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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
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403/821

無添加58話 疾駆、激突、大混戦

「ちょっ!? ひ、退くさよ! もっと後ろ……!?」

「逃がさねぇぞ、ノーマ! どりゃぁあ!」

「あぁーっ!?」


 デリアの腕が素早くノーマのこめかみを掠める。

 黄色い鉢巻がデリアの手の中で風にたなびいている。

 鉢巻がなくなった頭を押さえて、ノーマが騎馬たちに牙を剥く。


「……ったく! なにやってんだい、鈍くさいさね! 取られちまったじゃないかさ!」

「だ~ってぇ~」

「ノーマちゃん、意外と重いんだもぉ~ん!」

「何か言ったかい、ゴンスケ!?」

「ノーマちゃん、最近『健康食の反動さね~』って、脂っこい物ば~っかり食べてるんだもん」

「そりゃあ太るわよ。ねぇ~?」

「「ねぇ~」」

「それ以上しゃべってごらんな! その口に溶けた鉄を流し込んでやるさよ!」


 金物の乙女たちがノーマくらいの重さで音を上げるわけはないから……日頃の鬱憤をここで晴らしてるんだな。

 そもそも、ノーマの要求は高過ぎるんだよ。

 デリアをギリギリまで接近させて視線の向きと逆方向へ瞬時にかわせ――とか。騎馬戦では到底出来ない芸当だ。

 出来るとしたら、ナタリアとギルベルタとイネスが組んだ給仕長騎馬くらいだろうな。デボラは結構イネスに引っ張られているところがあるから次点だ。


「んははは! 今回はあたいの勝ちだな、ノーマ!」

「アタシが負けたんじゃないさね! ウチの男衆が負けたんさよ!」

「ひっどぉ~い!」

「アタシたちがんばったわよねぇ~」

「「ねぇ~」」

「ノーマちゃん、そうやって言い訳ばっかりしていると、知らないうちにお腹に段差が出来ちゃうわよっ、ぷん!」

「ゴンスケぇぇええ!」


 ノーマが最終形態直前みたいな顔で乙女たちを追いかけ回す。

 賑やかな退場だな、金物ギルド。


「よぉし! 次のヤツをぶっ倒しに行くぞ、オメロ!」

「へい! 親方!」


 腕まくりをして、デリアが上機嫌に発進する。

 そんなデリアの後ろ姿を見つめる一人のサル女がいた。バルバラだ。


「やっぱ、姐さんはカッコいいなぁ! あぁいうのが『いい女』ってんだよな、きっと! な、そう思うよなモコカ?」

「さぁ? 私にはとんと分からねぇぜですね」

「とにかく、アーシらも敵をぶっ倒すぞ!」

「赤組に奇襲をかけやがるかですか?」

「バカ! 姐さんに刃向かったら返り討ちに合うぞ! 別のヤツでいいんだよ……んおおお!? 見つけたぞ、さっきのオッサァァアアン!」


 奇声を上げるバルバラの指差す先にいたのは、ウッセがまたがる狩猟ギルド騎馬だった。


「さっきの借りを返してやるぜ!」

「ふん! 返り討ちにしてやるぞ、サル女!」


 互いが相手を敵と認識し、向かい合って真っ直ぐに前進する。

 騎馬と騎馬が真正面からぶつかる。


「いざ尋常に、勝負だ!」

「望んでたところだぜ!」


 惜しい。

 微妙に惜しくて知ったかぶり臭が物凄いぞバルバラ。

 凄くバカっぽい。


「テメェはさっきママに言われたろう、身の程を知れってな! 上には上がいるんだってこと、俺が教えてやるぜ!」

「ごちゃごちゃうるせぇ! 覚悟しろ!」


 突進するバルバラを、ウッセは両腕を広げて迎え撃つ。

 バルバラの攻撃をかわしてカウンターを叩き込もうという作戦だろう。

 まっとうにやり合えばバルバラは後れを取るだろう。

 だが、今回はモコカがいる。


「大工A・B! フォーメーションBだぜです!」

「「合点だ!」」

「バルバラ、落ちるなよですよ!」


 狩猟ギルド騎馬と、今まさに衝突しようかというタイミングで、モコカが両手を離した。

 足を乗せていたあぶみがなくなり、一瞬バルバラが体勢を崩すが、騎馬の後ろを担うウーマロんところの大工AとB(俺もちょっと名前知らないけど)がそれぞれの腕でしっかりとバルバラの尻を受け止めて落馬を防いだ。

 恐ろしいまでの安定感。

 大工ってやっぱすげぇ力あるんだな。女子一人くらいなら腕一本で軽々担げちゃうんだろうな。


 そして、両手がフリーになったモコカが何をしたのかと言えば――そう、モコカの必殺技だ。


「襟ぐり『ぐぃーん』、からの……Bでも寄せれば谷間はDカップ!」

「んぉおお!?」


 向かい合った騎馬の上。それは、ただでさえモコカの襟の隙間がのぞき込めるポジション。

 そんな、「意識するなって方が無理じゃい、ボケェ!」なポジションで、いきなり襟ぐりを引っ張り下げられれば視線は重力に吸い寄せられるが如く引き寄せられ、その先に突如Dカップの谷間が出現すればそりゃあ「んぉおお!?」なんて声が出てしまう! それはもはや自然の摂理! 魂に刻み込まれた始祖から受け継いだ本能のDNA!


 両腕を広げた状態で、首から上だけが「ぐぃーん!」と下に向いたウッセ。

 それはさながら「ご自由にお取りください」と鉢巻を差し出しているようなポーズだった。


「よっしゃあ! もらったぜ!」

「ぬゎあああ!? しまった!」

「ちょっ、代表! マジっすか!?」

「勘弁してくださいよ、代表!」

「一人だけいい思いして! こうなりゃ下克上だ下克上!」


 狩猟ギルドのウッセと騎馬の間で諍いが起こる。

 そりゃあ、一人ベストポジションで「んぉおお!?」とか言ってたらなぁ、下にいる連中はいい気がしないよなぁ。

 俺だって見たいわ、そのベスポジで!


「この騎馬戦の責任を取って代表を辞任しろー!」

「「そーだそーだ!」」

「テメェら、言わせておけば……!」

「まぁまぁ、ケンカすんじゃねぇってんだですよ。ほら、あんたらにもサービスだぜですよ」


 むぎゅ。


「「「うはぁーー! モコカちゃん最高!」」」


 狩猟ギルドのオッサンどもの機嫌が一瞬でよくなる。

 肩を組んで腕を振り上げ、気勢を上げる。

 なんだろう。

 あそこの犯罪者たち、なんで捕まらないんだろう?


「おい、モコカ! あんまそういうことすんなよな!」

「なんでだですか? 私の乳なんか、別に隠すほどの価値もねぇぜですけど?」

「バカっ! きっと、そういうのは、アレだ、ほら! す、好きな、人……とか、だけの、あの……とにかく、すんな!」


 バルバラが常識を説いている!?

 午前中までは「おっぱいくらいいいじゃねぇか、揉まれるくらい。減るもんじゃなし」的なこと言ってたのに!?

 ……怖ぇ。

 恋するって、超怖ぇ……


「ウチの大将に、『乳を使いこなせるようになれば、ヤシぴっぴを意のままに操れるようになるかもしれないわよ☆』って言われてっから練習してんのによぉ~ですのに」


 ほっほ~ぅ。

 ……マーゥルのヤツめ。覚えてろよ。


「とにかく、この調子でガンガン鉢巻を奪いまくろうぜ! いい女になるために!」


 ウッセから奪った鉢巻を握りしめ、天をぶっ飛ばすように拳を突き上げるバルバラ。

 と、その向こうからネフェリーの悲鳴が聞こえてくる。


「きゃー! 逃げて逃げて逃げて!」

「逃げんなよ、ネフェリー! あたいと勝負しろー!」

「デリアとなんかまともに戦えないわよ! とにかく全力で逃げて!」


 養鶏場関連の者たちだと思われる騎馬にまたがったネフェリーが半泣きで逃げ出す。

 まぁ、怖いよな。

 下半身が泥沼に囚われた状態でデリアと戦わなきゃいけない的な超ハードモードバトルだもんな。

 しかも、デリアは下半身が動かなくても一切弱体化しないという。

 俺でも逃げるわ。


 だが、所詮は養鶏場の連中。

 激流に逆らって漁をする川漁ギルドから逃げ切れるわけもなく、ネフェリーはあっさりと追いつかれて、あっけなく鉢巻を強奪されていた。


「や~ん、もう! 髪の毛ぼさぼさになっちゃったじゃない」

「はっはっはーっ! あたいに勝とうなんざ甘い考えだぜ!」

「勝とうなんて思ってなかったでしょ!? 本気で怖かったんだから!」


 ぷんすか怒るネフェリー。

 ……え? つか、髪の毛? え? どこ? どの羽毛が髪の毛なの?


「ネフェリーさん!」


 デリアが悠然と去った後、モリーを頂にいだくパーシー&クレアモナ家給仕たち騎馬が駆けつける。


「ごめん! 間に合わなかった!」

「あ、ううん。平気。きっと、助けに来てくれてたとしてもデリアにまとめてやられちゃってたよ」

「けど、俺が犠牲になってネフェリーさんを守ることくらい出来たはずなのに……」

「ダメだよ、そんなの。デリア、すっごく怖いんだから。モリーちゃんにそんな思いさせられない」

「……どうも」


 下から見上げられ、騎馬の上のモリーが複雑な表情で頭を下げる。

 照れているのかもしれない。


「だから、モリーちゃんとパーシー君は、私たちの分まで頑張って生き残ってね」

「……善処します」

「約束するよ! オレ、めっちゃ生き残っから!」

「じゃあ私、応援席戻るね。ちゃんと応援してるから、頑張ってね」

「はい!」


 手を振って去っていくネフェリーに手を振りたいのだろうが両手がふさがっていて出来ないのでケツをふりふりしているパーシー。

 後ろの給仕二人、蹴っていいぞ、その不愉快極まりない揺れるケツ。


「はぁぁ……怖がるネフェリーさんも、マブいなぁ……」

「ちょっと泣いてたね……可哀想」

「女子の涙って宝石だよな! この世界で一番美しいもんだと思うぜ、マジで! なぁ、モリー?」

「ごめん、兄ちゃん……共感しかねる」

「なんでだよ!? キレーだったべ!? お前、ちゃんと見た!?」

「暗いし、ここ高いから。距離もあったし」

「んだよ、モリー! お前損したなぁ。オレなんか、この距離で……くはぁ! ヤバかったなぁ、アレは!」

「…………ヤバイのは確実に…………ま、言わないでおいてあげるけど」


 モリー。

 実の兄じゃなかったらその騎馬から今すぐ降りたいんだろうな。

 可哀想になぁ。家族って選べないんだよなぁ。気の毒だぜ。


 で、そんな気の毒な兄のお戯れを見ていたバルバラはというと。


「うそ……だろ?」


 騎馬の上で呆然としていた。

 さすがに気が付いたのだろう。

 パーシーが重度のストーカーでネフェリーにゾッコンであるということに。


「怖がる方が、……いい女なのか……?」


 うわー、全然気付いてな~い。

 そこじゃねぇだろってところにしか意識向いてねぇわぁ、こいつ。


「さぁ、バルバラ! 次の獲物を襲いに行くぜですよ!」

「ちょっと待ってくれモコカ! えっと、あの、アレだ! アーシ、こ、怖い~!」


 嘘吐け!

 精霊神直々に『精霊の審判』かけに来てもらえ!


「くっそぉー! 涙ってどうやりゃあ出てくるんだよ!?」


 目でも突けばわんわん出てくんじゃねぇの。

 なんであんなストーカーがいいのかねぇ……どこがいいのか、さっぱり見当が付かねぇよ。

 ………………いや、違うぞ!?

 やっかんでるわけじゃないからな!?

 振られてないから、俺!


「ヤシロさん。随分と騎馬が減りましたね」


 頭の上からジネットの声が降ってくる。

 少しアゴを上げてみると、ジネットがおデコに手のひらを添えてグラウンドを見渡していた。

 俺たちは今、外周をゆっくりと回っている。


 騎馬が多い間は、輪の外にいるだけで割と見逃されてきたのだが、数が減ってくればそういうわけにもいかなくなるだろう。

 そろそろ、俺たちも狙われ始める頃合いかもしれない。


 ――とか、思っていると。


「ふはははは! 勝負だ、カタクチイワシ!」


 厄介なヤツに見つかってしまった。


「まだ生き残っていたとは、しぶといヤツだ! 剃っても剃っても一本だけぴよ~んと残るむだ毛のような男だな、貴様は!」

「その喩えはどうなんだ、淑女として!?」


 むだ毛処理の話なんぞを男にするんじゃねぇよ。

 貴族の令嬢ともなるといろいろ大変なんだねぇとでも言えばいいのか?

 言ったら言ったで「セクハラか、カタクチイワシ!」とかって喚くくせに。


「私から逃げられると思うなよ。息の根を止めてくれるぞ、カタクチイワシ!」

「待て待て! お前が戦うのは俺じゃなくてジネットだぞ!」

「ジネぷーには優し~く勝利して、その後で貴様の息の根を止める!」

「それただの殺人予告じゃねぇか!?」


 犬死にも甚だしいわ!

 競技と関係ないところで止めんじゃねぇよ、息の根!

 …………競技中でもお断りだわ!


「さぁ、ジネぷー。怪我をしたくなければその鉢巻を渡すのだ」

「そ、それは……出来ません」

「手荒な真似はしたくないのだよ、ジネぷー。鉢巻を私に渡してくれ」

「ぷぷぷー! 抱腹絶倒思う、私は、ルシア様いきなりの領主ギャグに」

「なっ!? ち、違うぞ! 狙ったわけではないぞ! 断じてないぞ!」

「わたしに、わたして……ぷぷぷー」

「違うと言っておるだろう、ギルベルタ!」

「うわぁー、ルシア、おもしろー」

「やかましいぞ、カタクチイワシ! 棒読みにもほどがあるわ!」


 ルシアが真っ赤な顔をしている。

 ついつい条件反射でからかってしまったが、これでルシアは意地になって、絶対ジネットを見逃してくれなくなっちまったんだろうな……


「よもや、許すことは出来ぬ! 貴様らにはここで敗退してもらう!」


 ……ちっ。


「コメツキ様が挑発するからですよ」

「そう。さっきまでであれば話し合いの余地はありました。ついさっきまでは」

「あーはいはい。俺が悪かったよ」


 後ろから給仕二人に責められる。

 ルシアとまともに戦って、ジネットが勝てる確率はほぼゼロに近い。

 なら逃げるしかないのだが……追いかけ回されるのも考えものだ。

 逃げている騎馬というのは狙われやすいのだ。

 後ろにばかり気が向いている隙を突かれて横から出てきた手に鉢巻を奪われる。そんな場面を腐るほど見てきた。

 そして、逃げている騎馬というのは、自分で「私は弱いです! 狙い時です! カモです!」と宣伝して回っているようなものなのだ。


 なので、出来ればルシアの方から退かせたい……よし。


「ジネット! こうなったら正々堂々、真っ向勝負を受けてやれ!」

「ぅええ!? で、でも、ルシアさんとだなんて、わたし……」

「ジネット、拳を顔の横に持ってきて脇を締めろ!」

「え? は、はい!」


 ジネットの体にグッと力が入り固定される。

 これで多少揺れても即落馬はしないはずだ。


「イネス、デボラ、行くぞ! OBBだ!」

「「はい!」」


 俺の合図でジネットが足を掛けている手――鐙を同時に持ち上げて、すぐさま下ろす。

 ジネットの足を胴上げのように押し上げて解放した。


「へっ、ひゃう!?」


 急上昇から一瞬の無重力、そして落下。

 俺たち騎馬にがっちりとキャッチされたジネットの体では、上昇と下降、浮力と重力によって大きな変化が起こっていた。

 すなわち!


「おっぱいが、ぼい~んと、バウンド(OBB)したのだ!」

「なにするんですか!?」

「おっぱいぼいんぼいん(OBB)でも可!」

「もう、懺悔してください!」


 騎馬の上でジネットのおっぱいがこれでもかと揺れ動く、暴れ狂う、狂喜乱舞する! いや、乱舞に狂喜する(俺が)。

 そんなOBBを目の当たりにしたルシアは硬直していた。


「さぁ、次はお前の番だ、ルシア!」

「で、出来るかぁ!」

「ジネットほどのバウンドは期待していない。お前の……ぷっ……出来る範囲で……ぷぷ……精々揺らしてみればいーんじゃねーの? ぷふぅー!」

「ギルベルタ! 撤退だ! 一時退却するぞ! えぇい、何をしている! 退くのだ、退けぇー!」


 物凄い勢いでルシアが撤退していった。

 と思ったら、「あ、こいつなら勝てそう」と思ったのかパウラが側面から接近して鉢巻を奪い去っていった。


 な?

 逃げることに夢中になるとそういう隙が生まれるんだよ。


「ジネット。ナイスファイトだ」

「戦ってません!」

「じゃあ、ナイスバウンドだ!」

「懺悔してください!」


 なんにせよ、これでまた敵が減った。

 残っている騎馬はいよいよ少なくなってきた。


「あー! ヤシロ!」


 ルシアを撃破したパウラが俺たちを見つけて声を上げる。

 だから、なんで俺なんだよ?

 上にまたがってるのはジネットだろうが。


 腕まくりをして(半袖なんだけど)接近してくるパウラ。

 辺りはすっかり暗くなり、ある程度近付かなければ誰が誰だか分からなくなってきた頃合いだ。


 当然、視界も悪くなる。


「うふふ~ん! 悪く思わないでね、ジネット! ここで勝てば、黄組は優勝に王手がかかるのよ!」


 もしここで黄組が優勝の300ポイントを取れば3880ポイントとなり、青組が二位の200ポイントをとっても3830ポイントにしかならないのでトップに躍り出ることになるのだ。


 だからこそ。


「……勝たせるわけにはいかない」


 パウラの背後から突然現れたマグダ。

 音もなく忍び寄り、そしてあっという間にパウラの鉢巻を奪取した。


「あぁー!?」

「……悪く思わないでほしい、パウラ。ここで勝たれると黄組の優勝に王手がかかるから、全力で妨害させてもらった」

「も~う! もうちょっとだったのに!」


 尻尾をぶわっと膨らませて、パウラが不機嫌そうに腕を振り回す。

 黄組はあと一騎か……


「マグダ、青組は?」

「まもなく討伐完了」


 マグダが指差した先では、青組の騎馬がリベカ&ソフィー騎馬とマーシャ&ロレッタ騎馬に挟み撃ちに遭っていた。


「お姉ちゃん! 青組最後の騎馬はわしらの手で討ち滅ぼすのじゃ!」

「そうですね、リベカ! 私たちの姉妹愛で敵にトドメを刺しましょう!」

「そうはさせないよ~☆ その騎馬は私たちの獲物だよ☆ ロレッタちゃん、全速力~!」

「行くですよぉ~! しっかり掴まっててです!」


 意気揚々と突っ込んでいく白組の騎馬二組。

 よく見ると、挟み撃ちに遭っている青組の騎馬はトレーシーとネネの組だった。


「きゃっ!? ネ、ネネ! 来ましたよ! なんかいっぱい来ましたよ! 避けなさい!」

「そ、そう言われましても、どちらに逃げればいいのか……!?」

「エステラ様、どうか私をお守りください!」


 騎馬の上で神に、いや、エステラに祈りを捧げるトレーシー。

 その顔が不意に持ち上げられる。


「エステラ様……そう、そうよ。私もエステラ様と同じ、領主――エステラ様のように強く気高くありたい!」


 拳を握り、後輩領主に憧憬の念を抱くトレーシー。

 それでいいのかと思わんではないが、とにかく気合いが入ったらしい。


「ネネ! 速度の速いマーシャギルド長への防御を徹底なさい!」

「かしこまりました!」


 迫りくる白組の騎馬。

 そのうち、ヒューイット姉妹の俊足を脅威だと判断したトレーシーがマーシャたちに向き直る。

 リベカたちに背を向けることになるが、まずは最初の襲撃を確実に回避することにしたようだ。


 だが。


「総()~ん! そのまま、全速前進!」

「へっ!? いいですか?」

「いっけぇ~☆」

「みんな、マーシャさんの言うとおりにするです!」

「「うん! お姉ちゃん!」」


 どぎゅーん! ――と、マンガみたいな速度でマーシャがトレーシーの横を通り過ぎていく。

 すれ違いざま、マーシャがトレーシーに向かって投げキッスを飛ばしていた。


「へ?」

「えっ!?」


 上下に並んでトレーシーとネネがおんなじような顔で異なった声音を漏らす。

 トレーシーは呆気にとられたような、ネネは本能が嫌な予感を感じ取っているような。

 その直後。


「取ったのじゃ!」


 リベカがトレーシーの背後から鉢巻を奪取した。

 あまりの驚きに無理な体勢で体を捻ったトレーシーのサラーシーが……………………弾けろよ!? 空気読めよ!

 ここでもう一回「いりゅぅぅーじょぉぉーーーん!」の流れだろう!?

 なに持ち堪えてんの!?

 え、なに? 「俺、レベルアップして耐久力上がったんすよ」って? やかましいわ!

 いらんいらん、そんな耐久力!

 折角のびっくりハプニング&無理な体勢なのに!

 弾けろよさらし! 飛び出せよイリュージョンバストっ!


「納得出来ん! やり直し!」

「ヤシロさん。めっ」


 つむじをぺこっと押された。

 ジネットにも伝わったらしい、俺が――この会場のすべての男子が何を望んでいたのかが。



 No Illusion No Life!



「はぁ……これだからお約束を守れない無粋者は……くそぅ、運動会の後のカレー食ってる時になんの前触れもなく急にイリュージョンしねぇかな。『えっ!? このタイミングで!?』みたいな」

「怒りますよ」


 つむじがぐりぐりされる。

 どうせ押しつけるならもっと大きくて重量のある膨らみの方がいいんだけどな。

 ……とか言うと騎馬のまま懺悔室に連れて行かれそうだな。

 イネスたちを道連れにするわけにはいかないか。あとでうるさそうだし。


「……ヤシロ。これで青組は全滅。残るは黄組と赤組」

「黄組は誰が残ってるんだ?」

「……ベッコが…………今死んだ」


 マグダの指差す先で、今まさにベッコが騎馬から転げ落ちた。

 落馬したんじゃない。「テメェ、何取られてんだ!?」と騎馬に振り落とされたのだ。……怖ぇ、あの騎馬。どこの連中だよ? あぁいう連中もまだいるんだなぁ。関わらないようにしよう。


「……残るは、赤組の二騎だけ」

「そうか。白組は?」

「……残り四騎」


 ってことは、俺たちとマグダたち、マーシャんとことリベカんとこか。


「バルバラは?」

「……さっき、モリーにやられた。『うわーこわーい』とか、意味不明な戯れ言を宣いながら」


 何やってんだ、あいつは……

 パーシーを前にして舞い上がりやがったな……ったく。


「で、そのモリーは?」

「……デリアに敗れた」


 デリア強ぇなぁ……


「勝てそうか?」

「……平気。マグダは勝つ必要がないから」


 マグダの耳がぴくぴくと動く。


「……ヤシロと店長が生き残っているなら、引き分けでも勝利」


 玉砕覚悟で突っ込んで、最悪相打ちでも白組の勝ちになる。

 デリア相手ならそれくらいの覚悟は必要か。


 とはいえ、「まぁ勝つけども」と顔に書いてあるぞ。

 勝ちたいんだろう。お前の思うようにやればいいさ。


「しかし、よかったな。メドラが不参加で」

「……仕方ない。メドラママを持ち上げられる人類など、数えるほどしかいない」


 今回は狩猟ギルド本店の連中は来てないし、ウェイトレスや乙女が多い黄組じゃ難しいか。

 仮に担げても……メドラの足となって戦場を駆ける覚悟のあるヤツはそうそういないだろうな。


「……では、行ってくる」

「おう。頑張れよ、マグダもウーマロたちも」

「うぉおう!? まさか、ヤシロさんから激励がもらえるとは思ってなかったッス! ちょっと驚いちゃったッス!」

「優しみ~……」

「ちょっ、ヤンボルドさん……気味の悪い薄笑いやめてくれませんか? 冗談なのかどうか分かんないですから」


 冗談に決まってんだろう。

 でなきゃ追放してやるよ、この街からな。


「マグダ、相手はあのデリアだ」

「……うむ。分かっている」


 俺のアドバイスに、マグダは理解しているという表情で頷く。

 そう、気を付けなければいけないことがある。


「グーズーヤをしっかり監視しとけよ」

「……裏切れば、マグダが直々に折檻を与える」

「マグダたんの手を煩わせるようなことがあれば、オイラが社会的に殺してやるッス」

「ちょっとぉ!? みなさん、揃いも揃って怖過ぎですよ!?」

「オレだけは、グーズーヤの、み・か・た☆ むふっ」

「ヤンボルドさんが一番怖いっすわ!」


 デリアにべた惚れなグーズーヤが裏切らないかが心配ではあるが。デリアはそういう工作をしてくるタイプじゃないから大丈夫だろう。

 相手がマーシャとかならかなり危険だったけどな。


「じゃ、頼んだ!」

「……武運を祈っていて」


 マグダたちが駆け出す。

 最後の強敵を討伐するために。


 で、もう一組残った騎馬というのが――


「ぁ……てんとうむしさん、じねっとさん」


 ――ミリィWith生花ギルドのお姉さん方(大きいお姉さんよりかは幼いお姉さんたち)だ。



 騎馬戦後半戦にして、ついに激突する――ジネットVSミリィ!!




 なんてほんわかした対戦カードなんだ!?

 どうすんだ。じゃんけんで勝敗でも決めるのか?

 にらめっこか? ずーっと見てられるぞ、その対戦。


 でもまぁ、もう周りも暗いので。


「ミリィ。降参するなら今のうちだぞ」

「はぅ……で、でも、みりぃが頑張らないと、赤組が……」

「俺はミリィに手荒な真似をしたくないんだ」

「ぅう……で、でも……」


 ミリィとは争えない。

 なので、このように平和裏に勝負を付けてしまおう。


 そんな俺の思惑を邪魔する者がいた。

 そう、オバハン――いや、大きいお姉さんたちだ。


「あら、随分じゃない、ヤシロちゃん?」

「そうよ。あなた、ミリィちゃんの頑張りとか思いやりを無駄にする気なの?」

「がっかりだわ。ヤシロちゃんはミリィちゃんのこと大切にしてくれる人だと思っていたのに!」

「「「ミリィちゃんを困らせたら、私たちが承知しませんからね!」」」


 うわぁ……オバハンども、うるせぇ~。 


「そもそも、どうして店長さんと組んでいるの?」

「そうね。男女の組なんて珍しいわよね」

「いや、お前ら赤組だってイメルダが木こりの騎馬に……」

「彼女は特別! 普通の感性じゃ計れないもの、あのお嬢様」


 はは……オバハン受けはちょっと悪いみたいだな。

 近隣清掃とか出かけそうにないもんな、イメルダは。給仕が全部やるだろうし、仕事と家事を両立しているオバハ……奥様たちには印象が悪いのかもしれないな。

 まぁ、飯でも食いながら二~三言話せばイメージも変わるだろうけどな。

 イメルダのヤツ、全然お嬢様感ないし。


「それでね、ヤシロちゃん。私たちが聞きたいのは、もしヤシロちゃんが赤組だったら、もちろんミリィちゃんと組んだのよね? ――ってことなのよ」

「ぅえぅ!? ぁ、ぁのっ、ぉ姉さん……な、なにを……」

「いいのよ、ミリィちゃん。こういうことはハッキリさせた方が」

「そうよ。ハッキリさせましょう」

「ぁう、ぁの……でも……!」


 ミリィが焦ってこちらにチラチラ視線を寄越してくる。が、そんな目で見られてもだな……


「「「どうなの、ヤシロちゃん! 西側が二つに分かれなかったら、あなたはミリィちゃんと店長さん、どっちと組んでいたの!? どっちを選ぶの!?」」」


 ものっすごい圧力!?

 つかお前ら、『ミリィのため』ぶってるけども、自分らが面白がってるだけじゃねぇか!

 ゴシップはどこの世界でも奥様方の大好物なんだよな、まったく!


「イネス、デボラ! 一時撤退だ!」

「あっ! ダメよ、ヤシロちゃん! 逃がさないわよ!」

「やかましいわ! ジネットもミリィも困ってんだろうが! 勝手に想像して勝手にしゃべってろ! 俺の耳に届かないところでな!」

「あらっ! 勝手に想像していいの? じゃー私はね、やっぱりヤシロちゃんはちょ~っと抜けてる、守ってあげなきゃダメな感じの娘がいいと思うの。だからやっぱり選ぶのは――」

「ごっめーん! やっぱ黙ってくれる!? 翌朝には既成事実化して四十二区中に広まってそうだから!」

「あら、やだ! 四十二区中だなんて!」

「オールブルーム中よねぇ!」

「ねぇ!」

「「「やだもう、おほほほほ!」」」


 オバハンうぜー!


「退くぞ、イネス、デボラ!」

「私も興味あります。コメツキ様は店長さんとミリィさん、もしくは私の誰を選ぶのです?」

「なんで自分入れた!?」

「私も気になります。選ぶのは私でもいいと思いますが」

「デボラ、日が沈んでアホの娘が進行したのか? 発言が支離滅裂だぞ?」

「「シリケツケツ? なんです、急にお尻発言を三回も」」

「お前ら今日一日で随分ポンコツ化しちゃったね!?」


 それぞれの区に帰った後、ちゃんと今までどおりの仕事が出来るのか、ちょっと心配になってきたよ!

 四十二区に来るとみんなどうして残念な仕上がりになっちゃうんだろうなぁ、もう!


「わーが騎士ー!」

「おぉ、リベカ!」

「わしと組んでもいいのじゃぞー!」

「遠いところから会話に参加すんじゃねぇよ! 分かりにくいわ!」


 しかし、いいぞ。

 リベカがこっちに来れば、オバハンの口撃をかわしてさっさと勝負を付けられる。

 ミリィの鉢巻をさっさと奪ってしまえばいい。リベカが。


「リベカ! ミリィを相手に『可愛い対決』だ! ソフィー、後れを取るなよ!」

「リベカの可愛さは無限です! 後れなど取るはずがありません! ……それはそうと、リベカと組もうなどと……精霊神様が許しても私が許しませんからね?」


 分かった分かった。

 組みたいなんて、俺は一言も言ってないから。さっさと勝負を決めてくれ。


「おぬしが、我が永遠のライバルマグダが認めた『四十二区可愛い四天王』の一人、ミリィじゃな!?」

「ぅえええ!? み、みりぃ、そんなの、なった覚ぇなぃょう!?」

「我が永遠のライバルマグダが言っておったのじゃ! 『ミリィは可愛い四天王の中でも五本の指に入る実力者』じゃとな!」

「全員入れちゃうょ!? ってぃうか、一本余っちゃってるょ!?」

「相手にとって不足はないのじゃ! いざ、参るのじゃ!」

「ぅきゃぁああ!?」


 猛然と突進するリベカに、ミリィが身を退いて身構える。

 重心が後ろにずれて、両腕が顔を覆い隠すように持ち上がり、脇ががら空きになる。

 その脇に「すい~っ」と手を入れて「ひょ~い」とミリィを抱き寄せた者がいた。


「わぁ~☆ ミリィちゃん、可愛い~! 一回抱っこしてみたかったんだよねぇ~☆」


 マーシャだ。

 いつの間にかミリィの背後に接近していて、さっくりとミリィを強奪していった。


「ぬゎああ! 海漁のギルド長よ! 可愛い対決の邪魔をしてはいかんのじゃ!」

「あは、ごめ~ん☆ だって、隙だらけで可愛かったんだも~ん☆」

「ぁ、ぁの……この場合、みりぃ……どぅ、なる……の?」

「騎馬から離れたから、落馬扱いで失格――だよな、審判」


 競技中は審判役の給仕がグラウンドのあちらこちらに配置されている。

 その内の一人に確認を取ると、「はい」と短い肯定の返事をくれた。


 これで、残すはデリア一人!


「よぉし! 我が永遠のライバルマグダの助太刀に向かうのじゃ!」

「あ~、それ、無理っぽいよ~☆」


 マーシャが指差した先では、夕闇の中でもハッキリと分かるような激戦が繰り広げられていた。


「だりゃりゃりゃりゃりゃ!」

「……動きが単調。それではマグダを攻略することは出来ない。……攻撃とはこうするものっ」

「甘ぇ! こっちだって、お前の手筋は見えてんだぜ!」


 顔と顔がくっつけられそうなくらいの超至近距離で向かい合い、絶え間なく攻防を続けるマグダとデリア。

 上半身を左右前後に動かして相手の攻撃をかわし、カウンターを叩き込み合っている。

 その尋常ならざる動きの振動と反動はすべてそれを支える騎馬に伝わり、激しい攻防を繰り広げる上の二人よりも騎馬たちの方が疲労困憊している。


「お、親方……もうちょっとソフトに……」

「しゃべりかけんな! あとフラつくな、狙いが逸れる!」

「「「……(し、死ぬかもしれない)」」」


 なぜだろう。

 オメロたち川漁ギルド騎馬の心の声がハッキリと聞こえた気がした。


「ははは! 面白いなぁ、マグダ! いつまでも戦っていたいくらいだ! お前もそうだろう!?」

「……確かに。けれど」


 デリア渾身の突きを、上体を逸らしてかわしたマグダ。

 すぐに起き上がって反撃かと思われたが――


「……これは、チーム戦」


 マグダはデリアの目の前で思いっきり柏手を打ち鳴らした。

 ネコだましだ!


「うわっ、なんだよ!?」

「……ウーマロ」

「合点ッス!」


 一瞬、デリアが身を引いた隙に、マグダではなくウーマロが行動を起こす。


「家でも倉でも、土台っていうのは最も重要な役割を果たしているんッス。それは騎馬も同じッス!」


 ウーマロを先頭とした騎馬が、大きく一歩踏み出す。


「こういう三点で支える構造の時は、ここを崩してやれば――」


 そう言って、オメロの脇腹に体を寄せてオメロの足を払う。

 重心が乗っていない方の足を、重心が移動したほんの一瞬の内に「スパーン!」と軽やかに蹴り飛ばす。


「ぇ……っ!?」


 激しい当たりならオメロも腹を据えて踏ん張れただろう。

 けれど、今のはきっとオメロ自身触れられたことすら分からなかったんじゃないだろうか。そんなさりげなくも的確な一撃だった。

 ジェンガとかやらせたらきっと驚異的に上手いんだろうな、ウーマロのヤツ。「えっ、そんなとこ取れんの!?」みたいなヤツを難なく引き抜いてしまうに違いない。


 ウーマロの目に掛かれば、その『建造物』のどこにどれだけの力が掛かっているのか、どこに遊びがあるのかが一目瞭然なのだ。


 まるで微風が吹き抜けていくようにオメロの足は払われて、支えを失ったオメロが横倒しになる。

 三点で支えていた騎馬の一点が崩れ、なし崩し的に騎馬が崩壊する。

 後ろに重心をずらしていたデリアが、前側へ傾いた騎馬の上から転がり落ちていく。


「……え?」


 デリアが漏らしたのはそんな一音だけで、音もなく静かに勝負は付いた。


 ずでーん。

「いってぇ! コケた! アデデダダダ! 親方、顔! 顔踏んでます! オレの顔!」

 なんてデリアの足下で騒がしくするオメロを除けば、とても静かな幕切れだった。


「あれ……? あたい、負けたのか?」


 状況が飲み込めないデリア。

 しかし、デリアはしっかりと両の足を地面についている。まぁ、片方の足はオメロの顔を踏んでいるわけだけれども。


「……デリアが負けたのではない。マグダたちのチームが勝利しただけ」

「チーム……あっ! テメェ、オメロ!」

「いやいやいや! 待って待って待って! 違うんですよ、親方! オレにも何が起こったのかさっぱりで!?」

「ん~……ったく」


 ちらりとウーマロを見て、デリアが髪を掻き毟る。


「ウーマロが相手じゃ、しょうがねぇか」


 言って、オメロの腕を掴んで助け起こしてやった。

 肩に付いた土埃を払ってやり、そして頬に付いた靴の跡に目を留める。


「オメロ、なんか顔に靴の跡付いてるぞ?」

「ですからそれは……いえ、なんでもないです」

「ん?」


 きょとんとした顔をしているデリア。まるで自覚がないようだ。


「しょうがねぇな、お前は。いつまでも子供みたいなんだからよぉ」


 とか言いながら、拳の甲でオメロの頬に付いた靴の跡をごしごし拭ってやる。

 なんだかんだと面倒見のいい姉御肌である。

 まぁ、オメロの方は拳が顔に近付いてきて『寿命が三年縮む!?』みたいな顔してたけども。


「あっ、んじゃあ騎馬戦は――」


 デリアが気付いて振り向いた時、給仕が腕を上げて終了を宣言した。


「騎馬戦、そこまでです! 勝者は、白組!」



 わぁっと、白組応援席が盛り上がる。他のチームを差し置いて。

 棒引きの時とは真逆の光景だ。



「……なるほどね。これがヤシロの狙いだったのか」



 そんなエステラの呟きが聞こえた。

 俺と同じく、エステラの声を耳にした者たちが、エステラの見つめる先――得点ボードへと視線を向けて息を飲む。


 騎馬戦の得点が加算された合計得点がそこには表示されていて……




 青組:3680ポイント

 黄組:3680ポイント

 白組:3680ポイント

 赤組:3680ポイント




 全チームがまったくの同点で、最終競技を迎えることとなった。







あとがき




いつもありがとうございます。

宮地です。


今回はちょっと長めでした。

やはり登場人物が多いと長くなります。


その弊害をモロに喰らったのが……ニッカ&カール。


描写がまるっと、一切合切、根掘り葉掘りカットとなりました。

いや、根掘り葉掘りは違いますか。

えっと、大も小も隅から隅まで全部ひっくるめて、みたいな意味なので……



谷間も膨らみもカットとなりました!



そんなわけなので、

せめて谷間の描写だけでもしてあげないとと、思いまして


では、騎馬に跨っていたニッカの谷間を、どうぞ!



むっぎゅ~ん♪



あぁ、向かいの席で枝豆食べようとしてサヤを押したら勢いよく飛んでっちゃって

すぽって谷間に飛び込んでいっちゃった枝豆を人差し指で掘り起こしたい!


「あぁ、大丈夫大丈夫。自分で取るから、ニッカはそのままで」


みたいな!(拳『ぐっ!』)

あ、ちなみに、

ニッカはEカップです!


う~ん、いい……実にいい(Eだけに)



……はっ!?

いつの間にか警視庁に包囲されている!?

おかしい……GW中は警察も休んでいると思ったのに……え? GWってもう終わってるんですか?

いっけね、うっかりしてた☆ もう、私ってばおっちょこちょいさん☆ ぽかり、てへ★


というわけで、ニッカたちの活躍を見てみましょう、

じっくりと、ねっとりと……




ニッカ「ひぅっぐ!?(『背筋ぞわぞわ!』)」

カール「どうしたダゾ、ニッカ?」

ニッカ「いや……なんか今、粘っこい視線を感じたデスヨ……」

カール「先輩方、まさか!?」

カブリエル「バカヤロウ! 後輩の嫁をそんな目で見るか!」

マルクス「そうだぞ、カール! もっと先輩を信用しろ」

カール「でも……」

ニッカ「カール、もういいデスヨ。私の勘違いだったかもデスカラ」

カール「そ、そうか……なら、いいんダけど……」

ニッカ「カールはいつも優しいデスネ」

カール「当たり前ダゾ! ニッカはオレのすべてダゾ! オレの人生そのものなんダゾ!」

ニッカ「カール……私も、そうデス……ヨ(ぽっ)」

カール「ニッカ!? 大好きダ……ぃででででで! 痛いダゾォ!」

カブリエル「なぁ、マルクス」(カールの肩を「ぎゅうう」)

マルクス「なんですか、カブさん?」(同じく「ぎゅうう」)

カブリエル「今、目の前でイチャつかれたか?」

マルクス「イチャつかれましたねぇ、確実に」

カブリエル「じゃあ、カールの肩に置いてるこの手を」

マルクス「えぇ、全力で握ってやりましょう、えい」(肩に置いてる手「ぎゅぅぅううう!」)

カール「いっだぁぁあああいダゾォ!」

ニッカ「ちょっ、カールっ、暴れると危な……ぅきゃあ!?(ニッカ、騎馬の上から『ころ~ん』、間一髪のところで羽『ばさぁ』)」

給仕「競技中の飛翔は落馬とみなします。ニッカさん、失格です」

ニッカ「えぇええ!? もう! カールが暴れるからデスヨ!」

カール「違うダゾ! 先輩方が無茶するからダゾ!」

カブ&マル「「お前がイチャつくのが悪い」」

ニッカ「ほら! やっぱりカールのせいデスネ!」

カール「えぇえええ!?」


――離れた場所


ヤシロ「おぉ……羽をバタつかせる時って、やっぱり胸筋動くんだな! Eカップがぷるぷるしてたぞ!」

イネス「コメツキ様、さっきから見過ぎでは?」

デボラ「胸元に視線が釘付けでしたよ」

ヤシロ「いやぁ、さすがに一日運動し続けてるだけあって、みんな汗かいてんだなぁ。体操服が張りついて谷間が薄っすら浮かんでてさぁ、うっかり挟まっちまったんだよ。テヘッ★」

ジネット「もう、ヤシロさん。懺悔してください」



――というわけで、ヤシロのせいでニッカのチームは失格になったのでした。

……ヤシロ、本当に勝つ気があるのでしょうか?



それはそうと、

体操服って谷間とは無縁の衣類なんですよねぇ。

相当引っ張らないと見えないですし……たぶん、モコカの体操服は首周りだるんだるんになってますね。


ちなみに体操服は白地に、首と袖が紺色またはえんじ色になっているタイプが好きです。

真っ白よりも可愛らしい。

今で言うところの……差し色? みたいな。

ただ、もうちょっと個性を尊重して

胸もとがザックリと開いたVネックの……おっと、あとがきの最初で包囲されていたのを忘れていました。発言には気を付けましょう、そうしましょう。


立派な大人という印象を与えて、早々にお引き取り願わなければ……

けど、一体どうすれば……立派な大人…………そうだ! 子供たちにも保護者にも人気があった小学校の校長先生の言葉を借りましょう!

校長先生は人徳者で、信望も厚く、何よりも子供たちの味方でした。

あの人の言葉を借りれば、きっと立派な大人だと思っていただけるに相違ありません!

では、私が覚えている中で「あぁ、この人いい人だなぁ」と思った明言を――




子供たちの成長を見守ることが、私の幸せなんです。




あっれぇ!?

おかしい! 私が言うとなんか意味が違って聞こえる不・思・議♪


ぅおぉうっと!? 突入命令が出ましたね!?

仕方ありません、では今回はこの辺で!



次回もよろしくお願いいたします。

宮地拓海

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