第64話:『王宮騎士団から「1万人分のうどん」という超大口ケータリングが入りましたが、プロの段取り(オペレーション)の前には余裕でした』
皆様、いつも本当にありがとうございます!
悪徳貴族を潰した結果、王宮騎士団長からまさかの「1万人分のケータリング」を直訴された前話、たくさんの応援をいただき大感激です!
明日の正午までに1万人分のうどんを、しかも全員に「茹でたて」で提供する。
常識外れの超難題ですが、前世の現場で鍛え上げた聖女れいなの『完璧な段取り(オペレーション)』が火を噴きます!
未来のドローン物流と魔王軍の空輸が完全シンクロする、前代未聞の大量調理無双、いってみましょう!
「おい、本当に明日までに1万人分も作れるのか……?」
王宮騎士団長のアルトリアさんが、厨房のホワイトボードにびっしりと書き込まれた『タイムスケジュール工程表』を見上げながら、ガタガタと甲冑を鳴らして震えていた。
無理もない。異世界の料理といえば、大鍋でスープを煮込むか、肉を焼くくらいだ。
一度に1万人分、しかもコシが命の「茹でたてうどん」を同時に提供するなんて、この世界の人間からすれば神の奇跡に等しい。
「大丈夫ですよ。要は、徹底した『段取り』と『タイムラインの逆算』です」
私はテボを片手に、厨房のメンバーへ次々と指示を飛ばした。
「まず、セシリア様! 王宮の調理場を借りて、1万個の木桶と箸のセッティング、そしてネギと生姜の薬味の切り出しを騎士団の手空きメンバー全員で回させてください。ライン作業です。1人1秒の遅れも許されません!」
「は、はいっ! 職人のプライドにかけて、完璧なラインを構築いたしますわ!」
「魔王様! ネオサヌキから届く大量の小麦粉と出汁の原料を、魔王軍のワイバーン部隊で王宮の裏庭へピストン輸送してください。空路の確保をお願いします」
「ふっ、我が飛行部隊の機動力、うどんのために全開で使ってくれよう」
「そしてシン君、一番の要だよ。王宮の広場に、ネオサヌキの大火力魔導コンロを50台並べて、一斉に湯を沸かす。麺を茹で上げるタイミングに合わせて、君の空間魔法で王宮騎士団の各連隊のテーブルへ『茹でたて』を一瞬で転送して!」
「了解、店長。ボクの並列演算なら、1万杯の同時空間転送なんて、1秒もかからないよ」
前世のケータリング現場で、何千人ものイベント食を秒単位のスケジュールで回してきた経験が、今、異世界のチート能力と完全に噛み合っていく。
◇
そして翌朝、正午。
「……全ライン、茹で上げまであと30秒! シン君、転送スタンバイ!」
「いつでもいけるよ、店長」
グラグラと猛烈に沸き立つ50台の大釜から、一斉に純白のうどんが引き上げられる。冷水で一瞬にして締められ、黄金の出汁が注がれた瞬間、シン君の空間魔法が発動した。
シュンシュンシュンシュン音を立てて、1万杯のうどんが王宮広場を埋め尽くす騎士たちの目の前へ、一糸乱れぬ美しさで『着丼』していく。
「な、なんだこれは……!? 湯気が立っているぞ……!?」
「美味い……! なんだこのモチモチとしたコシは! 出汁の旨味が五臓六腑に染み渡る……!」
「昨日まで不眠不休で演習をしていた疲れが、一瞬で吹き飛んでいくようだ……!」
1万人の騎士たちが、一斉にうどんを啜る「ズズズズッ!」という凄まじい音が、王宮中に地鳴りのように響き渡る。
「信じられん……。本当に、1万人の兵が同時に、これほど見事な温食にありつけるとは……」
アルトリア団長が、丼を抱えたまま感動のあまり涙を流していた。
「これが、うどん屋の『オペレーション』です」
私が胸を張って微笑むと、騎士たちからは地を揺るがすような大歓声と、我が店への圧倒的な感謝の拍手が巻き起こるのだった。
第64話をお読みいただきありがとうございました!
聖女れいなの本気の段取り無双、1万人分のケータリングが大成功に終わりました!
国家の胃袋を完全に掴んだ我が店、もう誰も手出しはできません(笑)。
第65話!
1万人ケータリングの噂は瞬く間に隣国へ。
うどんの美味さと、それを支える『未知の物流システム』に目をつけた隣国の「貿易商会の若きギルドマスター」が、サテライトキッチンに独占契約を迫りにやってきて――!?
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