表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/57

第ニ章 2話 「切り札の準備」


 ナヤギが黒仮面と対峙する少し前へと時間は遡る――――




「うおおおお、とりゃあああああ!!!」

「ヒデ、むやみに飛び込むな! 一旦、距離を取れ! ヤスはバフを頼む!」

「よし、任せろ!」


 木々が生い茂る森の中、ポツンと置かれた木製の玉座の前――――


 男7人のパーティーが1体のモンスターと対峙していた。


 薄汚れたような緑色の表皮、4メートルはあろう人型の巨躯、右手には周りの木など簡単になぎ倒せそうなほど大きなこん棒、頭にはちょこんと小さな王冠が乗っている。

『オークロード』

 ガカリ地方終盤にある大森林を支配する魔物であり、イベントボスの一体だ。


「カツ、ヒデ、レン! 四人で取り囲んで一斉に仕掛けるぞ! ラン、ヤス、ミツは援護を頼む」

「了解、ノブ!」


 ノブと呼ばれたツンツンと尖った赤髪男が指示を出す。

 その指示に従いアタッカーの4人はオークロードの四方へと移動する。残りの3人はそれぞれ援護がしやすいアタッカーの後方に構える。


 標的たちが散開したため、オークロードは体を左右に回しながらこちらの様子をうかがっている。


 アタッカーの4人はジリジリとオークロードとの距離を詰め、プレッシャーを与えていく。

 プレイヤーとモンスター両者ともに緊張が徐々に体を覆う。




 先にしびれを切らしたのはオークロードの方だった。


「ウオオオオオォォォォォォ!!!」


 雄叫びを上げながら正面にいる浅黒い肌の少年、ヒデに向かってこん棒を振り上げながら突進してくる。


「よりによって俺かよ!」


「今だ!」


 勘弁してくれという悲鳴を上げるヒデをよそに、ノブは他の5人に合図出す。

 ヒデの後方に待機していた細身長身の青年、ミツがヒデに防御バフをかける。


 ヒデは自身の持つ手盾でオークロードの一撃を受ける。

 こん棒と金属製の手盾がぶつかる轟音が、周囲の空気を揺らす。


 衝撃を完全には受けとめることが出来ず、ヒデは3メートルほど後方へと滑っていく。


「はあ! アブねえ!」

「『アブねえ!』じゃないよ。 お前がやられたら後方にいる僕もやられるだろ」


 少し嫌味たらしくミツはヒデに言い放つ。



 一撃の勢いが殺されたことでオークロードの突進が止まった。

 左右から短い茶髪の少年、カツと黒髪の少年、レンが仕掛ける。


 オークロードは彼らの接近に気づき、横一線にこん棒を振るう。


 2人は体を低くすることで回避。

 そのまま、オークロードの両足をそれぞれ切り裂いた。


「ウガァ!!」


 悲鳴と共にオークロードは膝から崩れる。


 だが、上体はなんとか保ったままであり、2人に向かって滅茶苦茶にこん棒を振り回す。

 2人は攻撃範囲内から退避する。


「あと少しだ! 最後もってけノブ!」


 カツがノブに向かって叫ぶ。


「ああ! 決めてやる!」


 オークロードに向かってノブは、一直線に走り出す。

 丸眼鏡の青年、ヤスは攻撃バフをノブにかける。


 ノブの身体が赤いオーラに包まれると同時に、彼はオークロードの頭を切断しようと飛んだ。


 その時、オークロードがノブの方に振り向いた。

 彼らの視線が交差する。

 オークロードはノブを叩き落そうとこん棒を振り下ろす。


「――――やらせない」


 薄紫色の長髪の少年、ランが薙刀でオークロードの上腕を切り落とす。

 こん棒は緑色の腕とともにあらぬ方向へと飛んでいった。


「ナイスだ、ラン!」


 がら空きになったオークロードの頭に、ノブは必殺技を使って刀を振り下ろす。

 斜め一閃、オークロードの頭蓋へと刀が食い込む。


「うおおおおおおお!!!!」

「ヴオオオオオオォォォォォォォ!!!」


 ノブの叫びとオークロードの悲鳴が重なる。


 ――――ズパッ!!


 刀の勢いは止まることなく、オークロードの頭部を断ち切った。


 鼻から上の切断された部位は、地面に触れる前に光の粒となり弾け飛ぶ。

 残された体も地面へと崩れ落ちた後、頭部に続き消えていった。


「よっ……、しゃあああぁぁっ!!!」

「やった! ボス討伐したぞ!!」

「うしっ!」」


 7人の歓喜の声が上がる。

 お互いにハイタッチをしたり肩を組んだりして喜びを共有しあう。


 そんな中で、ノブがレンへと近づく。


「やったな! サンキュー、助かったぜ」


 レンに向かってノブは手の平を差し出す。


「こちらこそ楽しかった。 ありがとな」


 レン――――ナヤギはそのハイタッチに応じた。





 そう、ナヤギはこの者たちを殺すためにギルドに潜入していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがたいです
[良い点] どうもこんにちは。 そしてお久しぶりです。 この時を待ちわびていました! 前回の謎の仮面男はこのパーティのメンバーだったんでしょうかね? まだ確定ではないですがそうなら最前線に行ける強さを…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ