第58話:『メガコーポの超ハイテク装甲車が攻めてきました。……ちょうどいい高熱レーザーだし、サクサクの「天ぷら」のフライヤーにさせてもらいますね』
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本日は、シェアを奪われて怒り狂った食品メガコーポの私設軍隊が襲来。
レーザーを放つ最新鋭のハイテク装甲車がキッチンを囲みます。
ですが、プロの職人から見れば、その高熱兵器は「最高性能のフライヤー」にしか見えないわけで……?
揚げたてのコシマシマシでお届けします!
『全車、突撃! 異次元のバグ店舗を、分子レベルで焼き尽くせ!』
ネオサヌキの夜を切り裂いて、メガコーポ『ネオ・フード・インダストリー』の私設軍隊がサテライトキッチンを完全に包囲した。
並ぶのは、最新鋭の熱線レーザー砲を搭載した巨大な近未来型装甲車、通称『ギガ・フライヤー型戦闘車両』だ。
いや、フライヤーって名前、完全にうちの店のためにあるようなものでしょ。
「ターゲットロック! プラズマ熱線、照射――ッ!!」
バリバリバリ大気があらゆる熱で歪み、超高熱の180℃を超えるレーザー光線が一斉にキッチンへ向かって放たれた。普通の建物なら一瞬でドロドロに溶ける一撃。
だが、私の隣に立つシン君が、冷淡に指をパチンと鳴らした。
「『空間湾曲・油層展開』」
「な、何だと……!?」
次の瞬間、放たれた高熱レーザーは、キッチンの手前でシン君が展開した『不可視の魔法障壁』によって綺麗に屈折。
あろうことか、私がセシリア王女と一緒に並べた、1万個の特大天ぷら鍋の「油」の真下へとピンポイントで誘導されたのだ。
ボォォォォォッ!!!
「わぁ、凄い! メガコーポさんのレーザー、火力が一定でめちゃくちゃ安定してる! これなら油の温度を天ぷらに最適な『180℃』に完璧にキープできるわ!」
私は温度計を見ながら歓声を上げた。
「店長、食材の準備もバッチリだよ」
シン君が空間魔法で、隣国から直送された最高級の『大砂漠の特大エビ』と、魔界の『大樹の極上舞茸』を一瞬で衣にくぐらせて私の前に並べる。
天ぷらの命は、衣の水分を一気に飛ばしてサクサクに仕上げること。そのためには、このメガコーポさんが提供してくれた「超高熱のレーザーエネルギー」が、まさに最高にして最高の熱源だった。
「セシリア様、魔王様、揚がったものからどんどん引き上げて!」
「任せなさい! このサクサクの衣、芸術的だわ!」
「ククク、我が魔力で油切りも完璧に行ってやろう!」
シュワァァァァァァッ!!!
小気味よい油の音がサイバー都市の戦場に響き渡る。
放たれるレーザーの熱を100%利用して、次々と黄金色に揚がっていく特大のエビ天や舞茸天。その香ばしい香りが、今度は戦場の兵士たちの鼻腔を直撃した。
「……おい、なんだこの美味そうな匂いは」
「俺たちは街を焼きに来たはずじゃ……なぜ腹が鳴るんだ……!?」
レーザーの出力を上げれば上げるほど、天ぷらが美味しく大量に揚がっていくという地獄の永久機関。
パニックになるメガコーポの指揮官を余所に、私は揚げたてのサクサク天ぷらを、冷水で締めた極上のうどんの上へと豪快に盛り付けた。
「はい! 特製『メガコーポ熱線揚げ・大海老天ぶっかけうどん』、お待ちどうさま!」
戦意を完全に喪失し、コクピットからよだれを垂らして降りてきた兵士たちに、私たちは次々と出来たてをデリバリーしていく。
私設軍隊すらも「天ぷらうどん」の圧倒的なクオリティで買収され、メガコーポの誇る最新鋭兵器は、ただの「自動うどん調理補助マシーン」へと成り下がったのだった。
第58話をお読みいただきありがとうございました!
メガコーポの最新鋭レーザー、天ぷらを揚げるのに最高の火力でした(笑)。
職人の手にかかれば、兵器すらもただの厨房機器です!
第59話!
軍隊までうどんで買収されたメガコーポのCEOが、ついに直接店に乗り込んできて……。
「ならばビジネスで勝負だ!」と、まさかの『異世界うどんチェーン展開』の商談がスタート!?
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