヒロインで、変なクラスメイトと珍妙な組織が出てきて
「俺はパンツが見たいんだぁぁあー!」みたいなノリのラノベを見かけたら
「古っ!?」って思うような、そんな感じですかね?
……ということは、そういうのが十年後にまた主流に?
(・_・;
やばい、時代に取り残されないように
今のうちからパンツの勉強しておかなきゃ!
異世界はいいですね~
GWがありませんから☆
連休?
そんなもんは理由を付けて自分で作ればいいのです!
祝日? 暦?
そんなものは気にしなくていいのです!
法律も公共マナーもセクシャルハラスメントもどんとこい!
異世界には、日本国憲法はないのです!
ビバ、異世界!
ビバ、ファンタジー!
ビバ、ホーム!
Σ(゜Д゜;)ビバホーム!?
Σ(゜Д゜;)大型ホームセンター!?
何より!
勤労感謝の日に出勤して「勤労に感謝しろよ!」ってヤサグレながら
勤労感謝の日イベントとか書かなくていいですからね☆
……勤労感謝の日イベントってなんだ!?
Σ(゜Д゜;)
クリスマスやバレンタインはいくらでもありますが
勤労感謝の日やみどりの日、建国記念の日のイベントってラノベであんまり出てきませんよね?
ヒロイン「あたし、勤労感謝の日だけは毎年大切にしてるの。だって、社会人が勤労してくれているからこの国は回っているのよ? 未成年であるあたしたちも、その勤労精神に敬意を払うべきだわ!」
主人公「やれやれ」
これですね!
十年後の主流派は!
(≧▽≦)/
おっといけない、
一部修正しなきゃ――
主人公「やれやれ。それより、パンツが見たいぜ☆」
( ̄▽ ̄)これでよし!
今のコンプライアンスの反動で
昭和以上におおらかになったりしませんかね?
世間の女子「今どきの女子高生がパンツも見せてないなんて、令和かよ!(笑)」
みたいな世界が来る可能性も、あるんでしょうか……わくわく、もとい、どきどき
でもバブル期って、ハイレグとかが流行って
明治大正の、袖付き水着とかの写真を見て「ダサ~い! こんなの着れな~い」みたいな感じだったじゃないですか
……なくはないぞ、これ(・`ω´・ )
頑張って、長生きしたいと思います☆
そんな感じでGWの思い出はそんなになく……あ、去年教習所に通ってましたね
(*´ω`*)
今年はカズレーザーさんが通っているようで、
妙にシンパシー
大人になってからでも、免許は取れる!
そんな話を書こうかなぁ……
異世界免許教習所
……いや、乗り物がもれなく魔獣になりそうですね
では、学園異能教習所
教官ヒロイン「別に、あんたのために運転教えるんじゃないんだからね!」
主人公「いや、俺のために運転教えてくれよ!?」
何かが違う!?Σ(゜Д゜;)
あ、待ってください
異世界に転生か転移して、しかも主人公がパンツやおっぱいに興味津々だった場合、
時代の切り替わりをスムーズに乗り越えていけそうじゃないですか!?
ほら、どっちの要素も持っているってことで
どっちの読者層も取り込めるという……おぉ、いいアイデア!
では、そういう話を書きましょ――
今まさに書いてる!?
Σ(゜Д゜;)異世界詐欺師だ!?
というわけで、本編では
ヤシロが起きてから、朝ご飯までをお送りいたしました☆
時間の経過が遅ぉーい!
(/ ̄□ ̄)/⌒⊥⊥
まぁ、そこは相変わらずということで(^^;
あれ?
もしかして、今学園もの書いても、GWにたどり着くまでに単行本4冊くらい消費しちゃうんじゃね?
今なら面白い学園ものが書けるかも!?
( ̄▽ ̄)来たか、時代!?
……いや、4月にそんなイベントないですね
思いとどまりましょう
ちなみに、今同時進行している『彼女と僕の口外法度』は、苦手なGW付近を飛ばして7月からのスタートです(笑)
苦手なら飛ばせばいいんですよ☆
そんなわけで、
割と苦手なGW
皆様にとって素敵な休日となりますように!
私はカズレーザーさんの免許取得を見守りつつ、続きを執筆したいと思います☆
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




