第5話:『調味料がないなら作ればいいじゃない。伝説の塩湖で見つけた、村づくりの要』
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無事にシルバーとアルベルトという心強い仲間を得たれいな。
次に必要なのは、料理の基本であり、人間が生きていく上で欠かせない「塩」です。
「調味料がないなら、探しに行けばいいじゃない!」
そんな前向きな決意で向かった伝説の塩湖には、近寄る者すべてを塩の柱に変えるという恐ろしい守護者が待ち構えていて……。
最強の出汁 vs 荒野の守護者。
村づくりの「要」を手に入れるための、新たな冒険が始まります!
「見て、アルベルトさん! あのキラキラ光っているのが、塩湖ね!」
シルバーの背中に揺られ、私たちは霧の晴れた先に広がる絶景を見つけた。
一面が雪のように真っ白な結晶で覆われた、幻想的な塩の湖。
魔素の吹き溜まりであるはずのこの地に、これほど純粋で、生命の源となるような塩が眠っていたなんて。
「……待ってくれ、れいな殿。あそこには、何か『いる』」
アルベルトが鋭い視線を湖の中央に向ける。
すると、真っ白な塩の山がモゾモゾと動き出し、巨大な岩の巨人――ソルト・ゴーレムが姿を現した。
「グルルゥ……!」
シルバーも低く唸り、臨戦態勢に入る。
「あいつはこの湖の守護者だ。近づくものすべてを塩の柱に変えるという、荒野の悪夢。……れいな殿、下がっているんだ。ここは私が――」
「……ちょっと待って。あのゴーレム、なんだか様子が変じゃない?」
私の目には、ゴーレムが襲いかかろうとしているようには見えなかった。
巨大な岩の腕で自分のお腹(?)をさすりながら、力なく項垂れている。その体からは、まるで「飽き飽きした」というような、虚無のオーラが漂っていた。
「……もしかして、あなたも『お腹が空いている』の?」
私はシルバーの背から飛び降りると、アルベルトの制止を振り切って、あらかじめ用意しておいた『秘密の道具』を取り出した。
それは、乾燥させたサンダー・ラビットの肉に、昨日のお出汁をたっぷりと染み込ませてからじっくり焼き上げた、特製の**「出汁ジャーキー」**だ。
「これ、食べてみて。きっと初めての味よ」
私がゴーレムの足元にジャーキーを置くと、巨人は不思議そうにそれを巨大な指でつまみ、岩の隙間のような口に放り込んだ。
直後、ゴーレムの全身から「ガリガリッ!」と激しい音が鳴り響く。
塩の結晶がキラキラと舞い、守護者の瞳に宿る魔力が、警告の赤から穏やかな青へと変化した。
(……美味しい……? そう、よかった!)
何百年も同じ塩ばかり舐めていたゴーレムにとって、私の「出汁」は未知の、そして究極の御馳走だったらしい。
巨人は地響きを立てて喜びのダンスを踊ると、湖の底から最も純度の高い、真珠のように美しい**「真珠塩」**を両手いっぱいに掬い上げて、私に差し出した。
「……最強の護衛に、最強の守護者まで。れいな殿、この村は本当に『最強』になるかもしれませんな」
アルベルトが呆れたように笑い、私は手に入れたばかりの塩を指先で舐めた。
ただしょっぱいだけじゃない。お出汁の旨味を何倍にも引き立てる、透き通った甘み。
「よし、これで最高の『料理』ができるわ!」
不毛の地に、命の味が加わった瞬間だった。
第5話をお読みいただきありがとうございました!
恐ろしい守護者さえも、れいなの「出汁ジャーキー」の前ではただの食いしん坊でしたね。
最高の塩を手に入れたことで、れいなの料理はさらに進化します。
そして、この美味しそうな匂いに誘われて、次なる「迷い人」がやってくる予感……?




