第43話:『隣国の「絶食姫」が襲来。私のお出汁に、ひれ伏さない勇気はありますか?』
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本日は、王都の騒ぎを聞きつけた隣国の王女様が登場。
彼女、何やら「この世に美味しいものなど存在しない」と豪語しているようですが……。
私のお出汁の「香り」だけで、その鉄の意志、溶かしてみせましょう!
「道を開けなさい! 穢らわしい下界の香りを振りまく不届き者はどこですか!」
王都の広場に、純白の馬車が乗り込んできた。
現れたのは、隣国の第一王女、通称『絶食姫』のセシリア。
彼女は極度の偏食家で、自国のシェフを何人もクビにしてきたという美食の難攻不落城だ。
「あなたが、巷で噂の『うどん聖女』ね。……フン、ただの麺にスープをかけただけの食べ物が、この私の喉を通るとでも思っているの?」
セシリアは扇子で鼻を押さえ、軽蔑の眼差しを私に向ける。
だが、その扇子の下で、彼女の喉が小さく動いたのを私は見逃さなかった。
「お姫様。食べたくないなら無理には勧めません。でも、私の横でバイトのシン君が食べているこれ、見ても同じことが言えますか?」
私は、シン君の前に、特別仕様の『特製・霜降りドラゴンの釜揚げうどん』を置いた。
桶の中から立ち上る、熱々のうどんの香りと、低温調理で仕上げたドラゴンの甘い脂の香りが混ざり合う。
「……っ!! な、なにその香りは……。肉なのに、まるでお花畑にいるような……いえ、もっと深い、海の恵みのような……」
セシリアの扇子が、ポロリと手元から落ちた。
「これは『追い鰹』ならぬ『追いドラゴン』よ。お出汁の熱でお肉の脂が溶け出し、それがスープに深みを与えるの。……ほら、シン君。冷めないうちに食べて」
「ずるい……! その男だけずるいわ! 私にも、私にもその……『うどん』というものを出しなさい!」
「列の最後尾は、あちらですよ?」
私は、王女を指差してニッコリと笑った。
第43話をお読みいただきありがとうございました!
ついに絶食姫まで「うどんの虜」に。
第44話!
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