第84話:『魔王バラド様の故郷へ里帰りしたら、自称・新魔王がマウント暴政を敷いていたので、極上味噌煮込みうどんで国ごと胃袋からハッキングしてやりました』
皆様、いつも本当にありがとうございます!
超魔導帝国の中央広場で、平民から暴利を貪っていたガルフレッドを「特盛・大海老天ぷらうどん」の圧倒的な茹でたて・揚げたてオペレーションで完全ざまぁした前話、たくさんの「お出汁の科学強すぎw」という応援をいただき大感激です!
本日は、ワゴンの通信機に入った緊急シグナルを追い、時空を越えて魔王バラド様の故郷である『旧・魔王領』へとジャンプ!
そこでは、バラド様がうどんの修行(?)で店を任せている間に、力だけが自慢の「自称・新魔王」が実権を握り、魔族の民たちに不味くて硬い生肉を強制する拷問のようなマウント暴政を行っていました。
帰ってきた本物の魔王のリアル威圧と、職人聖女のグツグツと煮え立つ「ネオサヌキ風・特製味噌煮込みうどん」の段取りが、魔族の常識を上書きする!?
故郷ざまぁ無双、いってみましょう!
「――ガハハハ! 軟弱な前魔王バラドが人間界のうどん屋とやらに魂を売り、エプロンなどという破廉恥な布を纏って逃げ出して久しい! 今日からはこの最強の破壊力を持つ我が新魔王『ゾルバ』こそが、この魔王領の絶対の理だ!」
ドス黒い火山岩に囲まれた、旧魔王領の首都・謁見の間。
トゲトゲの巨大な鎧を纏い、威張り散らしているのは、筋肉だけが自慢の自称・新魔王、ゾルバだった。
彼の足元には、ガリガリに痩せ細った魔族の民たちが怯えながら平伏し、目の前に差し出された「血の滴る、野生の不味くて硬い魔獣の生肉」を無理やり口に押し込まれている。
「おい、ゾルバと言ったか。我が留守の間に、ずいぶんと安いマウント(暴政)を敷いてくれたようだな」
重厚なドアがバシィィィン!と両開きに吹き飛び、謁見の間に、かつてないほどに冷徹で、大地そのものを凍りつかせるような圧倒的な『本物の魔王のオーラ』が濁流のように流れ込んだ。
「な、何だと……っ!? ば、バラド……!? なぜ貴様がここに……いや、その格好は一体何なのだ!?」
ゾルバが目を剥いて驚いたのも無理はない。
現れた魔王バラドは、全身から世界を滅ぼしかねない暗黒魔力を放出していながら、その身にはしっかりとサテライトキッチンの『新ロゴ入りエプロン』を着用し、両手には特大の土鍋をしっかりと抱えていたからだ。
「ちょっと、そこのトゲトゲ筋肉おじさん」
バラドの横から、コーラを持ったシン君が顔を出し、サイバーゴーグルをピコピコと光らせて冷淡に鼻で笑った。
「さっきから君の領地管理データ(ログ)をスキャンしてるんだけどさ……。魔族は頑丈だからって、味付けも調理もしてない野生の生肉ばかり強制して、民の精神的バイタルを著しく低下させてるよね。これ、組織のエンゲージメントが完全に崩壊してる、ただのブラック企業データだよ」
「おのれぇ……っ! わけのわからぬガキまで連れてきおって! 魔族は強靭なる肉体と血の渇きこそがすべて! 料理などという生温かい人間の文化に染まったバラドなど、もはや魔王の資格なし! 兵士ども、この不届き者たちを肉片に――」
「肉片にする前に、この土鍋の段取り(システム)を味わってみなさい!」
私はワゴンのスライドドアから一歩前に踏み出し、新ロゴのエプロンをきゅっと締め直して、湯切りテボをパシッと鳴らした。
「自称・新魔王さん! あなたが筋肉と恐怖だけで縛り付けたこの国を、私たちの『極上味噌煮込みオペレーション』で完全に胃袋からハッキングさせていただきます!」
今作る料理は、魔族たちの野生の闘争本能を極上の旨味へと昇華させる、グツグツと沸き立つ『特製・魔導八丁味噌煮込みうどん』。
最高級魔導天日塩で通常の3倍のコシ(弾力)を持たせた太い純白麺を、下茹でせずに、旨味が凝縮された濃厚なスープの中へダイレクトに投入する。
スープのベースは、伊吹島産のいりこと本枯れ節の濃厚な一番出汁に、コクと渋みが絶妙な『特製魔導八丁味噌』をたっぷりと溶かし込んだもの。そこへ、魔王バラドが地元でハッキング(調達)してきた最高級魔獣の地鶏肉、肉厚の椎茸、油揚げ、そして仕上げに新鮮な卵黄を落とし、熱効率4000%の超魔導火力で土鍋ごと一気にグツグツと煮上げる!
「セシリア様、土鍋の蓋を外す段取りをお願いします!」
「はい、れいな様! 皆様、本物の魔王の味をご堪能あれい!」
パカッと蓋を開けた瞬間、火山地帯の不快な硫黄の臭いを一瞬で消し去る、濃厚な味噌とお出汁の香ばしい湯気が、謁見の間全体へ大爆発するようにデリバリーされた。
香りを嗅いだ魔族の民たちが、野生の本能を刺激され、よだれを滝のように流して土鍋の前に殺到した。
「ズズッ! ズババババッ!」
「……っ!? な、何だこの濃厚な旨味の暴力は……っ! 噛んでも噛んでも跳ね返してくるこの極太麺の凶悪なまでのコシ! そしてこの熱々で濃厚な味噌が、冷え切っていた我が魔族の血を熱く燃え上がらせていくぞ……!」
最初の一人が叫んだ。
そう、ネオサヌキの味噌煮込みうどんは、強靭な咀嚼力を持つ魔族にとって、これ以上ないほどに噛み応えがあり、心から満足できる「究極のガテン系フード」だったのだ!
生肉を齧るだけだった魔族たちが、涙を流して「美味すぎる!」「これが本物の王の段取りだ!」と、次々に丼(土鍋)を空っぽにしていく。彼らのバイタルデータは、一瞬で「恐怖」から「幸福度100%」へと上書き(ハッキング)されていく。
「ば、バカな……っ!? なぜただの煮込み麺ごときに、我が恐怖による統治が、1ミリの抵抗もできず国ごと完全自滅するのだーーーっ!?」
ゾルバは、自分の生肉を落とし、本物の魔王バラドの圧倒的なリアル威圧の前に、腰を抜かしてその場にドナドナと崩れ落ちるのだった。
「フハハハ! ゾルバよ、統治とは力で押さえつけることではない。民の胃袋を完璧に掴むことだ」
バラドが腕を組んで、エプロンをなびかせながら傲然と言い放った。
「我が主のお出汁の前には、魔族も人間も関係なく全面降伏する。お前のような脳まで筋肉のトゲトゲ野郎など、この圧倒的な『茹でたて・煮込みたて』の前には、ただの不合理なデータに過ぎんのだ!」
こうして、かつての故郷すらもお出汁の段取りで完全制圧(里帰り大成功)したサテライトワゴン。
多次元移動販売カーの進撃は、種族の壁すらもハッキングし、誰も追いつけない次なる時空のオペレーションへと向けて、その大釜をさらに熱く boiling(沸騰)させるのだった。
第84話をお読みいただきありがとうございました!
バラド様の故郷・旧魔王領に殴り込みをかけたサテライトワゴン、マウント暴政を敷いていたゾルバを「特製・魔導八丁味噌煮込みうどん」の圧倒的なコシと濃厚な旨味の段取りで完全ざまぁ(救済)いたしました!(大爆笑)
魔王バラド様のエプロン姿での王の説教、最高にキマってましたね!
第85話!
魔王領の全魔族を胃袋から救済し、ついに「魔王領総本店」のフランチャイズ化まで決定したれいな店長。
さあ次の時空へ……とワゴンのアクセルを踏んだ瞬間、なんと時空の歪みから、すべての次元の始まりの場所である『創世の神域』へと吸い込まれてしまい……!?
そこでは、この物語を裏で操作していた(?)プライドが全宇宙サイズの『運命の女神』様が、我がサテライトキッチンの存在を「世界のシナリオ(データ)を狂わせるバグ」として、世界ごと強制デリートしようと待ち構えていて――!?
ついに物語は最終決戦の段取りへ!? 世界のシステムを書き換える究極のお出汁ハッキングが始まって――!?
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