試験前夜
星歌との食事が済んだあと、皿洗いを手短に片付けた僕は、明日の予定を確認していた。(ちなみに食欲魔神こと星歌は現在入浴中)
『明日は何かあった気がするんだけど……』
学園で配られたプリントを広げる。
『げっ!明日クラス分け試験かよ!』
思わず悪態をついてしまった。
うちの学園では毎年の新入生のクラス分けを試験と称する試合で決めている。
具体的に言うと、新入生はボランティアで参加する在校生と一対一の試合をして、その時の勝敗や戦いかた、魔力属性の強さなどを見られ、前にも紹介した A B C D E X のクラスのどれかに分けられる。
聞いた限り普通と思う人もいるだろうが、ボランティアで参加する在校生の殆どが、
「新入生を合理的にボコれるぜぇ!」
という鬼のような考えでいるので、本当に恐ろしいのだ。
ちなみに新入生が特定の在校生を指名することもできるが、その時に新入生が在校生を打ち負かすと、その日から負けた在校生は学園の恥としてこれからを過ごさないとならなくなる。
僕は参加しないのかって?
するわけないだろ! そんな狂った行事なんか!
『マジで無理ですぅ~』と嘆いていると
「え?私がお風呂入ってる間にキョースケが壊れてる?」
風呂から上がってきた星歌がそう言ってきた。
「いやー、明日クラス分け試験があるらしくて……
っておい! 何で裸なんだよ!」
振り返った僕はそれをガッツリ見てしまった。
白くすべすべしていそうな肌、小柄だが年波に膨らんだ胸。
いつまでも見ていたくなる美しいものだった。
が、そんな彼女にそぐわない傷痕が胸についている。
一生消えない傷痕が……。
「ところでバスタオルがないんだけど」
こちらの視線に気づいたのか、星歌がそう言ってきた。
僕は努めて明るく
「それは風呂から出る前に言え!」
と返す。
星歌は隠しもせずにバスタオルを求め歩き始めた。
「そこの棚にいくつかあるだろ! 早く体を拭いて服を着なさい!」
「へーい」
幼なじみもここまで来ると怖いな…… と思う僕だが、実を言うとこれまでに何回もこの会話を繰り返したせいで、僕自身なれてしまった。
「で、クラス分け試験がどうかした?」
今度はちゃんと服を着た星歌が聞いてくる
「明日それがあるだろ。だから嫌だなぁって思ってさ」
「なるほど」
「そういえばお前はボランティアやるのか?」
「やるつもりはない。けど何人かの新入生に指名されてる」
さすが学園1のスナイパーだけあって指名もバッチリされている。
「そうか…… 応援いかないとね!」
「来てくれるの?」
「もちろん! 行くに決まってんだろ!」
「キョースケ来てくれるなら私頑張る」
「いやいや、来なくても頑張れよ」
もちろんのことであるが、新入生のクラスを決めるという大事なことなので、お世辞でも手を抜いたりふざけてしてはいけない。
「でもキョースケは? 指名されてないの?」
「されるわけないだろ! こんなゲキヨワ野郎」
指名される在校生は何かしらのトップなやつが殆どだ。
「キョースケは弱くないよ」
「慰めなんていらないさ」
「私は本気でそう思ってる。幼なじみの私が一番知ってるもん!」
珍しく星歌が多弁になっている。
「もうその話はいいよ」
僕はここで話を切る。
星歌はまだ何か言いたげだったが、口を閉じてくれた。
「明日とにかく頑張れよ」
僕はそれだけ言うと自室へ入った
もうひとつ投稿するので、そこで前の約束を果たそうと思います。




