第7話 『魔法の練習』
清掃のクエストが終わり、昼食を食べたあと、シュンとネカは街の外の草原に出ていた。
「あの、シュンさん」
「ん?」
「ここ草原ですけど……」
「うん」
「わたしの魔法の練習をするんじゃ……」
「うん」
シュンは説明する。
「ネカの魔法はすっげー強いからな。暴発して街のもん壊したら大変だし」
「あ……そうですね……すいません、失念していました」
「気にすんなって。ちゃんと説明しなかった俺も俺だし」
……シュンさんは優しいなぁ……わたしが気付くべきことなのに……。
ネカは考えながら言う。
「草原に来たってことは……ここに出る野ウサギとか鳥とかを狙って魔法を使う練習をするんですか?」
「ネカ自身はできそうだと思う?」
「……シュンさんがいれば……」
「うんうん。でも最終的には、俺がそばにいなくてもできるようにするのが目標だから」
「…………」
「昨日会ったときから、ネカが魔法をちゃんと使えてたのは俺が肩に手を置いてたときだから。今日は肩に手を置かなくても、魔法が成功するように練習しよう」
「……はい、分かりました」
ネカは小さな声で答える。
シュンは草原の向こうを指差して言った。
「とりあえずあそこに木箱かなんか置いて、まずはそれに魔法を当てられるようにしよう。野ウサギとかだと、動き回って当てにくいだろうから、まずは動かないものから」
「そうですね。そうしましょう」
ネカは収納魔法から木箱を取り出して草原に置く。
「まずは一メートルくらいから」
「はい」
シュンはネカの肩に手は置いていない。彼が見守るなか、ネカは杖を出して、短い呪文を唱えて、魔法のエネルギー弾を木箱に向けて放とうとする。
しかし魔法の弾は木箱には向かわず、空高く飛んで花火のように爆発して消えた。
「あ……」
ネカがしょんぼりとシュンに頭を下げる。
「す、すみません……」
「いーよいーよ気にすんな。ほら、次行こーぜ」
「はい……」
そうしておよそ三十分の間、数十発の試行錯誤の末、ようやくネカの魔法弾は木箱の端のほうに命中した。
疲れをにじませながらも、ネカがシュンのほうを見る。
「しゅ、シュンさん……っ」
「うん。頑張ったな」
シュンが微笑みを浮かべて、ネカが報われたという顔をする。
シュンが言う。
「ネカ、疲れただろ? いったん休憩にしよう」
「はい」
二人は地面に座り込み、他愛のない話に花を咲かせるのだった。
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