第66話:『独占契約に失敗した隣国の豪商が、今度は「帝国の皇室にうどんを届けてくれ」と親善大使のオファーを持ってきました』
皆様、いつも本当にありがとうございます!
隣国の天才ギルドマスター(笑)ことフェルナンドが、一瞬でただの「きつねうどんファン」になった前話、たくさんの笑いをいただき嬉しいです。
本日は、お出汁の美味さとこちらの規格外の技術を前に完全に降伏した彼が、
なんと自分の国――ローム帝国の「皇室」へうどんを献上してほしいと頭を下げてきます。
ついにサテライトキッチンの味が、国境を越えて歴史を動かす大舞台へ!?
お出汁の親善外交、いってみましょう!
「……な、なんだこの、油揚げという食材から溢れ出る全能の全汁は……っ! 甘みと、お出汁の旨味が完全に調和して、脳の処理能力が追いつかん……!」
サテライトキッチンのカウンター席で、フェルナンドはもはや二重帳簿をハッキングされたショックすら忘れた様子で、一心不乱にきつねうどんを啜っていた。
さっきまでの傲慢なエリートの面影はどこへやら、丼を抱える手は小さく震え、目には感動の涙すら浮かんでいる。
「ふふ、気に入ってもらえてよかったです。うちのきつねは、特製のお出汁をじっくり吸わせているからジューシーなんですよ」
私が笑顔で冷たいお茶を差し出すと、彼はスープまで一滴残らず飲み干し、ふぅ、と深く息を吐いて姿勢を正した。
「参った。完敗だ、聖女れいな殿……。この味、そして君たちの持つ『未来の物流』を敵に回すなど、商人の直感が全力で拒絶している。……そこで、独占契約とは別に、私から新たな『ビジネス』を提案させてほしい」
フェルナンドは、今度は脅しでも駆け引きでもなく、真摯な目で私を見つめてきた。
「我がローム帝国の現皇帝陛下は、近年、ひどい食欲不振に悩まされているのだ。宮廷料理人がいかなる山海の珍味を尽くしても、箸が進まないらしくてね。だが……この『うどん』ならば、必ずや陛下の胃袋を満たし、健康を取り戻せる確信がある」
「皇帝陛下の食欲不振、ですか」
カウンターの横から、セシリア王女が「まあ! ローム帝国の皇帝陛下といえば、我が国とも国境を接する超大国の主……。もしその方をうどんで救うことができれば、両国の歴史的な和解すら夢ではありませんわ!」と、目を輝かせて身を乗り出してきた。
「ああ。もし引き受けてくれるなら、我がマルコ貿易商会の全権をもって、君たちを『帝国皇室公認の食の親善大使』として招待しよう。もちろん、あの王宮騎士団を救ったという『1万人同時着丼の超デリバリーシステム』を、帝国の宮廷でも再現してもらうことが条件だが……どうだろうか?」
フェルナンドの提案に、厨房の奥で新ロゴのエプロンをはためかせた魔王バラドが、不敵に口元を歪めた。
「ほう、今度は帝国の頂点に、我が主のお出汁をハッキングしに行くわけか。面白い。我が軍のワイバーン部隊、いつでも国境を越える準備はできているぞ」
「ボクの空間魔法の転送座標も、隣国までなら一瞬でリンクできるよ。ネオサヌキのドローン物流を帝国の宮廷に直結させるなんて、最高にクレイジーなインフラ構築だね」
シン君もホログラム端末を弄りながら、楽しそうに笑っている。
世界のインフラを握りつつある仲間たちが、早くもノリノリだ。
「分かりました、フェルナンドさん。そのオファー、お受けします。大国の皇帝陛下だろうと誰だろうと、お腹が空いているなら、最高の茹でたてを届けるのが職人の段取りですから!」
私が力強く宣言すると、フェルナンドは救われたような表情で深く深く頭を下げた。
こうして、聖女れいなのサテライトキッチンは、ついに国境を越えた歴史的大舞台――「帝国皇室ケータリング編」へと、その圧倒的なお出汁の舵を切るのだった。
第66話をお読みいただきありがとうございました!
フェルナンドのまさかの手のひら返しから、物語は一気に「帝国皇室のケータリング」という国家最高のステージへ!
食欲不振の皇帝陛下を、レイナ店長の完璧な段取りとうどんがどう救うのか、今から釜を沸かしてワクワクが止まりません!
第67話!
ついにローム帝国の宮廷へと足を踏み入れたれいなたち。
しかし、そこには異世界の聖女を「ただの麺売りの田舎娘」と見下す、プライドの高い帝国の「宮廷料理長」が待ち受けていて――!?
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