無添加59話 最終競技の必勝法
「最終競技は、勝者に100万ポイントを贈呈しよう!」
「バカなのかい、君は?」
エステラが冷めた目でツッコミを入れてくる。
んだよぉ。こういう大会のお約束だろう? ちゃんと乗っかれよなぁ、ったく。
紆余曲折、てんやわんや、なんだかんだあれやこれやあった運動会も、残す競技はあと一つ。
最終競技を残して、全チームがまったくの同点となった現在、各チーム感じることもそれぞれといった感じだ。
「折角棒引きで頑張ったのにさぁ」
「前半のリードも、今となっては虚しいもんさね」
「だったら、最後の競技だけでよかったかもね……、な~んてね」
パウラとノーマが肩を落とし、ネフェリーが苦笑を漏らす。
が、それは違うぞネフェリー。
いろいろあって同点になったのと、な~んもせずに同じ立ち位置なのとではその意味合いが天と地ほども違うのだ。
その証拠に。
「よぉし! なんか分かんねぇけど、あたいらもトップに並んだぞ!」
「ふん。ここまですべて計算尽くであったと言っても過言ではないな」
「過言思う、ルシア様の今の発言は、さすがに」
赤組は「追いついた!」という感動にテンションが急上昇している。
逆に青組はちょっとぴりぴりしているかもしれない。
「あぁ……私が不甲斐ないばかりに他3チームに追いつかれてしまいました。エステラ様をお救いするつもりが、揃って苦境に……でも、この苦境を乗り越えた先に、真実の絆が結ばれて、私とエステラ様は…………ぐひゅふふふふふ」
……うん。さほど深刻そうでもないかもしれない。
若干一名物凄く幸せそうな他所の領主様がいるわ。
「エステラ。真実の絆――」
「言わないでくれるかい。折角聞こえなかったことにしようとしているのだから」
エステラが無我の境地に……いや、現実逃避だな、あれは。
「あ~ぁだよ、まったく」
逃避先から現実へ戻ってきたエステラが盛大にため息をつく。
な~んか俺に言いたそうな顔だ。
「結局、みんな君の思い通りに事が運んだわけだ」
難しい顔をして、少しだけ頬を膨らませる。
唇を突き出してむくれてみせる。
なんだよ、その顔。失敗キス顔写真としてSNSにばら撒いてやろうか。マニアから「いいね」をいっぱいもらえるだろうよ。
「なんだよ、思い通りって」
「今になってみれば、君が一回の失敗ごときで引き下がるなんておかしいって分かりそうなものなのにさ。奇抜な作戦はいつものことだけれど、いつものヤシロなら――そうだよ、ヤシロがあんな穴だらけの作戦を立てたこと自体が違和感の塊じゃないか。どうしてボクはそこに気が付かなかったんだろう……」
話の途中で思考が変わってまとまりのないまま言葉を打ち切り頭を抱えて「むぁああ」と唸る。
面白い生き物だな、お前は。
「とにかく、午後から白組が盛り上がってきて今から巻き返そうかって時の大失態――に、見えたから、つい、『あぁ、ヤシロでも失敗したらへこむんだ』とか思っちゃって…………あぁ、失敗した……」
失敗してへこんでんのはお前の方じゃねぇか。
つうか、そこまでへこまんでも……
「だから、つい信じちゃったんだよね。白組の内部崩壊を……それが、まさか、それまで込みの作戦だったなんて」
なんだか妙にグチっぽい。
言いたいことが言い出せない。けれど言わずにはいられない。なのに言い難い。
そんなもやもやした葛藤が見て取れる。
「大体、これから棒引きだっていう時に、しかも敵が強力過ぎてやばいなって時にだよ? 次の競技までひっくるめた作戦なんて立てるかい? ひねくれ過ぎだよ、君は。一つ一つ、目の前のものに全力で取り組もうという姿勢に欠けているんだ。そういう性格だからいろいろと誤解をされるんだよ。見直したまえよ、まったく!」
完全に小言になった。
しかし、その口調からは怒りなんか微塵も感じなくて、悔しさももうほとんどなくなっていて、伝わってくるのはただただ焦りばかり。
言いたいことはそんなことじゃないのに、言葉を重ねるほどに意思とは違う方向へ会話が進んでしまうことへの焦り。
へいへい。
分かってるよ、お前の言いたいことくらい。
ったく。ひねくれてんのはお互い様だろうが。
「エステラ」
「なにさ」
「大丈夫だからよ」
「…………」
結局こいつは心配性なのだ。
どんなに開会式で釘を刺そうが、どんなに言葉で否定しようが、一度盛り上がってしまった人の心ってのはなかなかどうして沈静化させにくい。
言うなれば、今のエステラもその状態だ。「もう気にしなくていいんだ」「結果オーライだから黙っていよう」と、冷静に考えればそれがベストだと理解は出来るのだが、湧き上がった感情はなかなか消えてくれない。盛り上がった気持ちは鎮まってくれない。
言葉として吐き出さなければ、ずっと胸の中に詰まって息苦しいままなのだ。
『折角心配してやったのに、それはみんな無駄なことだったんだね!』なんて口にしたところでなんのメリットもない。俺にとってもエステラにとっても。
エステラは俺を責めたいわけじゃない。自棄を起こしたわけじゃない。自分を労ってほしいわけじゃない。
けれど、一度湧き上がったもやもやはどうにかしなければくすぶり続けてしまう。
吐き出すのは簡単。
飲み込むのは至難の業。
だから、人はついつい吐き出してしまう。
厚かましいと分かっていても。
図々しいと自分が嫌になっても。
そうしたところで状況が好転することなどないと理解していても。
湧き上がった感情を吐き出さずにはいられない。
何か、その感情を沈静化してくれるきっかけでもない限り。
だからまぁ、礼を言うほどのことでも、謝るほどのことでもないから特別何かを言う気はないけども、一言くらいはあってもいいだろう。
エステラの顔を見て、きちんと言葉にして、伝える。
「ちゃんと分かってるからな」
「…………そ」
そっぽを向いて、俯いて、土を蹴って、顔を上げる。
「なら、いい」
こちらを向いたエステラの顔は、穏やかに笑っていた。
つまるところ、エステラは俺の身を案じていたのだ。
メドラやルシアが大騒ぎしたせいで、運動会の優勝者は好きな人と付き合える的なくだらないうわさが流れ、それに触発されて「まさかねぇ、ないよねぇ」とは思いつつも「もしかしたら……」なんて淡い期待が胸の奥にくすぶり始めてしまった連中が確かにいて、そんな連中が静かに優勝を狙っている状況ともなれば、白組は負けるわけにはいかない。
それを理解していながらも、エステラは大会委員長としても、青組チームリーダーとしても俺に協力するわけにはいかなかった。それは、ともすれば八百長にもなり得る行為であり、その行為はスポーツマンシップを酷く冒涜する行為だから。
そんなことをすれば、この区民運動会は意味を見失う。意義をなくす。
参加したすべての者を裏切ることになる。「最初から勝者が決まってんのに、なに必死になってんの、ば~か」なんて、そんな意図がなくてもそう見えてしまう。
だからエステラは俺を焚きつけた。
他人の足を引っ張ってばかりじゃ勝てない。正々堂々と勝利を収める方法をもっと真面目に考えろ――と。
まぁ、それはあくまでエステラの意見であって、他人の足を引っ張らず正々堂々戦えば勝てんのかっていうと、それはまた別の話になるわけだが、とにかく、エステラはエステラなりに俺に「頑張れ」と伝えたかったのだ。
それが叱咤となるか激励となるかは微妙なラインで、今回はあぁいう形の方がいいと、こいつは判断したんだろうな。
厳しい現実を突きつけて、俺が奮起することを狙った――まぁ、その『厳しい現実』ってのが、そもそも俺がわざと生み出した虚構であったからエステラはむくれてここでむぅむぅ文句を垂れているんだけれども。
とにかく、「もっとしっかりしろ!」と俺のケツを引っ叩きたかったのだろう。
落ち込んでいる俺に優しく寄り添って慰めの言葉をかける。
そんな選択肢もあったろうに、立場とか世間の目とかを気にしてそれが実行出来ない。
あ~ぁ、まったく。
「エステラはとんだツンデレさんだな」
「だっ、誰が!? ……デレて、ないし」
まったく、末恐ろしいよ、『強制翻訳魔法』……ツンデレが普通に通じるようになってやがる。激おこぷんぷん丸が流行り出すのも時間の問題か?
なんにせよ。
エステラは全力で運動会に取り組んでいる。
俺に対し、手を抜くなんてことは一切しないだろう。
けれど、内心では俺を応援してくれている。
優勝しろと、願っている。
……で、まぁ。そのいくつかの感情が入り混じった結果、不器用なこいつは必要以上に俺に対してきつく当たってくるんだけどな。
「ちょっとでも甘い顔をすると贔屓だって思われちゃうかも!? 普通にしなきゃ……普通ってどんなんだっけ!?」みたいな葛藤の末、やり過ぎているのだ。……不器用さんめ。
「まぁ、でもアレだね」
腹ん中でくすぶっていたもやもやが晴れたような顔で、エステラが俺に指を突きつける。
「実はほんのちょこっとだけ遠慮とかしていたわけだけれども、でなければもっとぶっちぎりだっただろうしね、意識的にせよ無意識的にせよボクはたぶん手を抜いてしまっていたんだと思うんだけどね――」
などと照れ隠し満載な前口上を垂れて。
「これで心置きなく君を倒せるよ!」
と、どう反応すればいいのか分からんことをのたまいやがった。
そういう強がりっぽい照れ隠し、こっちが照れるからやめてくれない?
いや、まぁ、倒そうと努力する分にはいいんじゃないの?
もっとも――
この期に及んでもまだ、俺に勝てるなんて思っているようじゃ、優勝は到底無理だろうけどな。
なぁ、エステラ。気付いてないのか?
お前はもう、俺の毒に冒されているんだよ。
「エステラ。もう時間も遅い。次が最後の競技とはいっても閉会式なんかもあるんだ。さっさとやっちまおうぜ」
「うん。そうだね。それに、ジネットちゃんの夕ご飯も待ち遠しいしね」
小腹を「くるる」と鳴らしてエステラが自軍へと駆けていく。
すっきりした顔しちゃってまぁ。俺はそこまで心配されるキャラじゃねぇっつの。ジネットの心配性が伝染ったんじゃねぇだろうな、あいつ。
「コメツキ様」
「可能な限りご期待に添えたかと思いますが、如何ですか?」
「おう、イネス、デボラ。心配ない上々だ」
「それは何より」
「最低限の仕込みは出来たと、そう解釈していいのですね?」
「いいや、それは違うぞデボラ」
最低限なんてもんじゃない。
「最高だ。お前らが味方で本当によかった。文句の付けようがない」
イネスとデボラを中心にモコカやニッカが走り回ってくれたおかげで、『時間ばっちり』だ。
マグダとロレッタのコンビもこういう仕掛けは得意な方だが、ここまでぴたりと理想通りということはさすがに難しい。
「まさかの、大絶賛……ですね」
「ちょっと、びっくりしましたね……」
「いや、マジで今回は凄いよ」
こいつらは、俺以外の白組の選手をさり気なく動かして、棒引きと騎馬戦でうまく点数の調整をしてくれた。
棒引きの獲得数が一本でも異なっていれば、騎馬戦の順位が一つでも違っていれば、この結果にはたどり着けなかった。
「お前らは、最高だ」
「デボラさん……」
「イネスさん……」
「「私、ここの子になります!」」
「いや、自区には帰れ」
給仕長を二人も雇う余裕はさすがにねぇよ。
持て余しちまう。
このデキる給仕長は点数だけでなく、時間の調整もバッチリ行ってくれた。
棒引きの後の『オオバヤシロ除外大作戦』の芝居の尺も、だらだらと逃げ回っていたように見えた騎馬戦も、すべて管理された時間の中に収まっているのだ。
とはいえ、不確定要素が多いだろうと大体二十~三十分くらいは余裕を見ていたのだが、現在の誤差はたったの五分だ。
実に絶妙。
早過ぎず、遅過ぎない。
ロレッタがもたらしたスペシャルな情報が間違っているとも思えない。
念のためロレッタの顔を確認してみたところ、物凄い自信満々な顔で首肯が返ってきた。
間違いはないらしい。
「選抜選手の皆さんは、入場門へお集まりください」
本日最後の招集がかかる。
本日、最後の競技は運動会の花形――『選手選抜リレー』だ。
各チーム十名を選抜し、代表者が優勝を懸けてトラックを駆け抜ける。
選抜選手は持てる力の限りに全力疾走し、それ以外の者は残った力をすべて注ぎ込んで声援を送る。
選抜ではあるが、だからこそチーム一丸となって全力を出し切る、振り絞る、絞り尽くすのだ。
選手選抜リレーにはドラマがある。
リレーというものが初めて開催されるここ四十二区においても、きっとそれは例外ではないだろう。
今日。この後、ドラマが生まれるのだ。
必ずそうなる。
「みなさ~ん! がんばってくださ~い!」
白組陣地では、ジネットが大きな声を上げて手を振っていた。
料理は一時中断らしい。というか、棒引きの間に下ごしらえをほぼ終えていたようで、今は教会の寮母や給仕が火の加減なんかを見ているようだ。
なんて手際のよさ。効率のよさ。
なのになんで基本属性が『鈍くさい』なんだろうな、ジネットのヤツ。
白組の選抜選手は、マグダ、ロレッタ、イネス、デボラ、バルバラ、モコカ、ニッカ、リベカ、ソフィー、で、なんでか俺。
「ヤシロが出てくるとは意外さね」
「ロレッタの妹たちを出した方がよかったんじゃないの?」
入場門でノーマとパウラが声をかけてくる。
今回も、公平を期するためヒューイット弟妹は1チーム三名までということになっている。
白組以外の3チームはきっちりと三名のハムっ子をメンバーに入れている。
対する俺たちはというと――
「……これが白組最強のメンバー。残念ながらハムっ子たちの入る余地はなかった」
マグダの言うとおり、ハムっ子はゼロだ。
「それに、ロレッタが『長女がいれば弟妹三人分くらい補ってあまりあるですぽよ~ん』って言ってたからな」
「お兄ちゃんの言うとおりです! あたしがいれば弟妹三人くらい余裕で……『ぽよ~ん』は言ってないですよ!? 捏造やめてです!」
「……やめてあげてぽよ~ん」
「マグダっちょ、味方のフリして傷口広げるのやめてです! ウチの家でちょっと流行るですから、お兄ちゃんとマグダっちょの遊び!」
ヒューイット家長女のロレッタがいるので、白組にハムっ子弟妹は必要ない――っていうとあいつら拗ねるから……えっと……、ロレッタ一人で十分なのだ。うん。そうそう。十分十分。
「ロレッタ一人でもうお腹いっぱいなんでな」
「なんか悪口言われたです!? おそらく方向性だけ合っててあと全部間違えてるですよ、その発言!」
うむ。
おそらくそんなところだろう。鋭いなロレッタ。
「コメツキ様……そろそろ」
「おぉ、そうだな。よし! 無駄口叩いてないでさっさと競技を始めようぜ!」
「君たちじゃないか、散々遊んでいたのは……まったく。それじゃあ入場するよ」
エステラの言葉で、選手一同がトラックの中へと移動する。
今回のリレーは年齢性別人種が一緒くたになっているため、それらで走る長さを調整することは出来ない。
提示される条件はみんな同じ。何走者目に誰を置くか、各チームでそれを調整するしかないのだ。
レースが単調になるのを避けるため、走る距離を微妙に変えてある。
第一走者がトラックを一周走り、第二走者が半周、続いて第三走者が残りの半周を走り、第四走者がまた一周走る。
このように、第一、第四、第七、アンカーが一周を走り、その間の第二第三、第五第六、第八第九走者は半周ずつ走るようにしてある。
当然、足の速いヤツに長い距離を走らせたいところではあるが、スタミナという点も考慮しなければいけない。
それに、リレーはバトンの受け渡しでのトラブルによって順位を大きく落とすこともある。前後の選手の相性なんかも考慮に入れたいところだ。
――と、このようにいろいろと作戦を立てる余地を残してある。
まぁ、見たところ、白組以外の3チームはみんな、距離の長い四、七、十周目にハムっ子を配置しているようだが。
で、なぜ3チームとも第一走者にハムっ子を置かなかったのかというと……
「ふふふ……私が直々に葬ってくれるぞ、カタクチイワシ」
「やはり、君はボクに倒される運命にあるようだね」
俺が第一走者として走ると前もって宣言しておいたからだ。
エステラくらいは釣れるかと思ったんだが、まさかルシアまで釣れるとはな。
「ルシア、それにエステラか……よし! 『気が散らない乳』だから集中出来る!」
「「どーゆー意味だ!?」」
そーゆー意味だよ。
これでまたデリアやノーマと同じレースだったら涙がちょちょ切れていたところだっつの。
「そりゃあ残念だったね、ダーリン」
揺れない領主の間をかき分けて小高い丘が現れた。いや、丘じゃない、メドラだ。
「ア、アタシのは、ゆ、揺れちゃうんだからねっ☆」
「うわぁ、なんだろう、目がしぱしぱする……目に来るなぁ、メドラのツンデレは」
視力落ちたら賠償金請求しようっと。せめてメガネ代くらいは。
っていうか、ウクリネス~。お前は何を思ってメドラサイズのブルマなんか作ったんだ? 誰が穿くと想定してそのサイズを作ったんだよ。
全人類対応にする必要はないんだってこと、今度切々と説いてやろう。
何かと俺と張り合いたがるヤツが各チームに若干名ずついたから、俺が第一レースに出るといえば、ハムっ子を第四以降に配置するだろうなと考えたのだ。
そうでなきゃ誰が出るかよ、こんな獣人だらけのリレーになんか。
獣人じゃなくてもエステラやナタリアみたいな超人が多いのに。
けど、俺が出ることで白組に勝利をもたらせるというのであれば、俺は喜んで出場してやろうじゃないか。
辺りが暗くなってきたから、応戦席じゃ揺れが見えにくいかもしれないしね☆
……な~んて思っている間にも、領主二人と狩猟ギルドのギルド長がぐいぐいと詰め寄ってきて俺にプレッシャーを与え続ける。
「つかお前ら全員、俺の近くに立つな。俺の足が短いように思われる」
エステラもルシアも、なんであんなに足が長いんだ?
メドラは長いというかデカいだけども。
「『ように』ではないのではないのか、ん? カタクチイワシよ? ほれほれ」
「淑女が太腿を見せつけてくんじゃねぇよ、撫でるぞ」
「なっ、舐めるとは何事だ!? 変態か!?」
「言ってねぇ! 撫でるっつったの!」
「ヤシロ。それでも変態にかわりはないんだよ。自覚しようね」
「ダーリン、ほ、ほれほれ~」
「あれーなんだろう、目がしぱしぱする~」
篝火の煙のせいかなぁー。
レーシック代請求してやるからな。視力落ちたら。
「それでは、第一走者は位置についてください」
木こりギルド厳選、トルベック工務店製作の無駄に高級感溢れる木製のバトンを握り、俺たちはスタートラインに立つ。
――時間は、ちょうどいい。
「さぁて……」
ぺろりと、おのれの唇を舐める。
まるで、毒蛇が獲物の末路を確信して見届けるような気分で。
俺は言ったよな?
俺の猛毒は『遅効性』だって。
「位置について、よぉーい!」
――ッカーン!
レースが始まる。
もう、誰も後戻りは出来ねぇぞ。
思わず頬が緩む。
俺たちの……俺の、勝ちだ!
「どうしたんだい、ヤシロ! それが君の全力かい!?」
「ふん! 私の速度についてこられるなら、ついてくるがいい、カタクチイワシ!」
「ダーリン! 全力でぶつかっておいで!」
ライバルたちが先行する。
ルシアはともかく、エステラとメドラは本気で速い。
しょうがない……
「よぉ~し、捕まえちゃうぞ~!」
俺は浮かれはしゃぐ付き合って三ヶ月記念に海へとやって来たバカップル(男)のような笑顔と声で軽やかにスキップまがいな走りを披露する。
「待て待て~! 僕の可愛いこねこちゃ~ん」
うふふふ、あはははと、楽しげな笑い声を上げて走っていると、メドラの速度が落ちた。それはもう、目に見えて。
「つ、つかまえてごら~ん、だ~り~ん!」
「よぉ~し! 待て待て~! あははは」
「ほ~ら、こっちだよ~! うふふふ」
スローモーションのような穏やかな空気に飲まれ、メドラの速度がどんどん落ちていく。ふざけて走る俺の速度とピッタリ同じになるくらいまで。
「な……なに、あれ?」
「真面目に走らぬか、カタクチイワシ!」
「なんだと~、ルシア~! もう、怒ったぞ~、捕まえてやる~!」
「ふん! 誰が貴様なんぞに! 捕まえられるものなら――捕まえてごら~ん!」
「ルシアさんまで!?」
分かってないな、エステラ。
ルシアはな、あぁ見えて、ベッタベタなド定番が大好きなんだぞ。
チャンスがあれば、しかも自分以外の者が先にやっているのを見ていれば、そりゃあやってみたくなるに決まってるだろう!
「まてまて~」と、「やったなぁ、こ~いつぅ~」と、「あぁ~れぇ~」は、全人類共通で一度はやってみたいことだろうが!
そりゃ食いつくっての。
で、み~んなが同じことをして楽しそうにしていると、途端に寂しくなって、疎外感を感じてしまうのが……エステラというヤツだ。
「ボ、ボクも……つ、捕まえてごら~ん」
こいつは、本当に寂しがり屋というか……空気を読んでいるのかもしれないけどな。
そんなわけで、先行する三人が「あはは、うふふ」と軽やかなスキップ調走りに変わったので――俺だけ全力疾走を始める。
「んじゃ、お先!」
「んな!? カタクチイワシ!」
「ちょっ、ヤシロ!?」
「ダーリン! 待っておくれよ!」
ふはははは!
残念だったな! 今日の嘘は『精霊の審判』の対象外なのだ!
「捕まえてやる~」と言いながら捕まえなくてもカエルにはされないのだ!
「お前らは『精霊の審判』に慣れ過ぎているんだよ! 嘘吐きは善人よりも得をするだぜ! 覚えておくんだな!」
「そんなことがあってたまるもんか!」
「エステラの言う通りだ! 嘘吐きが世に蔓延るようではこの街は終わりだ!」
「ダーリン、おイタが過ぎるとお仕置きしちゃうよ!」
まんまと騙された愚か者三人が何かを喚いているが知ったことではない。
俺はこのまま、リードを保ったままバトンを第二走者に……
「「「待ぁああてぇえぇええ! むゎぁあああてぇぇえええ!」」」
「怖い怖い怖い! 冗談でも『捕まえてごらん』とか言えないくらい怖い!」
捕まれば死ぬ!
俺は命の危機を感じて懸命に地面を蹴った。
が、結果四着だった。
「くそぉ! あいつら速過ぎるだろう!」
バトンをニッカに渡して、肩で息をする。
「まったく、君は……最後の最後までスポーツマンシップに反するような真似を」
「今度、正々堂々という言葉の意味を懇々と語り聞かせてくれるぞ、カタクチイワシ」
「お、お泊まりでも、アタシは構わないよっ、きゃっ☆」
「泊まりでそんな話聞かされたら、翌日の朝陽で浄化されちまうわ」
「君の体は邪心の塊か何かなのかい?」
お前ら、俺にばっかり文句言うけどな、お前らも乗ってたじゃねぇかよ。
「捕まえてごら~ん」って。ちょっと楽しかったんだろ? 白状しろ!
「よく見たら、一回も彼氏がいたことのないヤツばっかだな」
「うるさいよ! 領主は、そういうの、慎重になるんだよ」
「その通りだ。コレと決めた相手以外とそのような関係になれるはずがなかろう」
「アタシは、ダーリンのために取っといたんだよ☆」
「あはは。そのまま地底の遺跡にでも封印しといてくれればいいいのに」
運動会マジックも、俺には効果がないようだ。
まったく、どこで線引きされてんだかな、簡単に恋人が出来るヤツとそうでないヤツってのは。
「じゃ、応援席に戻るか」
応援席と言っても、トラックの中の選手待機列だ。
走り終わった選手は、順番待ち選手列の一番後ろに回る。
「カタクチイワシ」
「ん?」
アンカーの後ろに回り腰を下ろすと隣からルシアが声をかけてきた。
「三十五区には港がある」
「知ってるよ」
「少し先まで行くと、真っ白な砂浜もあるのだ」
「へぇ。そりゃ初耳だ」
「……砂浜がな、あるのだ」
「いや、それは今聞いたよ」
「…………波が打ち寄せるのだ」
「そりゃ砂浜だからな」
「………………ざざーん」
「なんだよ、一体!?」
ルシアがおかしい。
いや、もとからおかしいヤツではあるんだが。
一体何が言いたいんだよ? ……とか思っていたら肩をペしりと叩かれた。
なんだよ? と、顔を窺うとそっぽを向かれた。
なんなんだよ、だから。
ルシアの謎の行動に戸惑っていると、赤組の第四走者がスタンバイを始めた。
「今日最後にして、最大の見せ場やー!」
ハム摩呂が両腕を高々と上げて吠える。
はいはい。どうせまた隣の変態領主が「むはぁ、ハム摩呂たん可愛い!」とか騒ぎ出すんだろうなぁ~……と、ルシアの顔を窺い見ると……めっちゃ睨まれてた。なんで? 俺なんかした?
「は、ハム摩呂の番だぞ」
「貴様ごときがハム摩呂たんの名を気安く口にするな! 減る!」
「何がだよ?」
ようやく、いつものルシアに戻った。
……この状態が『いつもの』ってのには、憂慮を覚えずにはいられないけどな。
そうして、次々にハムっ子――第四走者がスタンバイする。
バトンは第三走者に渡り、間もなく俺たちの前へと戻ってくる。
「さて、長女の長女たる所以を見せつけてやるです!」
拳を握り、ロレッタが自信に充ち満ちた表情でスタート位置へ立つ。
ヒューイット姉弟四人。ロレッタ以外はみんなちんまい、七歳~九歳のハムっ子たちだ。
『ハムっ子ゲットだぜ!』でも証明されたとおり、真っ向勝負ではロレッタはその年代のハムっ子には適わない。
だが、今ここで俺が――俺たちが仕込んだ猛毒が猛威を振るう。
「はぁ、はぁ……ぇっと……たしか、名前を呼んじゃうと『はむまろ?』ってなっちゃうから……バトン、ぅけとってぇ~!」
「まかせてー!」
ミリィが一番で第四走者へとバトンを渡す。
そして間を空けずに黄組、青組がハムっ子たちにバトンを渡す。
そして、ハムっ子たちが一斉に走り出――さない!
「「「えっ!?」」」
バトンを受け取ったハムっ子たちの動きが一斉に緩慢になる。
体がぐゎんぐゎんと揺れ始める。
「むゎああ! ちょっと遅れたのじゃ! 巻き返すのじゃ~!」
最後に、二秒ほど遅れてリベカからロレッタへとバトンが渡る。
そして、キリリッとした表情でロレッタがこの現象の――俺たちが仕込んだ猛毒の正体を告げて走り出す。
「ウチの子たちは午後に小一時間お昼寝しておかないと、夜七時にはオネムになるです!」
その言葉を証明するように、ハム摩呂他二人のハムっ子が同時にこてっと地面に倒れて寝息を立て始めた。
「至高の、まどろみや~……むにゃむにゃ」
「ぅぉおおお!? とてつもなく可愛らしくて抱きしめたいけれど、立って走るのだハム摩呂たん! 二人の未来のために!」
隣の変態領主がなんか勝手なことを叫んでいるが華麗にスルーしておく。
「ふははははです! 長女たるあたしは、この時間でもバリバリ活動出来るです! ウチのお子様たちとは違うです! 体力の配分が出来るです! 大人の女です! ビコーズ、長女だからですぅぅううう!」
ハム摩呂にこそ後れを取るものの、ヒューイット家の血筋は伊達ではなく、ロレッタはあっという間にトラックを一周して第五走者のソフィーにバトンを渡した。
「起きて! みんな! まだ競技中だよ!」
「起きるさね! こんなところで寝たら風邪引くさよ!」
「おい、みんな! 飯だってまだだろ!? 今日だけもうちょっと頑張れよ!」
エステラにノーマにデリア。
普段子供の面倒を見ているお姉さんポジションではあるが、その声は眠りに落ちたお子様たちには届かない。
寝た子は起きないのだ。オモチャでも、お菓子でも、楽しみにしていた楽しいイベントであっても!
「ねぇ……これ、どうすればいいの?」
「ん~……棄権、とか?」
「それはなくない?」
「でも、ほら、他のハムっ子ちゃんたちも寝ちゃってるよ?」
パウラとネフェリーが第七走者とアンカーを見て苦笑を漏らす。
「んじゃあ、今から急いで代走を立てたらどうだ?」
「ヤシロ……君、確実に白組が勝つ状況になってからそういうことを……」
「え、なに? じゃあ仕切り直すの?」
「そんな時間がないことを知ってるくせに、もう…………パウラ、デリア」
「もう、代走でいいよ!」
「あたいもそれでいいから、この競技終わらせようぜ! あたいもう、お腹空いて限界なんだ! 甘い物も食いたいし!」
「……マグダも、異論はない」
「そりゃマグダには異論はないだろうさ……まったく! じゃあ、チームリーダーはすぐに代走を選抜してレースを再開して!」
「うん!」
「おう!」
エステラとパウラ、そしてデリアが応援席へと駆けていきハムっ子に代わる三人の選手を引っ張ってくる。
と、そんなことをやっている間に白組はアンカーのマグダにバトンが渡り、ぶっちぎりの優勝を飾ったのだった。
さすがに非難轟々かと思われたのだが――
「あははは! しょうがねぇな、ハムっ子たちは」
「子供なんだからしょうがないわよ」
「でも、寝顔かわいい~!」
「ヤシロのヤツ、知ってやがったな?」
「まったく、とんでもねぇ男だ」
「けどまぁ、ヤシロだしなぁ」
「あぁ、見抜けなかったこっちの負けだ」
「そんなことより、腹へったぁー!」
「なんかすっげぇいい匂いしてんだけど!?」
「知ってる! アレって、陽だまり亭のカレーでしょ!?」
「食えるのか!?」
「楽しみー!」
「もう、どこが優勝でもいいから早く終われー!」
「めしー!」
「「「めーしー!」」」
――と、なんかそんな感じで割とすんなりと受け入れられた。
結局の所、四十二区ってアレなんだよなぁ。
楽しけりゃなんだっていいじゃん。
――って発想なんだろうな。基本的に。
実に賑々しく、実に馬鹿馬鹿しく、夜までかかった区民運動会はようやく全競技を終了した。
あぁ、疲れた。
あとがき
リレーでヒーローになりたかった(=きゃーきゃー言われたかった!)宮地です。
選抜されたこと、ありませんでした。
私は何年生になっても、かけっこが下の上レベルでした。
なのでまぁ、運動会では一番になれたんですけどね。
一緒に走る周りの選手が下の中~下の下ですので。
あれですね、
上位クラスでビリになるより、
下位クラスでトップになった方がいいという、
……えっと、
竜頭蛇尾? ……は、意味が違う。
鶏口牛後? でしたっけ?
美尻着顔? あっ、なんかしっくりくる!
美しいお尻には顔を着けたくなるという、たぶん孟子か孔子あたりの誰かの言葉です。
【美乳埋顔】意味:そりゃあ埋めたくもなるさ
転じて、埋めるほど膨らみのない人でも、心では埋めているんだよという思いやりの気持ちを表す言葉。
例:
幼馴染女子「ご飯作ったんだけど……失敗しちゃった……ごめん」
幼馴染男子「気にすんなよ。俺、お前には美乳埋顔の気持ちでいるから」
幼馴染女子「ありがとう、しゅきっ!」
と、
そんなことばっかり考えていたせいで運動がからっきしだったんですよねぇ。
文系だったんですよねぇ。
図書室で文系仲間とよく語り合ったものです。
私「なぁ。(文)って書くとさ、鎖骨とビキニおっぱいに見えね?」
友A「おまっ! 天才か!?」
友B「俺、このタトゥー入れるわ!」
友C「座右の銘にする!」
友D「やっべ! 学校の地図記号見てどきどきしそう!」
友E「そんな学校に来てる俺たち、エロくね?」
友Eの友「つか、だったら学校に来てるヤツみんなエロくね!?」
みたいに盛り上がってましたっけねぇ、
我ら文系男子は。
あ、一人友達の友達が混ざってましたけども、
みんなでいる時は和気藹々としてましたよ。
二人っきりは気まずかったですけども。
友Eの友「なぁ、宮地……」
私「……なんでしょう?」
友Eの友「休みの日って、なにしてる?」
私「ん~……言っても信じてもらえないだろうしなぁ……」
友Eの友「え、なんで? 信じるし、言えって。休みの日何してんの?」
私「20cmほど浮いてる」
友Eの友「嘘吐けよ!?」
――と、このように会話が成り立ちませんで。
文系でも、それぞれに系統があったんでしょうね、きっと。
理数系の友人は少なかったように思います。
はてさて、彼らは一体――
(理数)
――これを、どんなエロい目線で見ていたのでしょうか……謎です。
(体育会)
……これも難易度が高いですよね。
でも、(たいいく)ならちょっと理解出来るんですよ。
近所のほんわか巨乳お姉ちゃん「よぉ~し、今日はお姉ちゃんが勉強を教えてあげるね(たいいく)」
ほら!
(たいいく)に『ほけん』って付かなくても、
ほんわか巨乳お姉ちゃんだったら、普通に体育でも楽しいでしょ!?
とりあえず二人一組でストレッチから始めて、
ラジオ体操とかして――「両足跳びの運動~開いて閉じて、開いて閉じて♪」
それから駆けっこでも縄跳びでもサッカーでもバスケでもバレーボールでもいいですよ!
きっと楽しい!
体育会系の男子は、きっと近所にそういうお姉さんが住んでいた人たちなんでしょうね。
羨ましい。
そりゃあ運動が好きになりますよねぇ。
ズルっこいですよ、ご褒美つきなんだもん。
だから体育会系の人は運動会とか得意なんでしょ?
小さいころからお隣のお姉さんと(揺れながら)運動をしていたんですから。
運動会の徒競走で上の上クラスにいた人たちは、
ある種の勝ち組だったんでしょうね。
リレーの選手に選ばれる人なんて、
神の域ですよ。
どんだけ揺れてたんだ、お隣のお姉さん!?
そんなに張り切っちゃうほどか!?
くそぅ、
実家の立地が異なれば、
私も運動会のリレーでヒーローになれたものを……
と、そんなことを思い出した今回の区民運動会でした。
ようやく競技が終わりました。
長かったです。
これでも、あんまり描写出来てない人がいるのだからビツクリです。
クリビツてんぎょーです。
リベカとソフィーの姉妹や、カブリエル&マルクス。かわいい隊の活躍も全然……
一体、何文字書けば満足するのでしょうか、私は。
『惑星が爆発するまであと5分……』っていう状況で二~三ヶ月ほど戦い続けていた国民的アニメ作品のことを言えませんね。
でも、あの作品も、主人公と強敵キャラがどちらもFカップだったら、
きっともう二ヶ月くらいは戦闘の描写が延びたに違いないんです!
『映画ドラ〇ンボールZ 復活のFカップ』
おぉっ!? 熱い!
七回見に行きますね!
そりゃあピッ〇ロさんも「オレたちとは違う次元のバケモノになって帰ってきやがった……っ!」とか言いますよ。
F「お見せしましょう、ワタシの更なる進化を(ぷるん)!」
八回見に行きます!
(なんの話かよく分かんない方は、動画サイトで↑の映画の特報第2弾とか見てくださると元ネタが分かるかもです)
(ちなみに、その国民的アニメーション映画にFカップのキャラは出てきませんのであしからず)
(あぁ、ちなみに「あと五分で~」っていうのはその映画ではなく、その国民的アニメの原作でFが言ったセリフでして、とある理由でほかの惑星に向かった主人公の仲間たちが……)
(……あぁ、なんでこんなに説明しなきゃいけない分かりにくい小ボケを書いてしまったのか……っ!)
まぁつまり、
大きな胸が揺れるからリレーに選抜されたり
他所の惑星があと5分で爆発したりしてしまうというわけで、
あちらこちらでおっぱいがゆさゆさぷるぷるすかすかしているのだがら
区民運動会が三十二話、
期間にして五ヶ月ちょい(2018/12/4~2019/5/18)もかかっちゃったとしても、
それは仕方ないことですよね!
だって揺れていたのだから!
ぷるぷるすかすか、揺れていたのだから!
太もも、眩しかったのだから!
うん、私は悪くない!
そんなわけで、
さほどいいところを見せられなかったリカルドさんが自区に戻って猛特訓し、
リカルド「ふふふ……今度は、そう簡単に負けないぜ!」
とか言って宣戦布告してくる『劇場版異世界詐欺師~逆襲のR』でもない限り
当分運動会は書かないかと思われます。
あはぁ、楽しかった。満足♪
というわけで、お付き合いありがとうございました!
運動会もあと一回、閉会式で終わりです☆
次回もよろしくお願いいたします!
宮地拓海




