第5話 『アイテムショップ』
翌朝。シュンの部屋のドアがノックされて、シュンはあくびをしながら起きるとドアを開けた。そこにネカがいた。
「シュンさん、おはようございます」
「はよ……ふわぁ……」
「寝癖すごいですね?」
「ちょと待てろ、いま支度すから」
「あ、はい」
ドアがいったん閉められて、洗面所で顔を洗う音や上着を羽織る気配などがした。
再びドアが開いて、しかしいまだに眠そうなシュンが姿を見せる。
「じゃ、朝メシ食いにいっか」
「はい」
二人は廊下を歩き始める。
「シュンさん、夜ふかししてたんですか? 眠そうですけど……?」
「俺はロングスリーパーなんだ」
「はぁ……」
「昨日はネカに押し倒されたし」
「ふぁっ⁉ あ、あれは足がもつれてしまってっ⁉」
「分かってる分かってる。からかっただけだから」
「も、もうっ……」
「あはは」
ネカが顔を赤くして、シュンが朗らかに笑う。
二人が食堂に到着して、昨日のようにネカが周囲を見回していた。シュンがカウンターにいたおかみさんに聞く。
「昨日の騒いで転んでた奴ら、どうなったんだ?」
「あいつらなら病院に送っといたよ。一応ね」
「ふーん」
シュンがネカにウィンクする。ネカはほっと一安心していた。
おかみさんが聞いてくる。
「今朝の注文は?」
「日替わり定食で」
「あいよ。そっちのお嬢ちゃんは?」
おかみさんが顔を向けて、ネカがおかみさんに答えた。
「あ、わたしもそれでお願いします」
「あいよ。すぐに出来るからそこで待ってな」
おかみさんの言う通り、すぐに日替わり定食は出てきて、二人は空いている席に座ってそれを食べた。
朝食を食べ終わった二人はいったんチェックアウトをしたあと、街のアイテムショップに向かった。
ショップに着いて、買い取りカウンターにいた店員に話しかける。
「や。売りに来たんだけど」
「いらっしゃいませ。お品物をどうぞ」
「ちょっと数が多いんだけどな」
シュンがネカに目配せして、彼女が収納魔法から昨日の戦利品を取り出してカウンターに並べていく。店員は少し目を丸くしていた。
「本当に数が多いですね」
「査定にどれくらいかかる?」
「断定は致しかねますが、早くとも十五分くらいは」
「んじゃ、終わるまで待ってるから」
「ではこちらの整理券をどうぞ。査定が終了次第お呼びしますので」
番号が書かれた整理券を受け取って、シュンとネカは店内を見て回ることにした。
「ネカはなんかほしいものとかあるか?」
「いえ、特には……。シュンさんはありますか?」
「うーん、安眠グッズとか?」
「あはは……」
そんな会話をしていると、不意に中年の店員が店の入口に駆け寄っていった。ドアを開けて外に向かって叫んでいる。
「誰か捕まえてくれ! 万引きだ!」
シュンとネカは顔を見合わせた。ネカが店の外に走っていき、シュンが追いかける。
二人が外に出たとき、遠くに逃げていく冒険者の格好をした男が見えた。
「やれやれ。昨日はひったくりで、今日は万引きか。ネカ」
「はい」
シュンがネカの肩に手を置いて、もう片方の手で万引き犯を指し示す。
「あいつを撃て。大丈夫、昨日のようにすればいい」
「はい」
ネカが杖を取り出して、魔力を集中させる。昨日と同じように氷の塊が撃ち出されて、万引き犯に見事命中して気絶させた。
「シュンさんっ!」
「よくやった、ネカ」
「はいっ」
ネカがうれしそうな顔をした。
そして万引き犯は警察に連行されていき、二人はショップの店員からお礼を言われたのだった。
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