表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロー!! 暗黒の一族…  作者: masahiro taxi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/50

第43話:壊滅の白銀、狂気の将

第43話:壊滅の白銀、狂気の将

1. 20万の包囲網と最短至近の抵抗

東京の夜空を完全に埋め尽くした、20万のエンジェルの大群。それはもはや個々の生命体ではなく、月島全体を物理的に押し潰そうとする白銀の壁だった。

クローたちの超人的なゲリラ戦術をもってしても、その圧倒的な「数」の前には、徐々に逃げ道を塞がれ包囲網が狭まっていく。

「ふざけるな……! 湧き出てきすぎだ!」

月島で合流したアジア圏の男性クローが、ビルの屋上で荒い息を吐きながら叫んだ。

彼の戦闘スタイルは、生前に叩き込んだジークンドーをベースにした、恐るべき密着格闘術。独特の構えから放たれる一撃一撃には、一切の予備動作がない。

襲いかかるエンジェルの攻撃を紙一重でかわすと同時に、最短軌道から目にも留まらぬスピードの「ストレート・リード(直突き)」を敵の顔面に突き刺す。さらに、敵が動く瞬間の出鼻を捉える痛烈な迎撃インターセプトのサイドキックを叩き込み、群がるエンジェルたちを次々と打撃の衝撃波で粉砕し、光の粒子へと変えていく。

無駄を極限まで削ぎ落とした流れるような連撃は、まさに「水のよう」であり、近づく者すべてを肉体の檻で迎撃していく。

しかし、十体を屠れば百体、百体を消し去れば千体が、その背後の空間を即座に埋める。彼の容赦なき最短の一撃をもってしても、底なしの濁流を押し留めることはできず、肉体的な疲労が確実にその神速の拳を鈍らせ始めていた。

2. 貪り食われる悪魔、10数体の大天使

地上の地獄は、さらにその濃度を増していた。

あれほど人間社会を裏から支配し、傲慢に振る舞っていたデーモンたちが、今や完全に獲物えさと化していた。四方八方から押し寄せるエンジェルの群れに組み伏せられ、肉を引きちぎられ、文字通り貪り食われていく。異形の悲鳴が月島の路地に響き渡るが、世界のシステム(掃除屋)は一切の手加減をしない。

だが、真の絶望は数だけではなかった。

「……チッ、冗談だろ」

周囲を警戒していた湊が、上空の気配に戦慄した。

20万の軍勢。その中に、前話で覚醒した個体と同等、あるいはそれ以上の神聖な圧迫感を放つ個体が、初めから10数人もアークエンジェル(大天使)として君臨していたのだ。四枚の光翼を羽ばたかせ、冷徹な目で戦場を見下ろす10数体の大天使たち。そのうちの一体が、凄まじい速度で凪を目がけて急降下した。

「湊! 余計な心配をするな!」

凪が叫ぶ。

凪は漆黒の翼を最大に広げ、襲いかかるアークエンジェルとの凄絶な一騎打ちに突入した。音速を超える爪と光の剣が激突し、周囲のビルのコンクリートが衝撃波で粉々に砕け散る。

3. 陰から這い出る狂気

「兄貴……!」

凪がアークエンジェルを相手に、かつてないほどの死闘を繰り広げている。湊はすぐさま凪の加勢に入ろうと、地面を強く蹴り上げようとした。

――その瞬間。

ビルの影、街灯も届かない暗がりから、ぞっとするような「悍ましい殺気」が立ち上った。

「どこへ行く、カラスの出来損ないが」

低く、押し殺したような声。

ビルの物陰からゆっくりと姿を現したのは、スーツを血で赤黒く染め上げた男――自衛隊の中将だった。

だが、その姿は異常だった。

彼の顔や衣服に浴びせられているのは、デーモンの青黒い血ではない。エンジェルたちを自らの手で幾度も屠り、その肉体を内側から引き裂いてきた証。何度も何度も浴びた、エンジェルの白銀に輝く返り血が、中将の全身でドロドロと不気味な光を放っていた。

「エンジェルどもを食らうのは、何も上の奴らだけではないのだよ」

中将の瞳が、狂気でギラりと濁る。デーモンとしての生理的な嫌悪と、クローを根絶やしにできるという狂おしいほどの疼き。そのすべてを乗せた中将の視線が、湊の身体を完全に縫い止めた。

凪を助けに行くことは叶わない。

20万の軍勢が渦巻く極限の戦場で、湊の前に、最悪の宿敵が立ち塞がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ