第51話:『神界AIをハッキングした後のご褒美。バイトのシン君が、二人きりで「新しいロゴ」を作ろうと言ってきました』
皆様、50話の大爆発、本当にありがとうございました!!
AIに100万杯のうどんをデリバリーするという無茶振りを終え、
我が『空飛ぶうどん屋』にも、ようやくいつもの穏やかな時間が戻ってきました。
今日はちょっと一息。
世界のインフラになった私たちの、新しい「お店の看板」を二人で考えるお話です。
あれ……シン君、なんだかいつもより距離が近くないですか……?
「ふぅ……! さすがに100万杯の同時オペレーションは、ちょっと肩にきたわね」
片付けを終えたサテライトキッチンのカウンターで、私はぐったりと伸びていた。
天界の審判官、隣国の王女、魔王軍、そして世界のシステムを管理する超AIまで味方につけてしまった。
追放された時はどうなることかと思ったけれど、お出汁を信じて突き進んで本当によかった。
「店長、本当にお疲れ様。はい、これ、冷たい月の雫水」
「ありがとう、シン君。本当に助かったわ。シン君の空間魔法がなかったら、100万杯のデリバリーなんて絶対に無理だったもの」
コップを受け取ると、指先がかすかに触れ合う。
いつも通り爽やかに微笑むシン君だけど、何だか今日の彼の瞳(黄金色から戻ったいつもの漆黒の瞳)は、少しだけ熱を帯びているように見えた。
「ねえ、店長。世界中の……いや、別次元の注文まで受けるようになったんだ。そろそろ、この店にも正式な『名前』と『ロゴ(看板)』が必要だと思わない?」
「あ、確かに。ずっと『聖女のお出汁うどん』って呼ばれてるけど、ちゃんとした看板はなかったわね」
シン君はカウンターの隣に腰掛け、一枚の真っ白な羊皮紙を広げた。
すっと彼の手が私の肩に触れそうなほど、距離が近い。トクン、と胸が小さく跳ねる。
「僕、いくつかデザインのベースを考えてみたんだ。ほら、これ」
彼が指差したデザインは、シンプルでありながら圧倒的に洗練されていた。
波打つ美しい『黄金のお出汁』のラインを中心に、大空を駆ける『翼』をあしらったモダンなロゴ。どこか、彼が創ったというこの王国の古き良き伝統と、私の前世のセンスが融合したような、完璧なブランドデザイン。
「すごい……! シン君、これお店のオリジナルアパレルとか……エプロンやTシャツにプリントしても、めちゃくちゃ格好いいじゃない!」
「気に入ってくれてよかった。これからは、このロゴを掲げたワイバーンたちが世界中を飛び回るんだ。……でもね、店長。僕が一番こだわったのはここなんだ」
シン君がロゴの下部をそっと指でなぞる。
そこには、小さな文字で、彼と私の名前を組み合わせた特別なサインが刻まれていた。
「この店は、店長と僕、二人で創り上げたものだからね。……これからも、ずっと隣で支えさせてくれる?」
悪戯っぽく、でも真剣な目で見つめてくるシン君。
調理場の熱気のせいじゃない。私の顔は、茹で上がったばかりの麺のように、真っ赤に染まっていた。
第51話をお読みいただきありがとうございました!
100万杯をさばいた後の、ちょっと甘めな看板デザイン回でした(笑)。
オリジナルロゴエプロン、作ったら魔王様とかも喜んで着てくれそうですね!
第52話!
完成した新ロゴを掲げ、ついに「新装開店」!
しかし、世界の平和を揺るがす『真の黒幕』が、その看板を目がけて動き出し――!?
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