第53話:『創世の神VS世界のバグ消去プログラム。……って、神様が戦ってる横で「茹でたての釜揚げ」出すのシュールすぎない?』
皆様、いつも本当にありがとうございます!
50話を過ぎても、皆様の応援のおかげでモチベーションは最高潮です。
本日は、世界を初期化しようとする「時空管理者」に対し、
ついに我が店の自慢のバイト君、シン君がその『真の姿』を現します。
次元を揺るがす神々の戦い。
その緊迫した空気の中、店長(私)が取る行動とは――。
最高のコシと共にお届けします!
『不条理ナリ。創世ノ神ガ、ナゼ一介ノうどん屋ノ給仕ナドヲシテイル』
ノイズをまき散らす時空管理者が、巨大な時計の歯車を回転させながら、機械的な声を上げる。その一振りが放つ衝撃波だけで、王都の空がバリバリとひび割れていく。
だが、エプロンを身に付けたままのシン君は、フッと鼻で笑った。
「言ったはずだよ。僕は今、店長の作る『おうどん』の平和を守るのに忙しいんだ。世界を創るより、毎日違うトッピングのうどんを食べる方が、よっぽど高尚で有意義な人生(神生)だからね」
シン君がそっと手を掲げると、彼の背後に数千もの「創世の光の剣」が展開された。
王都の広場で見守る魔王も、国王も、その神々しい圧倒的な魔力にただ平伏するしかない。
ドゴォォォォン!!!
神と理の、次元を超えた超高速戦闘が始まった。
空間が捩じれ、光と闇のエネルギーが交錯する。普通なら世界の終わりを確信するレベルの大決戦だ。
しかし、私は寸胴鍋の前に立ち、タイマーをにらみつけていた。
「……よし、今! 14分40秒、ジャスト!」
茹で上がったばかりの、まだ表面がツヤツヤと輝く極太の麺。
普段なら冷水で締めるところだけど、今回はそれをせず、熱々の茹で汁ごと特製の木桶に移す。そう、小麦の甘みと香りをダイレクトに味わう、究極の『釜揚げうどん』だ。
「シン君! お出汁はあっちに置いておくから、キリのいいところで食べてね!」
戦場に向かって私が叫ぶと、時空管理者のノイズが激しく乱れた。
『理解不能。神界消滅ノ危機ニ際シ、ナゼ麺ノ茹で加減ヲ最優先スル』
「当たり前でしょ! 釜揚げはスピードが命なの! 1分でも遅れたら、麺の表面が溶けて最高の食感が失われちゃうじゃない!」
「さすが店長、分かってるね!」
シン君は光の剣で時空管理者の歯車を叩き割りながら、空中から一瞬でカウンターの席へと着地した。
そして、熱々の麺を濃いめの黄金お出汁に潜らせ、ズズッと豪快に啜る。
「――っ! 素晴らしいね。冷水で締めていない分、麺のモチモチ感が限界突破してる。お出汁の伊吹いりこと鰹の香りが、温かい麺の熱でさらに引き立って……体に染み渡るようだ」
『……データ、吸入。……コノ、麺カラ放出サレル、熱量ト旨味ハ……何ダ……』
シン君の背後から迫っていた時空管理者の巨体が、ピキピキと凍りついたように静止した。
そのレンズのような瞳に、湯気立つ釜揚げうどんの姿が映り込む。
「ほら、あなたの分もあるわよ、管理者さん。世界を初期化する前に、この『茹でたての奇跡』を食べてからにしなさい」
差し出された木桶から漂う、暴力的なまでの小麦の甘い香りと、お出汁の芳醇な香り。
世界のシステムを監視する絶対的な執行者は、その巨大な歯車の回転を完全に止め、お出汁の香りの前にじっと立ち尽くすのだった。
第53話をお読みいただきありがとうございました!
神々の戦いの横で、茹で時間を最優先するレイナの職人魂でした(笑)。
やっぱりうどんは、茹でたてが一番ですからね!
第54話!
釜揚げうどんを前にした時空管理者。
システムの論理回路が、お出汁の旨味によって完全にオーバーヒート!?
「バトルの横でうどん食うなww」「釜揚げ食べたくなった」「シン君強すぎ」と思ったら、ぜひ評価の【星5】をお願いします!




